大阪おおさか 新しん世界せかい 老舗しにせふぐ料理りょうり店てん「づぼらや」閉店へいてんへ コロナ影響えいきょう

再開さいかいを目指めざしてきましたが、運営うんえい会社かいしゃは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで経営けいえい状況じょうきょうが悪化あっかしたうえ、「大勢たいせいで鍋なべを囲かこむスタイルの飲食いんしょく店てんで、再開さいかいしても密みつを避さけながらこれまでどおりに営業えいぎょうする見通みとおしを立たてられなかった」として、臨時りんじ休業きゅうぎょうから営業えいぎょうを再開さいかいしないまま、ことし9月つきで閉店へいてんすることを決きめました。

づぼらやがある「新しん世界せかい」は、外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃにも人気にんきの大阪おおさかを代表だいひょうする観光かんこう名所めいしょですが、多おおくの店舗てんぽが長期ちょうき間かんの休業きゅうぎょうや営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅくを迫せまられ、厳きびしい経営けいえい環境かんきょうに置おかれています。

運営うんえい会社かいしゃの松田まつだ隆治りゅうじ会長かいちょうは「『再開さいかいしてほしい』という電話でんわを多おおくいただいているだけに、申し訳もうしわけなく思おもいます」と話はなしています。

店みせの張り子はりこの看板かんばんは、観光かんこう名所めいしょの通天閣つうてんかくとともに大阪おおさかを象徴しょうちょうするランドマークの1つとして長年ながねん、親したしまれていて、会社かいしゃは、今後こんご、対応たいおうを検討けんとうしたいとしています。

大正たいしょう9年ねん創業そうぎょう ことしで100年ねん迎むかえる

「づぼらや」は大阪おおさかを代表だいひょうする老舗しにせのふぐ料理りょうり店てんです。大正たいしょう9年ねん（1920年ねん）に創業そうぎょうし、ことしでちょうど100年ねんを迎むかえました。新しん世界せかい本店ほんてんと道頓堀どうとんぼり店てんの2店舗てんぽを展開てんかいしています。

いずれの店先みせさきにも巨大きょだいなふぐの張り子はりこの看板かんばんが掲かかげられていて、くいだおれの街まちを象徴しょうちょうする存在そんざい感かんを発揮はっきしています。

新しん世界せかい本店ほんてんは客席きゃくせきが150席せき、道頓堀どうとんぼり店てんは400席せきあり、大だい人数にんずうの宴会えんかいにも対応たいおうしていることから団体だんたい客きゃくの利用りようも多おおく、観光かんこう客きゃくも含ふくめた幅広はばひろい顧客こきゃくに親したしまれてきました。

街まちの人ひとたちは…

大阪おおさか・新しん世界せかいでは、「づぼらや」の閉店へいてんを惜おしむ声こえが数多かずおおく聞きかれました。

新しん世界せかいに50年ねん近ちかく住すむ80歳さいの男性だんせいは「30年ねんくらい前まえは景気けいきもよく、しょっちゅう食たべに来きていました。その頃ころからてっちりが安やすくておいしくて、多おおくの人ひとでにぎわっていました。閉店へいてんすると聞きいてびっくりしましたし、看板かんばんがなくなったらさみしいです」と話はなしていました。

また大阪おおさか・熊取くまとり町まちの63歳さいの女性じょせいは「100年ねん続つづいた老舗しにせがなくなるのは残念ざんねんです」と閉店へいてんを惜おしんでいました。

出張しゅっちょうで東京とうきょうから訪おとずれた47歳さいの男性だんせいは「大阪おおさかといえばこの風景ふうけいだと思おもっていたので、店みせが閉しまるのは残念ざんねんです」と話はなしていました。

外食がいしょく需要じゅよう 解除かいじょ後ごに元もとの水準すいじゅんは50％にとどまる

野村のむら総合そうごう研究所けんきゅうじょは、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうを受うけた外食がいしょく需要じゅようの推計すいけいをまとめています。

それによりますと緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出でている期間きかん中ちゅうは感染かんせん拡大かくだい前まえの水準すいじゅんの23.8％まで下さがったということです。

そして、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが解除かいじょされても外食がいしょく需要じゅようは元もとの水準すいじゅんの50.1％にとどまると推計すいけいしています。

この推計すいけいは、利用りよう者しゃが以前いぜんと同おなじ頻度ひんどで外食がいしょくすることを前提ぜんていとしているため、人々ひとびとが外食がいしょくに行いく回数かいすうが減へれば、さらに厳きびしい数字すうじになるとみています。

野村のむら総合そうごう研究所けんきゅうじょは「新型しんがたコロナウイルス感染かんせん拡大かくだい前まえの水準すいじゅんまで需要じゅようが回復かいふくするには長ながい時間じかんを要ようすると想定そうていされる。感染かんせん防止ぼうし対策たいさくで店舗てんぽの収益しゅうえき性せいが低ひくくなり、経営けいえいが成り立なりたたない店みせも出でてくるだろう」と指摘してきしています。

同どう業者ぎょうしゃからも惜おしむ声こえ

同おなじ新しん世界せかいで、老舗しにせの串カツくしかつ店てんを経営けいえいする上山うえやま勝也かつやさんは、「づぼらやさんが閉店へいてんすると聞きいて、一緒いっしょに新しん世界せかいで長ながくやってきた仲なかとしてショックを感かんじています」と閉店へいてんを惜おしんでいました。

創業そうぎょう100年ねんのづぼらやに対たいし、上山うえやまさんの店みせも創業そうぎょう91年ねんを数かぞえる老舗しにせで、長年ながねん、ともに街まちのにぎわいを支ささえてきた店みせの閉店へいてんに「寂さびしいし、痛いたいし、もったいない。できればこの場所ばしょでずっと一緒いっしょに商売しょうばいをしていたかったです」と話はなしていました。

また、上山うえやまさんは「通天閣つうてんかくの写真しゃしんを撮とると必かならず、づぼらやさんのふぐが一緒いっしょに映うつり込こむ。づぼらやさんが無なくなると新しん世界せかいの景色けしきが変かわってしまう。大阪おおさかの1つの象徴しょうちょう、シンボルマークが消きえてしまうのはとてもさみしい」と話はなしていました。

消きえゆくシンボルに…

新しん世界せかいにそびえる通天閣つうてんかくと、づぼらやのふぐの看板かんばんは、この街まちの言いわばシンボルとして多おおくの人ひとたちに親したしまれてきました。

大阪おおさかを代表だいひょうする観光かんこう名所めいしょ、通天閣つうてんかくの高井たかい隆光たかみつ社長しゃちょうは、「新しん世界せかいでは、通天閣つうてんかくとづぼらやさんのふぐのちょうちんが2枚まい看板かんばんだと思おもっていたので、それがなくなるかもしれないと思おもうと、相方あいかたを失うしなったような気持きもちで、さみしいです」と話はなしていました。

また「新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、新しん世界せかいの街まちもまだまだ客きゃくが戻もどりませんが、通天閣つうてんかくだけでも街まちを背負せおっていくつもりで、地域ちいきの人ひとたちと協力きょうりょくして乗り越のりこえらるよう頑張がんばっていきたい」と話はなしていました。