カメムシが全国ぜんこく各地かくちで大量たいりょう発生はっせい 14県けんで注意報ちゅういほう 対策たいさく呼よびかけ

千葉ちば県けんで生息せいそく数すう調査ちょうさ この10年ねんで最もっとも多おおく

このうち千葉ちば県内けんないでは、千葉ちば県けん農林のうりん総合そうごう研究けんきゅうセンターが7月つき中旬ちゅうじゅんに、31か所かしょの田たんぼで「斑点はんてん米まいカメムシ類るい」の生息せいそく数すうの調査ちょうさを行おこなったところ、1か所かしょ当あたりで見みつかった数かずは平年へいねんのおよそ2倍ばいに上のぼり、少すくなくとも、この10年ねんで最もっとも多おおくなりました。

「斑点はんてん米まいカメムシ類るい」は、いずれも体長たいちょう1センチ余あまりの「クモヘリカメムシ」や「イネカメムシ」などのことで、成長せいちょう途中とちゅうの稲いねのもみから養分ようぶんを吸い取すいとってコメを黒くろく変色へんしょくさせ、品質ひんしつを低下ていかさせるため、法律ほうりつに基もとづく「有害ゆうがい動物どうぶつ」に指定していされています。

農林水産省のうりんすいさんしょうによりますと、このカメムシは、本州ほんしゅうや九州きゅうしゅう、四国しこくの各地かくちで多おおく発生はっせいすると予想よそうされ、千葉ちばのほか、埼玉さいたま、宮城みやぎ、大分おおいたなど、全国ぜんこく14の県けんで「注意報ちゅういほう」が出だされています。

千葉ちば県けんで「注意報ちゅういほう」が出だされるのは、2020年ねん以来いらいです。

気温きおんの高たかい日ひが続つづき、繁殖はんしょくが活発かっぱつになったことなどが原因げんいんとみられ、県けんは農家のうかに対にたいし、カメムシが集あつまりやすいイネ科かの雑草ざっそうの除草じょそうや、駆除くじょする薬剤やくざいの散布さんぷなど、対策たいさくを強化きょうかするよう呼よびかけています。

コメ農家のうか 例年れいねんどおり対策たいさくするも被害ひがいが

千葉ちば県けん大多喜おおたき町まちでコメ農家のうかを50年ねん近ちかく営いとなむ江こう澤さわ正久まさひささんは、大量たいりょう発生はっせいしたカメムシの被害ひがいに頭あたまを悩なやませています。

江こう澤さわさんの田たんぼでは、8月つきから収穫しゅうかくが始はじまっていますが、収穫しゅうかくしたコメの一部いちぶには、カメムシによって黒くろく変色へんしょくした米べい粒つぶが混まざり、全体ぜんたいの1割わり弱じゃくが値ねがあまりつかない「くず米くずまい」になったということです。

カメムシの発生はっせいを抑おさえるには、ある程度あるていど、稲いねが成長せいちょうした時期じきに駆除くじょする薬剤やくざいを散布さんぷしたり、田たんぼのあぜにある雑草ざっそうを除去じょきょしたりすることが有効ゆうこうとされています。

江こう澤さわさんは例年れいねんどおり、7月つき中旬ちゅうじゅんにこうした対策たいさくをとりましたが、ことしは気温きおんの高たかさもあって稲いねの成長せいちょうが早はやかったため、効果こうかが不十分ふじゅうぶんで、夏なつになると、田たんぼのあちこちでカメムシが発生はっせいしてしまったということです。

田たんぼでは24日にちも複数ふくすうのカメムシが見みられ、収穫しゅうかくを待まつ稲いねの穂ほや葉はの裏うらに隠かくれる様子ようすが確認かくにんできました。

害虫がいちゅうのカメムシは高温こうおん多湿たしつの環境かんきょうを好このみますが、近年きんねんの気温きおんの高たかさは、50年ねん近ちかく農業のうぎょうを続つづけてきた江こう澤さわさんにとっても経験けいけんがないということで、今後こんご、さらに気温きおんが上昇じょうしょうすれば、対策たいさくが追おいつかなくなるのではないかと懸念けねんしています。

