働はたらき盛ざかり男性だんせい 自殺じさつ増加ぞうか 新型しんがたコロナによる雇用こよう情勢じょうせいの悪化あっか影響えいきょうか

8月つきに自殺じさつした同おなじ年代ねんだいの男性だんせいは706人にんで、去年きょねんを6.6％上回うわまわっていましたが、1か月かげつ間かんでさらに2ポイント悪化あっかしています。

自殺じさつの防止ぼうしに取り組とりくむNPO法人ほうじん「ライフリンク」によりますと、多おおくの男性だんせいは『弱よわみを見みせたくない』と悩なやみを抱え込かかえこんでしまいがちで、追い込おいこまれる前まえにどう相談そうだんにつなげるかが課題かだいだということです。

清水しみず康之やすゆき代表だいひょうは「新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、非ひ正規せいきで働はたらく人ひとや自営業じえいぎょう者しゃを中心ちゅうしんに働はたらき盛ざかりの男性だんせいが追い詰おいつめられている。雇用こようを守まもる政策せいさくを続つづけていくことが必要ひつようだ」としています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは相談そうだん窓口まどぐちの検索けんさくサイトを設もうけています。

URLは「http://shienjoho.go.jp/」です。

路上ろじょう生活せいかつに追い込おいこまれた人ひとも

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいして以降いこう、雇用こよう情勢じょうせいは徐々じょじょに悪化あっかしています。

総務そうむ省しょうや厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、全国ぜんこくの「完全かんぜん失業しつぎょう率りつ」は2.2％だった去年きょねん11月つき以降いこう右肩みぎかた上あがりに上昇じょうしょうし、ことし9月つきの時点じてんで3.0％に上のぼっています。

有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつも9か月かげつ連続れんぞくで低下ていかして、1.03倍ばいにまで落ち込おちこみました。

また信用しんよう調査ちょうさ会社かいしゃ「帝国データバンクていこくで-たばんく」によりますと、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで倒産とうさんした企業きぎょうは2月つき以降いこうで700社しゃに上のぼっています。

生活せいかつ困窮こんきゅう者しゃの支援しえんをしているさいたま市しのNPO法人ほうじん「ほっとプラス」には、3月つき以降いこう、働はたらき盛ざかりの世代せだいの男性だんせいからの相談そうだんが多おおく寄よせられています。

中なかには、「新型しんがたコロナの影響えいきょうで仕事しごとが決きまらず、家賃やちんが払はらえない」とか、「仕事しごとを失うしなって実家じっかに帰かえる交通こうつう費ひさえない」などと悩なやみを打ち明うちあける人ひともいるということです。

相談そうだんを寄よせた男性だんせいの中なかには路上ろじょう生活せいかつにまで追い込おいこまれた人ひともいます。

新潟にいがた県けんのレジャー施設しせつで契約けいやく社員しゃいんとして働はたらいていた30代だいの男性だんせいは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで仕事しごとを失うしない、先月せんげつには所持しょじ金きんがほとんど底そこをつきました。

偶然ぐうぜん、立ち寄たちよった飲食いんしょく店てんの店主てんしゅにNPO法人ほうじんを紹介しょうかいされ、今いまはこのNPO法人ほうじんが運営うんえいするシェルターで暮くらしています。

生活せいかつ保護ほごを受うけることになった男性だんせいは「路上ろじょう生活せいかつをしていると、どんどん身動みうごきがとれなくなってしまい、自分じぶんの力ちからではどうしようもなくなってしまいました。新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうがここまでとは予測よそくしていませんでしたが、また社会しゃかいとつながって、自分じぶんの力ちからで生いきていくことができるようにしたい」と話はなしていました。

男性だんせいを保護ほごしたNPO法人ほうじん「ほっとプラス」の高野たかの昭博あきひろ生活せいかつ相談そうだん員いんは「今いままで普通ふつうに暮くらしていた人ひとの生活せいかつが根本こんぽんから揺ゆるがされていると感かんじる。中小ちゅうしょう企業きぎょうも今いまは一生いっしょう懸命けんめいふんばっているが、流行りゅうこうが収束しゅうそくしないかぎり、状況じょうきょうはさらに深刻しんこく化かしていくのではないか」と話はなしていました。

都内とないの20代だい男性だんせい「相談そうだんできることが必要ひつよう」

都内とないの20代だいの男性だんせいは、ことし2月つき、勤務きんむ先さきの会社かいしゃから突然とつぜん、解雇かいこを告つげられ、その日ひのうちに寮りょうからも退去たいきょさせられました。

妊娠にんしん中ちゅうの妻つまを連つれてウイークリーマンションに引っ越ひっこしましたが、家賃やちんが払はらえなくなり、友人ゆうじんから借かりた車くるまで夫婦ふうふで寝泊ねとまりをするようになりました。

再さい就職しゅうしょくしようとインターネットや転職てんしょくサイトで就職しゅうしょく先さきを探さがし、合あわせておよそ50社しゃに応募おうぼしましたが、結果けっかはすべて不ふ採用さいようでした。

