日本新聞: “軽石” 沖縄奄美に加え伊豆諸島でも影響長期化か

“軽石かるいし” 沖縄おきなわ奄美あまみに加くわえ伊豆いず諸島しょとうでも影響えいきょう長期ちょうき化かか

Nov 22, 2021 18:11

Furigana

沖縄おきなわや奄美あまみに加くわえ、伊豆いず諸島しょとうでも次々つぎつぎに確認かくにんされている軽石かるいし。生活せいかつに大おおきな影響えいきょうを及およぼしていますが、専門せんもん家かが22日にち公開こうかいした最新さいしんのシミュレーションでは、いずれの地域ちいきでも影響えいきょうが長期ちょうき化かするおそれがあるとしています。

伊豆いず諸島しょとうで相次あいついで漂着ひょうちゃく確認かくにん

ことし8月つき、小笠原おがさわら諸島しょとうの海底かいてい火山かざん「福徳ふくとく岡ノおかの場じょう」から噴出ふんしゅつした大量たいりょうの軽石かるいしは、10月つきに沖縄おきなわや奄美あまみに流れ着ながれつくと一部いちぶは黒潮くろしおの海流かいりゅうにのったとみられ、今月こんげつ、伊豆いず諸島しょとうで相次あいついで確認かくにんされています。伊豆いず大島おおしまや式根島しきねじま、三宅みやけ島とうで確認かくにんされたほか、神津島こうづしまでも21日にち、漂着ひょうちゃくが確認かくにんされています。

伊豆いず諸島しょとうへの影響えいきょう長期ちょうき化かも

軽石かるいしの動うごきを分析ぶんせきしているJAMSTEC＝海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこうは、22日にち最新さいしんのシミュレーションを公表こうひょうしました。

シミュレーションはJAXAの衛星えいせいが観測かんそくした軽石かるいしのデータと独自どくじの海流かいりゅうモデルなどを用もちいて行おこなわれ、風かぜの影響えいきょうについては▽影響えいきょうが無ない場合ばあいと▽ある程度あるていどある場合ばあい▽強つよい場合ばあいの3つのシナリオで計算けいさんされていてます。

シミュレーションでは、まとまった軽石かるいしが静岡しずおか県けんの沖合おきあいを東ひがしに進すすみ、伊豆いず諸島しょとうに向むかうとされています。

これまでの想定そうていよりも沿岸えんがんに近ちかくなっていて、本州ほんしゅうに漂着ひょうちゃくするようには見みえないものの、専門せんもん家かは「あくまでもシミュレーションで、周辺しゅうへんの海域かいいきでは注意ちゅういが必要ひつようだ」としています。

伊豆いず諸島しょとうでは軽石かるいしの接近せっきんは続つづくとみられ、三宅みやけ島とうや八丈はちじょう島とうの周辺しゅうへんなどに近ちかづいたあと、来月らいげつ上旬じょうじゅんごろには東ひがしの海上かいじょうへ離はなれていくと予想よそうされています。

しかし、沖縄おきなわからの軽石かるいしが再ふたたび近ちかづく動うごきが確認かくにんでき、専門せんもん家かは、伊豆いず諸島しょとうでは影響えいきょうの長期ちょうき化かが懸念けねんされるとしています。

沖縄おきなわ奄美あまみ軽石かるいしの停滞ていたい続つづく

また、深刻しんこくな影響えいきょうが続つづいている沖縄おきなわや奄美あまみでは、沖合おきあいへ離はなれていく傾向けいこうにあるものの、今回こんかいのシミュレーションの範囲はんいで最もっとも先さきにあたる来月らいげつ9日にち時点じてんでも、沿岸えんがんや周辺しゅうへん海域かいいきに多おおくの軽石かるいしがとどまるとみられています。

分析ぶんせきをした専門せんもん家か「来月らいげつ中旬ちゅうじゅんにも新あらたな軽石かるいし接近せっきんの可能かのう性せい」

分析ぶんせきを行おこなっている海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこうの美山みやま透とおる主任しゅにん研究けんきゅう員いんは「伊豆いず諸島しょとうには、来月らいげつの中旬ちゅうじゅんにも新あらたなまとまった軽石かるいしが接近せっきんする可能かのう性せいがある。ただ、衛星えいせいが捉とらえられなかった軽石かるいしはシミュレーションには反映はんえいされていないため、途切とぎれなく接近せっきんするおそれもあり引き続ひきつづき注意ちゅういが必要ひつようだ」と話はなしています。

海洋かいよう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこうのシミュレーションは当面とうめん、数すう日にちおきに更新こうしんされるということです。

火山かざんの専門せんもん家か「海面かいめんからは見みえなくなっても海中かいちゅう漂ただよう可能かのう性せい」

東京とうきょう伊豆いず諸島しょとうに漂着ひょうちゃくした軽石かるいしについて、産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょの活かつ断層だんそう・火山かざん研究けんきゅう部門ぶもんの及川おいかわ輝樹てるき主任しゅにん研究けんきゅう員いんは、沖縄おきなわに漂着ひょうちゃくした軽石かるいしに比くらべて小ちいさく丸まるみを帯おびているように見みえると分析ぶんせきしたうえで、影響えいきょうは長期ちょうきに及およぶおそれがあり、引き続ひきつづき船舶せんぱくへの影響えいきょうに注意ちゅういする必要ひつようがあると指摘してきしています。

及川おいかわ主任しゅにん研究けんきゅう員いんは、これまで沖縄おきなわ県けんで軽石かるいしの調査ちょうさに当あたってきました。

今回こんかいの軽石かるいしは小笠原おがさわら諸島しょとうの海底かいてい火山かざんの噴火ふんかで噴出ふんしゅつしたものと見みられていますが、沖縄おきなわ県けんで漁業ぎょぎょうなどに大おおきな影響えいきょうが出でていることについて、「明治めいじ以降いこうの国内こくないの火山かざん噴火ふんかとしては最大さいだいクラスの規模きぼだったため、これだけの多おおくの量りょうが海岸かいがんに漂着ひょうちゃくしている」と説明せつめいしました。

そして、伊豆いず諸島しょとうの三宅みやけ島とうに漂着ひょうちゃくした軽石かるいしの映像えいぞうから、沖縄おきなわ県けんの軽石かるいしと比較ひかくすると、三宅みやけ島とうのものの方ほうが全体ぜんたい的てきに小ちいさく丸まるみを帯おびたものが多おおいように見みえると分析ぶんせきしました。

これは、海流かいりゅうに流ながされ波なみにもまれるうちに小ちいさく丸まるくなった可能かのう性せいがあるということです。

さらに及川おいかわ主任しゅにん研究けんきゅう員いんは、「流ながれる時間じかんが長たければそれだけ面めん的てきな広ひろがりを持もつため、沖縄おきなわと比くらべれば密集みっしゅうの程度ていどは薄うすまるはずだ」と指摘してきしました。

一方いっぽう、今後こんごの見通みとおしについては「潮しおの満みち干ひなどによって軽石かるいしは移動いどうしていくが、その過程かていで波なみにもまれ小ちいさくなり、穴あなの数かずも減へって海中かいちゅうに沈しずんでいく。この動うごきは数すう年ねんから10年ねんという単位たんいで進すすむだろう」としたうえで、「海面かいめんからは見みえなくなっても海底かいていに沈しずむまでの間まに海中かいちゅうを漂ただよっているということもありえる。船舶せんぱくの運航うんこうには当面とうめんの間ま、十分じゅうぶんに注意ちゅういする必要ひつようがある」と指摘してきしています。