G20外相がいしょう会合かいごう “日本にっぽんのウクライナ支援しえん継続けいぞくを強調きょうちょう” 岩屋いわや外相がいしょう

南アフリカみなみあふりかで開幕かいまくしたG20＝主要しゅよう20か国かこくの外相がいしょう会合かいごうでは、日本にっぽん時間じかんのきょう未明みめいにかけて、地域ちいき情勢じょうせいをめぐる討議とうぎが行おこなわれました。

この中なかで岩屋いわや外務がいむ大臣だいじんは、中国ちゅうごくやロシアなどを念頭ねんとうに「国際こくさい社会しゃかいが法ほうの支配しはいに対にたいする大おおきな挑戦ちょうせんに直面ちょくめんしている。東シナ海ひがししなかいや南シナ海みなみしなかいを含ふくめ、世界せかいのどこであれ、力ちからによる一方いっぽう的てきな現状げんじょう変更へんこうの試こころみは決けっして認みとめられない」と訴うったえました。

その上うえで、岩屋いわや大臣だいじんは、ウクライナ情勢じょうせいをめぐり、外交がいこう努力どりょくで戦闘せんとうが終結しゅうけつし、困難こんなんな状況じょうきょうの打開だかいにつながることへの期待きたいを示しめした上うえで、今後こんごも同志どうし国こくと連携れんけいしながら日本にっぽんのウクライナ支援しえんを継続けいぞくし、中ちゅう長期ちょうき的てきな復旧ふっきゅう・復興ふっこうにも貢献こうけんしていく決意けついを強調きょうちょうしました。

さらに、ロシアと北朝鮮きたちょうせんの軍事ぐんじ協力きょうりょくの進展しんてんに深刻しんこくな懸念けねんを表明ひょうめいするとともに、北朝鮮きたちょうせんの兵士へいしによる戦闘せんとうへの参加さんかを強つよく非難ひなんしました。

そして岩屋いわや大臣だいじんは、G20が国際こくさい協調きょうちょうを主導しゅどうしていくことが必要ひつようだとして、立場たちばの違ちがいや対立たいりつを乗り越のりこえ、すべての国くにが責任せきにんを共有きょうゆうする形かたちで、具体ぐたい的てきな連携れんけいを進すすめてきたいと呼よびかけました。

岩屋いわや外相がいしょう ブラジル外相がいしょうと会談かいだん COP30成功せいこうに向むけ協力きょうりょくなどで一致いっち

G20＝主要しゅよう20か国かこく外相がいしょう会合かいごうのため、南アフリカみなみあふりかを訪問ほうもん中ちゅうの岩屋いわや外務がいむ大臣だいじんは、ブラジルのビエイラ外相がいしょうと会談かいだんし、ことし11月つきに議長ぎちょう国こくブラジルで開ひらかれる気候きこう変動へんどう対策たいさくの国連こくれんの会議かいぎ、COP30の成功せいこうに向むけて、協力きょうりょくしていくことなどで一致いっちしました。

会談かいだんの冒頭ぼうとう、岩屋いわや大臣だいじんは「ことしは、日にちーブラジル外交がいこう関係かんけい樹立じゅりつ130周年しゅうねんで、この節目ふしめに来月らいげつ、ルーラ大統領だいとうりょうを国賓こくひんとして日本にっぽんに迎むかえることを大変たいへん楽たのしみにしている」と述のべました。

会談かいだんで両りょう外相がいしょうは、ことし11月つきに議長ぎちょう国こくブラジルで開ひらかれる気候きこう変動へんどう対策たいさくの国連こくれんの会議かいぎ、COP30の成功せいこうに向むけて協力きょうりょくしていくことで一致いっちしました。

また、両国りょうこくのグリーン分野ぶんやでの連携れんけいのさらなる推進すいしんや、貿易ぼうえき投資とうし関係かんけいの強化きょうかを図はかっていくことも確認かくにんしました。

