小中こなか学生がくせい９きゅう割わり近視きんし 失明しつめいのおそれ「強度きょうど近視きんし」も中学生ちゅうがくせいの１いち割わり

慶応けいおう大学だいがくの研究けんきゅうグループは子こどもの近視きんしの実態じったいを明あきらかにしようと、東京とうきょう都内とないの一部いちぶの小中しょうちゅう学校がっこうの児童じどうと生徒せいと合あわせて1416人にんの目めの状態じょうたいを調しらべました。

その結果けっか、近視きんしだったのは、

▽小学生しょうがくせい689人にんのうちの76.5％、

▽中学生ちゅうがくせい727人にんのうちの94.9％で、

特とくに中学生ちゅうがくせいでは、少すくなくとも9.9％にあたる72人にんが「強度きょうど近視きんし」でした。

近視きんしは子こどもたちの屋外おくがい活動かつどうの減少げんしょうに伴ともなって増ふえているとされ、2050年ねんには、

▽世界せかい人口じんこうの半数はんすうに当にあたる48億おく人にんが近視きんしに、

▽９きゅう億おく4000万まん人にんが強度きょうど近視きんしに、

なるという試算しさんがあり、ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-＝世界せかい保健ほけん機関きかんも深刻しんこくな懸念けねんを示しめしています。

慶応けいおう大学だいがくの坪田つぼた一男かずお教授きょうじゅは「日本にっぽんでは子こどもの近視きんしに関にかんするデータもほとんどないなど、対策たいさくは不十分ふじゅうぶんだ。国くにのレベルで取り組とりくむべき緊急きんきゅうの課題かだいだ」と指摘してきしています。

強度きょうど近視きんし 網膜もうまく剥離はくりそして失明しつめいのおそれ

近視きんしが進行しんこうし、裸眼らがんでおよそ17センチまで物ものを近ちかづけないとはっきりと見みえない強度きょうど近視きんしになると、目めの奥おくにある網膜もうまくなどの組織そしきが、伸のびた眼球がんきゅうによって引き伸ひきのばされたり圧迫あっぱくされたりして傷きずつきやすくなり、将来しょうらい的てきに網膜もうまく剥離はくりや緑内障りょくないしょうといった失明しつめいにつながる病気びょうきの危険きけん性せいが高たかまるとされています。

近視きんしの子こどもが多おおく訪おとずれる東京とうきょう 世田谷せたがや区くの眼科がんか医院いいんでは、診断しんだんを受うけた子こどもの10人にんに１いち人にん程度ていどが「強度きょうど近視きんし」か、そのおそれがある患者かんじゃです。

取材しゅざいした日ひに診療しんりょうに訪おとずれた小学しょうがく４よん年生ねんせいの男の子おとこのこは強度きょうど近視きんしと診断しんだんされていて、裸眼らがん視力しりょくは両目りょうめとも0.1以下いか、眼鏡めがねを外はずすと10センチ先さきも正確せいかくには見みえない状態じょうたいです。

眼球がんきゅうが伸のび、外そとからの光ひかりの刺激しげきを受け取うけとる網膜もうまくが薄うすく引き伸ひきのばされていて、将来しょうらい的てきに失明しつめいにつながる網膜もうまく剥離はくりになるリスクもあると診断しんだんされていました。

男の子おとこのこの母親ははおやは「失明しつめいする可能かのう性せいがゼロでないという説明せつめいを受うけているので心配しんぱいです。定期ていき的てきに目めの状態じょうたいを確認かくにんしてできることをしたいです」と話はなしていました。

近視きんしはアジアを中心ちゅうしんに世界せかいで急増きゅうぞうしていて、オーストラリアなどの研究けんきゅうグループが３さん年ねん前まえに出だした試算しさんでは、2050年ねんには世界せかい人口じんこうの10分ぶんの１いちにあたる９きゅう億おく4000万まん人にんが強度きょうど近視きんしになると予測よそくされています。

このため世界せかい各地かくちで近視きんしになる人ひとを減へらすための対策たいさくが進すすめられています。

最近さいきんの研究けんきゅうでは、一いち日にち２に時間じかん、屋外おくがいで活動かつどうし、十分じゅうぶんな量りょうの光ひかりを浴あびることで近視きんしの発症はっしょうを抑おさえられることが分わかってきており、20歳さい以下いかの８はち割わりが近視きんしの台湾たいわんでは、2013年ねんから体育たいいくの授業じゅぎょうを１いち週間しゅうかんに150分ふん屋外おくがいで行おこなうことを義務ぎむづけ、ほかの教科きょうかも屋外おくがいでの授業じゅぎょうを推奨すいしょうしています。

学校がっこうによっては、理科りかの授業じゅぎょうでも屋外おくがいでの植物しょくぶつの観察かんさつなどを多おおく取り入とりいれているほか、子こどもたちの首くび元もとに光ひかりセンサーをつけてもらって浴あびる光ひかりの量りょうや時間じかんを把握はあくしています。

こうした取り組とりくみで台湾たいわん全体ぜんたいでは、７なな年間ねんかんで視力しりょく0.8未満みまんの子こどもが５ご％以上いじょう減へったということです。

台湾たいわん教育きょういく部ぶの彭富とみ源げん署長しょちょうは「屋外おくがい活動かつどうに導みちびくことで視力しりょく悪化あっかのスピードを抑おさえられる。子こどもも喜よろこび、あまり予算よさんもかからず、効果こうかがある方法ほうほうだ」と話はなしていました。

一方いっぽうで、日本にっぽんでは全国ぜんこくに近視きんしの子こどもがどれだけいるのかという調査ちょうさも行おこなわれておらず、文部もんぶ科学かがく省しょうによりますと、現在げんざい、子こどもの視力しりょくの低下ていかが運動うんどう時間じかんや勉強べんきょう、読書どくしょ、ゲームの時間じかんなどと関連かんれんするかどうか、調査ちょうさを行おこなっている段階だんかいだということです。

文部もんぶ科学かがく省しょう健康けんこう教育きょういく・食しょく育いく課かの平山ひらやま直子なおこ課長かちょうは「近視きんしは非常ひじょうに重要じゅうような課題かだいだと認識にんしきしている。調査ちょうさの結果けっかを得えて来き年度ねんどには対策たいさくを決きめ、各かく家庭かていや学校がっこうに周知しゅうちするなど、緊急きんきゅうに進すすめていきたい」としています。