警察は5日、事故を起こした車や衝突に巻き込まれるなどした車の損傷した箇所などを詳しく調べて捜査を進めています。
これまでの警察の調べで、乗用車は交差点に突っ込む直前、少なくともおよそ600メートル手前から対向車線を逆走して3台の車にぶつかっていたことがわかっていますが、現場ではブレーキをかけた時のタイヤのあとが確認できてないということです。
また事故を目撃した人によりますと、車は交差点に向かう途中、加速するように見えたということです。
警察はブレーキをかけないまま交差点に突っ込んだとみて、事故の詳しい状況を調べています。
運転が困難な状態に陥っていたか
事故当時の映像を分析した専門家は事故を起こした車がブレーキやハンドルを操作した様子はうかがえず、運転が困難な状態に陥っていたのではないかと指摘しています。
自動車の安全工学が専門の福岡工業大学の松木裕二教授は事故の瞬間が映った動画や、現場近くの防犯カメラの映像を分析しました。
松木教授は事故を起こした乗用車について、ブレーキランプが点灯していないことや、ほかの車をよけようとせず、ほぼ直線上を走行していることから、ブレーキやハンドルを操作した様子はうかがえず、運転が困難な状態に陥っていたのではないかと指摘しています。
そのうえで周囲の車の速度と比較して、交差点に進入した際は時速80キロから100キロ近いスピードが出ていたのではないかと分析しています。
松木教授は「ドライバーの状態をモニタリングして事故を未然に防ぐシステムの研究も進んでいるが、このような悲惨な事故をどのように減らしていくか、社会全体で考えることが大切だ」と話しています。
時速100キロ前後出ていたか
交通事故の解析に詳しい日本交通事故鑑識研究所の大慈彌拓也代表に、今回事故を起こした車の様子が収められた防犯カメラやドライブレコーダーの映像を解析してもらいました。
その結果、車はおよそ20メートルの道路を0.7秒から0.8秒で通過していることから、時速は100キロ前後出ていたとみられるということです。
そしてカメラに映っている部分だけでも少なくとも200メートルは走行したと大慈彌さんは見ています。
さらに映像からは前方の車両を避けるように対向車線にはみ出していることから、大慈彌さんは「運転手は回避行動を取っているように見えるため、意識のある状態で運転していたのではないか。ブレーキランプも点灯していないことから、アクセルとブレーキを踏み間違えたか、運転手に何らかの身体的な問題が起きて、アクセルを踏み続けてしまったことが暴走した原因と考えられる」と話していました。