さらに、ウクライナや中東ちゅうとう、それに東アジアひがしあじあの地域ちいき情勢じょうせいをめぐっても意見いけんを交かわし、岩屋いわや大臣だいじんが北朝鮮きたちょうせんによる拉致らち問題もんだいの即時そくじ解決かいけつに向むけた理解りかいと協力きょうりょくを要請ようせいし、ビエイラ外相がいしょうは支持しじする考かんがえを示しめしました。

そして、国連こくれんの安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいの改革かいかくが実現じつげんするよう、常任じょうにん理事りじ国こく入いりを目指めざす両国りょうこくにドイツとインドを加くわえたG4で引き続ひきつづき連携れんけいしていくことを確認かくにんしました。

中国ちゅうごく ロシア外相がいしょう会談かいだん 米国べいこく関係かんけいやウクライナ情勢じょうせいなど意見いけん交かわす

中国ちゅうごくの王おう毅あつし外相がいしょうとロシアのラブロフ外相がいしょうは、G20＝主要しゅよう20か国かこくの外相がいしょう会合かいごうが開ひらかれている南アフリカみなみあふりかで会談かいだんし、ロシア外務省がいむしょうの発表はっぴょうによりますとアメリカとの関係かんけいやウクライナ情勢じょうせいなどについて意見いけんを交かわしたということです。

また、会談かいだんの中なかでラブロフ外相がいしょうは王おう毅あつし外相がいしょうがモスクワを訪問ほうもんすることで合意ごういしたと述のべました。

中国ちゅうごくの習近平ちから国家こっか主席しゅせきは、ロシアが第だい2次じ世界せかい大戦たいせんでナチス・ドイツに勝利しょうりしたことを祝いわう5月つき9日にちの「戦勝せんしょう記念きねん日び」にあわせてロシアを訪問ほうもんする予定よていで、王おう毅あつし外相がいしょうの訪問ほうもんでは、その準備じゅんびについても協議きょうぎされるとみられます。

アメリカはG20外相がいしょう会合かいごうを欠席けっせき 南アフリカみなみあふりかとの対立たいりつ影響えいきょう

G20の外相がいしょう会合かいごうに、アメリカは南アフリカみなみあふりか政府せいふの土地とち問題もんだいをめぐる対応たいおうなどに抗議こうぎして、ルビオ国務こくむ長官ちょうかんの出席しゅっせきを見送みおくっていて、2国こく間かんの対立たいりつが国際こくさい的てきな協議きょうぎの場ばにも影響えいきょうを及およぼしています。

G20の外相がいしょう会合かいごうは、南アフリカみなみあふりかのヨハネスブルクで、20日にちから2日間にちかんの日程にっていで開ひらかれていて、日本にっぽんの岩屋いわや外務がいむ大臣だいじんや中国ちゅうごくの王おう毅あつし外相がいしょう、ロシアのラブロフ外相がいしょうなどが参加さんかしています。

一方いっぽう、アメリカのルビオ国務こくむ長官ちょうかんは、南アフリカみなみあふりかで1月つきに成立せいりつした財産ざいさん収用しゅうよう法ほうが、個人こじんの所有しょゆう権けんを侵害しんがいするものだなどと抗議こうぎして、出席しゅっせきを見送みおくりました。

南アフリカみなみあふりかでは、かつての植民しょくみん地ち支配しはいやアパルトヘイト＝人種じんしゅ隔離かくり政策せいさくの影響えいきょうで、いまも少数しょうすう派はの白人はくじんが多おおくの土地とちを所有しょゆうする状況じょうきょうが続つづいていて、格差かくさを是正ぜせいするため新あらたな財産ざいさん収用しゅうよう法ほうでは一定いっていの条件じょうけんのもとで、補償ほしょうなしでも土地とちを収用しゅうようできると定さだめています。

これにアメリカのトランプ大統領だいとうりょうが強つよく反発はんぱつし、2月つき7日にちには、南アフリカみなみあふりかへの援助えんじょを凍結とうけつする大統領だいとうりょう令れいに署名しょめいしています。

