国際宇宙ステーションに
物資を
運ぶ日本の
宇宙輸送船「こうのとり」
8号機を
載せた
H2Bロケットは11
日午前6時33
分に
打ち上げられる
予定でしたが、
発射台周辺で
火災が
起き、
打ち上げは
延期されました。
日本の
宇宙輸送船「こうのとり」
8号機を
載せた
H2Bロケットは、11
日午前6時33
分に
鹿児島県の
種子島宇宙センターから
打ち上げられる
予定でした。
しかし、打ち上げ予定時刻の3時間半ほど前の午前3時5分ごろ、ロケットが据え付けられた発射台で火災が起きたため、午前4時15分すぎに打ち上げは中止されました。
会見を開いた三菱重工業によりますと、火災は発射台のロケットからの煙や炎を逃がす開口部の周辺で起きていて、2時間ほど燃え続けましたが、すでに炎は確認できなくなったということです。
火が出た発射台は、H2Bロケット専用のもので、10年前の1号機の打ち上げから使用されていましたが、火災によって打ち上げが中止されたのは初めてだということです。
三菱重工業などは現在、原因を調査中で、今後の打ち上げについては、ロケットや発射場への影響を調査したうえで決めたいとしています。
記者会見した三菱重工業の担当者は「打ち上げが中止になり、申し訳ございません」と話しました。
宇宙ステーションの物資 当面は影響なし
H2Bロケットには国際宇宙ステーションに物資を運ぶ無人の輸送船「こうのとり」の8号機が搭載されていました。
「こうのとり」を開発したJAXA=宇宙航空研究開発機構の担当者は、11日の記者会見で、「NASA=アメリカ航空宇宙局との取り決めの中に、いつまでに打ち上げなければならないという期限はなく、火災の原因究明などが終わり次第、次の打ち上げ時期を国際的に調整することになる。宇宙ステーションの物資の備蓄量は十分で、当面、補充がなくても大丈夫な状況であり、今回交換する予定の宇宙ステーションのバッテリーの消費状況についても、来年の終わりごろまでは少なくとも大丈夫だと解析している」と話しています。
専門家「燃料漏れの可能性はない」
今回の火災について、宇宙工学に詳しい大同大学の澤岡昭 名誉学長は「これまで日本は宇宙ステーションへの物資の輸送をトラブルなく担ってきただけに大変驚いている。映像を見ると爆発的な燃え方はしておらず、燃料の液体水素が漏れて引火した可能性はないと思う。現時点では全く情報がないため、あくまで推測にすぎないが、発射台の中にある可燃物としては、油圧装置に使われる油や絶縁体として使われているプラスチックなどが考えられる。あくまで一般論だが、電気的なショートなどが火元になることも考えられる」と話しています。