アメリカとイランの対立で中東情勢の緊迫する中、日本の総理大臣として41年ぶりにイランを訪問していた安倍総理大臣はロウハニ大統領や最高指導者のハメネイ師と相次いで会談しました。
このうち、ロウハニ大統領との首脳会談で安倍総理大臣は、緊張緩和に向けた建設的な対応を働きかけたのに対し、ロウハニ大統領は「イランとしても戦争は望んでいない」と述べ、日本の取り組みを歓迎する意向を示しました。
また国政の実権を事実上、掌握しているハメネイ師との初めての会談で安倍総理大臣は、イランをめぐる核合意を支持する考えを伝え、核合意の着実な履行に期待を示したのに対し、ハメネイ師は核兵器の製造や保有を目指す意図はないという考えを示しました。
一連の日程を終えた安倍総理大臣は14日午前7時20分すぎ、政府専用機で羽田空港に到着しました。
安倍総理大臣は今後、トランプ大統領に今回の結果を説明するための電話会談の調整をするほか、今月末のG20大阪サミット、それにことしの経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」の閣議決定に向け準備を加速するものと見られます。
中東メディアの反応は?
今回の安倍総理大臣のイラン訪問について、中東のメディアは会談の中で、イラン側が核兵器を製造する意志がないと表明したことやアメリカとの対話を拒否する姿勢を示したことなどを挙げて大きく伝えています。
カタールの衛星テレビ局、アルジャジーラは「ハメネイ師は核兵器の製造や保有、使用の意図がないと安倍総理大臣に約束した」としてこの発言を評価しました。
その一方で、「ハメネイ師はアメリカとは交渉せず、トランプ大統領はメッセージを送る価値もないと発言した。緊張緩和のために訪れたという安倍総理にとっては、一撃をくらわされたようなのものだろう」として、アメリカとの仲介役を目指した日本にとっては厳しい結果になったと伝えています。
また、イランと敵対するイスラエルの英字紙エルサレム・ポストは、アメリカが制裁を科す中でも、一連の会談では中東地域の安定のほか、洪水被害に対する支援など、広範な話し合いが行われたことを紹介したうえで、「今回の訪問はイランを責任ある普通の国のように見せるという外交実績になったという点で、イランの勝利だ」と伝え、今回の訪問はイランにとって利益になったという見方を伝えています。