初日しょにちの20日にちの会合かいごうで南アフリカみなみあふりかのラマポーザ大統領だいとうりょうは「世界せかいで起おきている地政学ちせいがく的てきな緊張きんちょうや、不ふ寛容かんようの広ひろがり、紛争ふんそうや気候きこう変動へんどうなどの問題もんだいについて真剣しんけんに話し合はなしあい、アフリカと世界せかいの国々くにぐにとの協力きょうりょくをさらに深ふかめていくすばらしい機会きかいだ」と述のべ、アフリカで開ひらかれる初はじめてのG20会合かいごうの重要じゅうよう性せいを強調きょうちょうしました。

ただ、アメリカ政府せいふは、来週らいしゅう、開ひらかれるG20の財務ざいむ相しょう・中央ちゅうおう銀行ぎんこう総裁そうさい会議かいぎにも財務ざいむ長官ちょうかんを派遣はけんしない方針ほうしんで、2国こく間かんの対立たいりつが国際こくさい的てきな協議きょうぎの場ばにも影響えいきょうを及およぼす事態じたいとなっています。

南アフリカみなみあふりかの財産ざいさん収用しゅうよう法ほうとは？ 黒人こくじんの声こえが法ほう成立せいりつを後押あとおし

アメリカのトランプ政権せいけんが抗議こうぎしているのが、南アフリカみなみあふりかでラマポーザ大統領だいとうりょうが先月せんげつに署名しょめいして成立せいりつした、新あらたな財産ざいさん収用しゅうよう法ほうです。

この法律ほうりつは南アフリカみなみあふりか政府せいふが公共こうきょうの目的もくてきから国民こくみんの財産ざいさんや土地とちを収用しゅうようする手続てつづきや補償ほしょうのあり方ありかたを定さだめたものです。

このうち土地とちの収用しゅうようについては、長年ながねん使つかわれていない場合ばあいなどは補償ほしょうなしで収用しゅうようできるとしていて、国内こくないで議論ぎろんを呼よんでいます。

南アフリカみなみあふりかでは、17世紀せいき以降いこう、ヨーロッパ列強れっきょうによる植民しょくみん地ち化かや、アパルトヘイト＝人種じんしゅ隔離かくり政策せいさくによって白人はくじんによる土地とちの占有せんゆう化かが進すすみ、黒人こくじんは都市とし郊外こうがいの居住きょじゅう区くなどへの移住いじゅうを迫せまられました。

アパルトヘイトが撤廃てっぱいされ、1994年ねんに黒人こくじん主体しゅたいの政党せいとうが政権せいけんを獲得かくとくしてからも土地とちの再さい分配ぶんぱいは進すすまず、現在げんざいも人口じんこうのおよそ7％にすぎない白人はくじんが農地のうちの70％余あまりを所有しょゆうするいびつな状態じょうたいが続つづいています。

こうした中なか、黒人こくじんの間まで年々ねんねん高たかまっていた土地とち改革かいかくを求もとめる声こえが法律ほうりつの成立せいりつを後押あとおししました。

南アフリカみなみあふりか出身しゅっしんのイーロン・マスク氏しが反対はんたい表明ひょうめい

一方いっぽう、南アフリカみなみあふりか出身しゅっしんでトランプ大統領だいとうりょうに近ちかい実業じつぎょう家かのイーロン・マスク氏しは今回こんかいの法律ほうりつについて白人はくじんの権利けんりを脅おびやかしているとか、白人はくじんに対にたいし差別さべつ的てきだとして、反対はんたいの立場たちばを表明ひょうめいしています。

また、南アフリカみなみあふりかの白人はくじん主体しゅたいの人権じんけん団体だんたい「アフリフォーラム」は、同おなじく反対はんたいの立場たちばからアメリカなどへのロビー活動かつどうを行おこなっていて、今回こんかい、トランプ政権せいけんが南アフリカみなみあふりか政府せいふに抗議こうぎしたことを歓迎かんげいしています。

「アフリフォーラム」のアーンスト・ファンゼイルさんはNHKの取材しゅざいに「ついに世界せかいのリーダーが、とても強つよい姿勢しせいでこの法律ほうりつは間違まちがっていると南アフリカみなみあふりか政府せいふに圧力あつりょくをかけてくれました。アメリカ政府せいふ高官こうかんのG20への欠席けっせきは南アフリカみなみあふりか政府せいふにとって大おおきな打撃だげきなので法律ほうりつの改正かいせいにつながることを期待きたいしています」と話はなしていました。