人事じんじ担当たんとう者しゃからは「新型しんがたコロナのせいで経営けいえいが厳きびしく、選考せんこう自体じたいを見送みおくる」などと説明せつめいされ、短期たんきのアルバイトさえ見みつからなかったということです。

男性だんせいに当時とうじのブログを見みせてもらうと、「今いま、現在げんざいは無職むしょく。もはや、自分じぶんではどうしようも出来できないほどの地獄じごくにいる。壮絶そうぜつ、過酷かこくな人生じんせいを経験けいけんしている最中さいちゅうです。人生じんせい本当ほんとうに何なにがあるかわからない」とつづられていました。

男性だんせいは当時とうじの心境しんきょうについて「再さい就職しゅうしょくしたくても新型しんがたコロナのせいで仕事しごとが見みつからず、お金おかねがどんどんなくなっていく不安ふあんしかありませんでした」と振り返ふりかえっています。

男性だんせいによりますと、1日にちに口くちにできたのはおにぎり1個こと水みずだけで、それでも所持しょじ金きんは僅わずか500円えんになり、ついには自殺じさつが頭あたまをよぎったと言いいます。男性だんせいは当時とうじの心境しんきょうについて、「妻つまにつらい思おもいをさせてしまっているという重圧じゅうあつがのしかかり、『どうにかしないといけない』と、それだけを考かんがえる毎日まいにちでした。でも、どうしようもできず、家族かぞくだけでも守まもろうと思おもい、自分じぶんが死しねば保険ほけんで守まもれるのではないかと考かんがえるようになりました」と打ち明うちあけてくれました。

ことし6月つき、男性だんせいは、「最後さいごに誰だれかに自分じぶんの話はなしを聞きいてもらいたい」と偶然ぐうぜん、インターネットで見みつけた支援しえん団体だんたいの相談そうだん窓口まどぐちにSNSでメッセージを送おくりました。

それを見みた相談そうだん員いんが、その日ひのうちに泊とまれる部屋へやを用意よういし、自殺じさつを思おもいとどまることができたということです。男性だんせいはその時ときの心境しんきょうについて、「『聞きいてくれる人ひとがいたんだ』という気持きもちと、車中しゃちゅう泊はくをしなくて済すむし、食たべるものもあるという安心あんしん感かんがいちばんでした。もし相談そうだんがつながっていなかったらと考かんがえると怖こわいです」と話はなしていました。

その後そのご、就職しゅうしょく先さきも見みつかったという男性だんせいは「自分じぶんがこんな状況じょうきょうになるとは1ミリも思おもっていませんでした。自分じぶん自身じしんではどうにもできない部分ぶぶんもかなり大おおきかったと感かんじています。一方いっぽうで自分じぶんで何なんとかできるという気持きもちが強つよく、どうにもできないことを受け入うけいれられない自分じぶんもいて、誰だれかに相談そうだんしようとしてもできないということの繰り返くりかえしでした。1人にんで悩なやんでも解決かいけつしないし、よくない方向ほうこうに考かんがえがいってしまうので、少すこしでいいから話はなせる場ばと機会きかいがあれば、最悪さいあくの状況じょうきょうにはならないのではないでしょうか。メールや文章ぶんしょうでもいいので、相談そうだんできることが何なにより必要ひつようだと思おもいます」と話はなしていました。

NPO法人ほうじん 「働はたらく男性だんせいの支援しえん強化きょうかを」

自殺じさつの防止ぼうしに取り組とりくんでいる東京とうきょう都とのNPO法人ほうじん「ライフリンク」は、週しゅうに6日にち、SNSを使つかった相談そうだんを受け付うけつけています。

平均へいきんで15人にんから20人にんほどの相談そうだん員いんがLINEでメッセージを送おくってきた人ひととやり取やりとりをしていますが、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいして以降いこう、働はたらき盛ざかりの男性だんせいからの相談そうだんが目立めだっているということです。

「ライフリンク」の清水しみず康之やすゆき代表だいひょうは「自殺じさつの増加ぞうか率りつだけを見みると女性じょせいのほうが顕著けんちょだが、男性だんせいの自殺じさつも依然いぜんとして多おおい。特とくに非ひ正規せいきで働はたらく人ひとや経営けいえいが安定あんていしていない自営業じえいぎょう者しゃが、新型しんがたコロナウイルスの直接ちょくせつ的てきな打撃だげきを受うけている」と指摘してきしています。

そして「これまで国くにが打ち出うちだしてきた支援しえん策さくや雇用こよう対策たいさくが、生活せいかつの安定あんていや命いのちを守まもってきた側面そくめんが多分たぶんにある」としたうえで、「雇用こよう情勢じょうせいがさらに悪化あっかすれば、人間にんげん関係かんけいや心こころの健康けんこうの悪化あっかを引き起ひきおこし、自殺じさつのリスクが高たかまりかねない。日本にっぽんでは依然いぜんとして男性だんせいが一家いっかの収入しゅうにゅうを支ささえている世帯せたいが多おおく、働はたらき盛ざかりの男性だんせいの仕事しごとを守まもることは、家族かぞくの暮くらしや命いのちを守まもっていくことにもつながる。働はたらく男性だんせいへの支援しえんを強化きょうかすることが必要ひつようだ」と指摘してきしています。