江こう澤さわさんは「育そだてたコメが被害ひがいを受うけてしまい、とてもつらいです。暑あつさが厳きびしくなるとともに、年々ねんねんカメムシが増ふえているように感かんじます。気温きおんが高たかまる中なかで、稲いねの成長せいちょうの早はやさも変かわりつつあり、対策たいさくをとる時期じきも考え直かんがえなおさなければ」と話はなしていました。

専門せんもん家か“春はるから夏なつに気温きおん高たかい日ひが続つづいたことなど影響えいきょう”

カメムシが大量たいりょうに発生はっせいしている理由りゆうについて、カメムシの生態せいたいに詳くわしい農のう研けん機構きこう東北とうほく農業のうぎょう研究けんきゅうセンターの田渕たぶち研けん上級じょうきゅう研究けんきゅう員いんは、ことしの春はるから夏なつにかけて気温きおんの高たかい日ひが続つづいたことなどが影響えいきょうしていると分析ぶんせきしています。

田渕たぶち上級じょうきゅう研究けんきゅう員いんによりますと、春はるから夏なつにかけて繁殖はんしょくを繰り返くりかえして数かずを増ふやす「斑点はんてん米まいカメムシ類るい」は、高温こうおん多湿たしつの環境かんきょうを好このむため、気温きおんが高たかくなるほど繁殖はんしょくと成長せいちょうが盛さかんになります。

ことしは初夏しょかから気温きおんの高たかい日ひが続つづいて活動かつどうが活発かっぱつだった上うえ、近年きんねんは冬ふゆの気温きおんも十分じゅうぶんに下さがらないことから多おおくの個体こたいが冬ふゆを越こしたため、大量たいりょうに発生はっせいしたとみられるということです。

害虫がいちゅうのカメムシは、餌えさとなるイネ科かの植物しょくぶつの生育せいいくが進すすむにつれて数かずが増ふえていくことから、対策たいさくとしては、稲いねの穂ほが出で始はじめる1週間しゅうかん前まえまでに田たんぼの周辺しゅうへんで雑草ざっそうが伸のびないよう草刈くさかりや除草じょそう剤ざいの散布さんぷを行おこない、稲いねがある程度あるていど成長せいちょうしたあとは殺虫さっちゅう剤ざいを使つかうことも効果こうか的てきだということです。

田渕たぶち上級じょうきゅう研究けんきゅう員いんは「地球ちきゅう温暖おんだん化かなどによる気温きおんの上昇じょうしょうで、近年きんねんは農業のうぎょうへの被害ひがいが出でやすい環境かんきょうになってしまっている。自治体じちたいからの情報じょうほうも参考さんこうに被害ひがいを予防よぼうしてほしい」としています。

千葉ちば県知事けんちじ “毎月まいつき 発生はっせい状況じょうきょうや予防よぼう策さくを発表はっぴょう”

カメムシが大量たいりょうに発生はっせいし、収穫しゅうかくを迎むかえたコメへの被害ひがいが起おきていることについて、千葉ちば県けんの熊谷くまがい知事ちじは、農家のうかに早はやめの対応たいおうを促うながすため「注意報ちゅういほう」を出だしたと説明せつめいしました。

そのうえで、「農作物のうさくもつの害虫がいちゅうは、気温きおんが高たかくなると発生はっせいしやすくなる。県けんとして毎月まいつき、発生はっせい状況じょうきょうや予防よぼう策さくについて発表はっぴょうしているので、農家のうかの方々かたがたには、気象きしょう状況じょうきょうの変化へんかに対応たいおうしながら、千葉ちば県けんの農産物のうさんぶつをいい状態じょうたいで生産せいさんしてもらいたい」と述のべました。