日本新聞: 商船三井「船内の油ほぼ回収」海上の回収は終わるめど立たず

商船しょうせん三井みつい「船内せんないの油あぶらほぼ回収かいしゅう」海上かいじょうの回収かいしゅうは終おわるめど立たたず

Aug 13, 2020 22:08

Furigana

商船しょうせん三井みついが運航うんこうする貨物かもつ船せんがインド洋いんどようの島国しまぐに、モーリシャスの沖合おきあいで座礁ざしょうした事故じこで、商船しょうせん三井みついは船ふねの中なかに残のこっていた油あぶらは、ほぼすべて回収かいしゅうしたとみられると発表はっぴょうしました。流出りゅうしゅつがさらに拡大かくだいする事態じたいは避さけられましたが、海上かいじょうに残のこる油あぶらの回収かいしゅうが終おわるめどは立たたない状況じょうきょうが続つづいています。先月せんげつ26日にち、商船しょうせん三井みついが運航うんこうする貨物かもつ船せんが、モーリシャスの沖合おきあいで座礁ざしょうした事故じこでは、船ふねの中なかに残のこった油あぶらの流出りゅうしゅつを防ふせぐため、専門せんもんの業者ぎょうしゃが油あぶらを抜き取ぬきとる作業さぎょうを進すすめていました。

商船しょうせん三井みついは13日にち、船ふねの中なかの油あぶらについて「ほぼ全量ぜんりょうを回収かいしゅうできたとみられる」と発表はっぴょうしました。

これによって、油あぶらの流出りゅうしゅつがさらに拡大かくだいする事態じたいは避さけられました。

一方いっぽう、海うみに流出りゅうしゅつした、およそ1000トンの重油じゅうゆのうち、これまでに回収かいしゅうできたのは、半分はんぶん程度ていどにとどまっているということです。

今後こんごの回収かいしゅう作業さぎょうについては、現場げんばの波なみの高たかさなど気象きしょう状況じょうきょうが不安定ふあんていなため「見通みとおしを示しめすのは難むずかしい」としたうえで、「早期そうきの事態じたい解決かいけつに向むけて取り組とりくむ」とコメントしています。

また、船ふねを所有しょゆうする長ちょう鋪しき汽船きせんは「当事者とうじしゃとしての責任せきにんを痛感つうかんしており、賠償ばいしょうについては適用てきようされる法ほうに基もとづき、誠意せいいを持もって対応たいおうさせていただくつもりだ。モーリシャスの皆様みなさまや関係かんけい者しゃの皆様みなさまに大変たいへんご迷惑めいわくをおかけしており、申し訳もうしわけございません」というコメントを発表はっぴょうしました。

油あぶら流出りゅうしゅつの賠償ばいしょう責任せきにんは

船ふねから油あぶらが流出りゅうしゅつした場合ばあいの賠償ばいしょう責任せきにんや額がくについては、国際こくさい的てきな条約じょうやくで取り決とりきめられています。

今回こんかい、モーリシャスの沖合おきあいで座礁ざしょうした大型おおがたのばら積ばらづみ貨物かもつ船せん、「ＷＡＫＡＳＨＩＯ」は、岡山おかやま県けんの長ちょう鋪しき汽船きせんが所有しょゆうし、海運かいうん大手おおての商船しょうせん三井みついがチャーターしていました。

海難かいなん事故じこに関かかわる条約じょうやくでは、事故じこで油あぶらが流出りゅうしゅつした場合ばあい、賠償ばいしょう責任せきにんは、船ふねの所有しょゆう者しゃが負おうことになっていて、保険ほけんを活用かつようして賠償ばいしょう金きんを支払しはらうことになります。

条約じょうやくでは、船ふねの容積ようせきを示しめす「トン数とんすう」に応おうじて賠償ばいしょう額がくの上限じょうげんが定さだめられています。

船舶せんぱくの所有しょゆう者しゃでつくる相互そうご保険ほけん組合くみあいの「ＪＡＰＡＮＰぴ-＆ＩあいＣＬＵＢ」によりますと、今回こんかいの事故じこの場合ばあい、賠償ばいしょう額がくの上限じょうげんは、日本にっぽん円えんにして19億おく円えん相当そうとうと見込みこまれるということです。

ただ、今回こんかいの事故じこでは、モーリシャスの主要しゅよう産業さんぎょうである観光かんこう事業じぎょうへの打撃だげきや、さんご礁さんごしょうや水鳥みずとりなど環境かんきょうへの影響えいきょうが懸念けねんされているだけに、船ふねを運航うんこうしていた商船しょうせん三井みついも含ふくめて、今後こんごの対応たいおうが問とわれることになりそうです。