現在の鳥獣保護管理法では、住宅が密集している市街地で猟銃を使用することは禁止されていて、これまで市街地にクマが出没したケースでは警察官が同行し、人に危険が生じている場合にかぎり別の法律に基づいて発砲を命じるなどしていました。
しかし、市街地へのクマの出没が相次ぐ中、迅速な対応をとる必要があるとして、政府は市街地でも市町村の判断で特例的に猟銃の使用を可能とする改正案を閣議決定しました。
それによりますと、
▽クマが住宅地など人の生活圏に出没したり、建物に侵入したりしている
▽緊急に危害を防ぐことが必要になっている
▽迅速に捕獲できる手段がほかにない
▽住民の安全が確保できている
という条件をすべて満たしていることを市町村が確認したうえで、ハンターに委託し猟銃の使用が可能になるとしています。
市町村は必要に応じて通行制限や避難指示を行うほか、猟銃の弾が建物に当たるなどの損害が出た場合はハンターではなく市町村が補償するということです。
改正案はクマのほか市街地への出没が相次いでいるイノシシも対象にしています。
環境省は今後、市街地での猟銃の使用にあたって市町村が確認すべき条件や具体的な手順を示したガイドラインを作成するほか、クマに対応できるハンターのリストを作り、市町村が参照できるようにするということです。
政府は今の通常国会での成立を目指していて、環境省はクマによる被害が増える秋までに市街地で特例的に猟銃を使用できる体制を整えたいとしています。
浅尾環境大臣「市町村の職員に認識してもらうことが大事」
浅尾環境大臣は閣議後の記者会見で「クマが出てきた場合などに被害を防ぐ体制をつくることができる、意義がある法改正だ。具体的なガイドラインをつくり市町村の職員にもしっかりと認識してもらうことが大事だ。銃でクマの猟ができる人材の確保が大切だが、困難な自治体には、環境省が作成するクマ人材データバンクによって人材のマッチングを行うことも可能にしていく」と述べました。