日本新聞: 電車内での切りつけなど安全確保のため私たちにできることは

電車でんしゃ内ないでの切きりつけなど安全あんぜん確保かくほのため私わたしたちにできることは

Nov 2, 2021 20:11

Furigana

京王けいおう線せんの車内しゃないで乗客じょうきゃくが切きりつけられるなど、電車でんしゃ内ないや駅えきで刃物はものを使用しようした事件じけんが相次あいついでいます。

鉄道てつどうの車両しゃりょう内ないで襲撃しゅうげき事件じけんや火事かじが起おきたとき、乗客じょうきゃくはどのような設備せつびを使つかうことができるのでしょうか。

都内とないを中心ちゅうしんに運行うんこうする東急とうきゅう電鉄でんてつが、車両しゃりょう基地きちの車両しゃりょうを使つかって取材しゅざいに応おうじました。

国土こくど交通こうつう省しょうによりますと、鉄道てつどうの各かく車両しゃりょうには、原則げんそくとして、▽非常ひじょう通報つうほう装置そうち、▽消火しょうか器き、▽手動しゅどうで扉とびらを開ひらくことができる非ひ常用じょうようのドアコックなどを設置せっちすることが省令しょうれいで義務ぎむづけられています。

これらの設備せつびは乗客じょうきゃくが使用しようすることを想定そうていしていて、東急とうきゅう電鉄でんてつでは、いずれも車両しゃりょうごとに複数ふくすう、設置せっちしています。

東急とうきゅう電鉄でんてつは、非常時ひじょうじにはまずは身みの安全あんぜんを確保かくほするよう求もとめていて、そのうえで、余裕よゆうがある場合ばあいは非常ひじょう通報つうほう装置そうちを使用しようしてほしいとしています。

非常ひじょう通報つうほう装置そうち

非常ひじょう通報つうほう装置そうちは、ボタンを力強ちからづよく押おすと作動さどうし、ブザーが鳴なってランプが光ひかり、周囲しゅういに緊急きんきゅう事態じたいを知しらせるとともに、車掌しゃしょうや運転うんてん士しにも伝つたわり、連絡れんらくができるようになります。

この際さい、▽車両しゃりょう番号ばんごうや先頭せんとうから何なん両りょう目めの車両しゃりょうかなどを伝つたえ、どの場所ばしょで緊急きんきゅう事態じたいが起おきたかや▽具体ぐたい的てきに何なにが起おきたかを簡潔かんけつに連絡れんらくしてほしいとしています。

消火しょうか器き

消火しょうか器きは、一般いっぱんのものと使い方つかいかたは変かわりませんが、国土こくど交通こうつう省しょうによりますと、国内こくないの鉄道てつどう車両しゃりょうは火災かさい対策たいさくとして燃もえにくい構造こうぞうにすることが定さだめられているため、車両しゃりょうから車両しゃりょうに延焼えんしょうすることは考かんがえにくく、火災かさいが発生はっせいした場合ばあいは、速すみやかに隣となりの車両しゃりょうへ逃にげることが身みの安全あんぜんにつながるということです。

ふだん利用りようしている車両しゃりょうのどこに何なにがあるのか心こころがけて見みて

各かく設備せつびの設置せっち場所ばしょは車両しゃりょうによって異ことなりますが、非常ひじょう通報つうほう装置そうちは乗降じょうこう口ぐちの近ちかく、消火しょうか器きは車両しゃりょうの連結れんけつ部ぶの近ちかくに設置せっちされていることが多おおいということです。

奥野おくのさんは「車両しゃりょう内ないに通報つうほう装置そうちなどの設備せつびがあることが知しられていないので、ふだん利用りようしている車両しゃりょうのどこに何なにがあるのかを心こころがけて見みていただきたい。会社かいしゃとしても、設備せつびの使い方つかいかたなどの情報じょうほうを発信はっしんしていきたい」と話はなしていました。

国土こくど交通こうつう省しょう鉄道てつどう事業じぎょう者しゃ各社かくしゃに再発さいはつ防止ぼうし策さくの報告ほうこく求もとめる

国土こくど交通こうつう省しょうは2日にち、JR各社かくしゃや私鉄してつの安全あんぜん管理かんりの責任せきにん者しゃを集あつめて緊急きんきゅうの会議かいぎを開ひらきました。

2日にちの会議かいぎには、JRや私鉄してつなど鉄道てつどう事業じぎょう者しゃ32社しゃの安全あんぜん管理かんり責任せきにん者しゃが出席しゅっせきし、はじめに国土こくど交通こうつう省しょうの上原うえはら淳あつし鉄道てつどう局長きょくちょうが「警備けいび員いんによる駅えき構内こうないの巡回じゅんかいや車内しゃないの警戒けいかいなどの対策たいさくの取り組とりくみにもかかわらず、こうした事態じたいが発生はっせいしたことは大変たいへん遺憾いかんだ」と述のべました。

そのうえで、鉄道てつどう事業じぎょう者しゃに対にたいし▽列車れっしゃ内ないや駅えきの防犯ぼうはんカメラを増ふやすなどの対策たいさくを強化きょうかすることや、▽事件じけんの際さいの情報じょうほう共有きょうゆうの在り方ありかたや乗客じょうきゃくの安全あんぜんを確保かくほする方法ほうほうなど再発さいはつ防止ぼうし策さくを検討けんとうし、報告ほうこくするよう求もとめました。

会議かいぎはこのあと非公開ひこうかいで行おこなわれ、京王けいおう電鉄でんてつからは、事件じけん直後ちょくご、▽「非常ひじょう通報つうほう装置そうち」が複数ふくすう、作動さどうしたものの、乗客じょうきゃくからの応答おうとうがなく、すぐに状況じょうきょうが把握はあくできなかったことや、▽非常時ひじょうじにドアを開あけるドアコックが使用しようされたため、列車れっしゃが通常つうじょうの停車ていしゃ位置いちより手前てまえで止とまり、ホームドアと列車れっしゃのドアの位置いちがずれ、乗客じょうきゃくが窓まどから避難ひなんすることになったいきさつなどが報告ほうこくされました。

また、当面とうめんの間ま、▽駅員えきいんなどによる巡回じゅんかい強化きょうかのほか▽車両しゃりょうに警戒けいかい要員よういんを乗車じょうしゃさせるなどの対策たいさくをとることが示しめされたということです。

その後そのごの意見いけん交換こうかんを踏ふまえ、国土こくど交通こうつう省しょうは▽複数ふくすうの非常ひじょう通報つうほう装置そうちが押おされた場合ばあいには乗客じょうきゃくと通話つうわができなくても緊急きんきゅう事態じたいと判断はんだんし、速すみやかに停車ていしゃすることや、▽緊急きんきゅう対応たいおう時じにホームドアと列車れっしゃのドアの位置いちがずれた場合ばあいには双方そうほうの扉とびらをあけ、乗客じょうきゃくを誘導ゆうどうすることを基本きほん的てきな対応たいおう方針ほうしんとすることを鉄道てつどう事業じぎょう者しゃに指示しじしたということです。

国土こくど交通こうつう省しょうは、ことし8月つきに小田急おだきゅう線せんで乗客じょうきゃくが切きりつけられた事件じけんを受うけ、非常ひじょう通報つうほう装置そうちの周知しゅうちの徹底てっていなど、鉄道てつどう事業じぎょう者しゃの対策たいさくを取とりまとめていますが、わずか3か月かげつほどで同様どうようの事件じけんが起おきたことで、さらなる対策たいさくについて検討けんとうすることにしています