黒人こくじんの住民じゅうみんからはトランプ政権せいけんに戸惑とまどいの声こえ

アメリカのトランプ政権せいけんが、南アフリカみなみあふりかの財産ざいさん収用しゅうよう法ほうに抗議こうぎするとして国務こくむ長官ちょうかんのG20外相がいしょう会合かいごうへの出席しゅっせきを見送みおくるとともに、南アフリカみなみあふりかへの政府せいふ援助えんじょを凍結とうけつすると表明ひょうめいしたことに黒人こくじんの住民じゅうみんの間まからは戸惑とまどいの声こえが聞きかれます。

最大さいだい都市としヨハネスブルク郊外こうがいのかつての黒人こくじん居住きょじゅう区くに住すむセロ・ヌクタさん（46）は、妻つまと4人にんの子こどもとともに25平方メートルへいほうめ-とるほどの部屋へやが一ひとつしかない公営こうえいアパートに暮くらしています。

子こどもたちが学校がっこうから帰かえってくると座すわる場所ばしょにも困こまる状況じょうきょうで生活せいかつをしているということです。運転うんてん手しゅの仕事しごとをしていますが、子こどもを養やしなうのに精せいいっぱいで、土地とちを買かう余裕よゆうはありませんでした。

ヌクタさんはアパルトヘイト撤廃てっぱいから30年ねん以上いじょうがたっても、白人はくじんと黒人こくじんの経済けいざい格差かくさが改善かいぜんされない状況じょうきょうを克服こくふくするには土地とち改革かいかくが必要ひつようだと考かんがえています。

ヌクタさんは「この国くにには広大こうだいな土地とちがあるのに私わたしたちは狭せまい場所ばしょに詰め込つめこまれています。私わたしたちは失うしなった土地とちを取り戻とりもどさないといけないのです」と話はなしていました。

その上うえで、トランプ政権せいけんが南アフリカみなみあふりかへの政府せいふ援助えんじょを凍結とうけつしたことについては「トランプ大統領だいとうりょうが援助えんじょをすべて打ち切うちきってしまったら、苦くるしむのは私わたしたち黒人こくじんです。追い詰おいつめられるのは私わたしたちなんです」と訴うったえていました。

トランプ政権せいけんによる一方いっぽう的てきな動うごきについて、南アフリカみなみあふりかのラマポーザ大統領だいとうりょうは今月こんげつ6日にちに演説えんぜつし「私わたしたちはひるむことも諦あきらめることも屈くっすることも決けっしてしない」と述のべ、対たいじしていく姿勢しせいを強調きょうちょうしました。

またラモラ国際こくさい関係かんけい・協力きょうりょく相しょうは17日にち、ロイター通信ろいた-つうしんの取材しゅざいに対にたいし、アメリカ政府せいふへの働はたらきかけを続つづける一方いっぽうで「中国ちゅうごくはわれわれに連帯れんたいを示しめし支援しえんを約束やくそくする準備じゅんびを進すすめてくれている」と述のべ中国ちゅうごくを引き合ひきあいに出だし、アメリカをけん制けんせいしています。

南アフリカみなみあふりかの大学だいがくで政治せいじ学がくなどを教おしえるウィリアム・グメデ教授きょうじゅは「トランプ大統領だいとうりょうのやり方やりかたは、突然とつぜん、厳きびしく高たかい要求ようきゅうを突つきつけることだ。南アフリカみなみあふりか政府せいふは、現実げんじつ的てきな方法ほうほうで対処たいしょすべきで、感情かんじょう的てきに反応はんのうすれば、すべてを失うしなうことになる」と述のべ、白人はくじん農場のうじょう主ぬしを不安ふあんにさせている財産ざいさん収用しゅうよう法ほうを改正かいせいするなど冷静れいせいな対応たいおうが必要ひつようだと指摘してきしています。