Báo tiếng Nhật: 「復興五輪」はどこへの声と喜多方ラーメン店主が考えたこと

「復興ふっこう五輪ごりん」はどこへの声こえと喜多方きたかたラーメン店主てんしゅが考かんがえたこと

Aug 9, 2021 08:08

Furigana

「『復興ふっこう五輪ごりん』とは名なばかり」

「選手せんしゅに罪つみはない。しかし、これだけは言いっておきたい。なにが『復興ふっこう五輪ごりんだ』」

SNS上じょうでは、東京とうきょうオリンピックに掲かかげられた「復興ふっこう五輪ごりん」の理念りねんに違和感いわかんを感かんじるという人ひとの声こえも相次あいついでいます。東京とうきょうにいた被災ひさい地ちの人ひとは、17日間にちかんにわたった東京とうきょうオリンピックをどんな思おもいで見みつめたのでしょうか。

喜多方きたかたラーメンの老舗しにせ店主てんしゅの目めには…

東京とうきょうオリンピックの閉会へいかい式しきが行おこなわれ、大会たいかいが幕まくを下おろした今月こんげつ8日にちの午後ごご。

東京とうきょう日本橋にほんばしにある福島ふくしま県けんの物産ぶっさん館かん「日本橋にほんばしふくしま館かん MIDETTE（みでって）」を訪たずねました。

ここで毎月まいつき出店しゅってんしているのは喜多方きたかたラーメンの老舗しにせ「まるや」の店主てんしゅ、矢田目やため憲一けんいちさん（66）です。

全国ぜんこくからファンが訪おとずれ、スープが無なくなり次第しだい、営業えいぎょうを終了しゅうりょうします。

8日にちも客きゃくが多おおく訪おとずれ、午後ごご早はやくに店みせを閉しめていました。

根強ねづよい風評ふうひょう被害ひがい

矢田目やためさんが東京とうきょうの物産ぶっさん館かんで出店しゅってんを始はじめたのは、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいと東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの事故じこの影響えいきょうで根強ねづよい風評ふうひょう被害ひがいに悩なやまされてきたからです。

福島ふくしま県けん喜多方きたかた市しの店みせは、客足きゃくあしが一時いちじ、8割わり近ちかく減へり、あれから10年ねんたった今たったいまでも半分はんぶんほどしか戻もどってきていないといいます。

喜多方きたかたの味あじを広ひろく伝つたえるとともに、被災ひさい地ちの現状げんじょうを知しってほしいという思おもいで、毎月まいつき、東京とうきょうまで足あしをのばし、1人にんで店みせを切り盛きりもりしています。

『復興ふっこう五輪ごりん』に期待きたい持もっても…

そんな矢田目やためさんの目めに、東京とうきょうオリンピックはどう映うつったのでしょうか。

尋たずねると、次つぎのように答こたえました。

「五輪ごりんと復興ふっこうは、別べつに考かんがえたほうがいい。この10年ねんで目めに見みえる復興ふっこうの成果せいかなんて、ほとんど無ないと思おもっています。だから、『復興ふっこう五輪ごりん』ということばに大おおきな期待きたいを持もってもしかたがない」

「でも」と話はなしを続つづけ、複雑ふくざつな気持きもちを明あかしてくれました。

「期待きたいしてもしかたがないと思おもっていても、マイナスイメージの福島ふくしま県けんを少すこしでも変かえる“きっかけ”は、どんな小ちいさなものでもほしかったです」

変かえる小ちいさな“きっかけ”

矢田目やためさんがその“きっかけ”を感かんじた出来事できごとがありました。

それは、福島ふくしまの桃ももがSNS上じょうで一時いちじ、話題わだいになったことです。

ソフトボールのアメリカ代表だいひょうの監督かんとくが、福島ふくしまで食たべた桃ももを「デリシャスだった」などと話はなしたとしてネット上じょうで話題わだいになりました。

そのあとの週末しゅうまつ、物産ぶっさん館かんの前まえには30人にんほどの行列ぎょうれつができ、桃ももの売り上うりあげは例年れいねんに比くらべて4割わりほど増ふえているといいます。

（矢田目やため憲一けんいちさん）

「福島ふくしまの桃ももが話題わだいになったように、世界せかいの人ひとたちがテレビやネットなどを通をつうじて東京とうきょうオリンピックを観戦かんせんするなかで、福島ふくしまの『今いま』を知しってもらえるきっかけになったと思おもいます。福島ふくしまの人ひとの中なかには、今いまでも原発げんぱつ事故じこで被災ひさいした状況じょうきょうを見みに来きてほしいと考かんがえている人ひともいるでしょう。一方いっぽうで、震災しんさいから10年ねんたって少すこしずつ生活せいかつが戻もどって復興ふっこうが進すすみつつある現状げんじょうを知しってほしいという人ひともいると思おもいます。また、風評ふうひょう被害ひがいが続つづく福島ふくしまの食べ物たべものが安全あんぜん・安心あんしんだと知しってほしいという人ひともいます。震災しんさいの経験けいけんや復興ふっこうへの思おもいを世界せかいの人ひとたちにもっと知しってもらいたい。東京とうきょうオリンピックがそのきっかけになったのなら、私わたしは開催かいさいしてよかったと思おもいます」

「復興ふっこうはまだまだ先さき」

「日本橋にほんばしふくしま館かん MIDETTE」によりますと、オリンピック期間きかん中ちゅう、物産ぶっさん館かんを訪おとずれる人ひとは例年れいねんに比くらべて2割わりほど増加ぞうかし、メダリストのビクトリーブーケに使つかわれている福島ふくしま県けん産さんのトルコギキョウの花はななども人気にんきを集あつめているということです。

（日本橋にほんばしふくしま館かんの担当たんとう者しゃ）

「桃ももをはじめ、福島ふくしまの食べ物たべものは食たべてもらえばおいしいとわかってもらえるんです。オリンピックがそのきっかけになったのを身みをもって体験たいけんして驚おどろきましたし、うれしかったです。多おおくの人ひとに福島ふくしまを知しってもらうことは復興ふっこうと同おなじで、1歩ほ1歩ほ着実ちゃくじつに進すすめていくことが大切たいせつだと思おもっています」