アメリカのトランプ
大統領は
日本時間の
31日午前、
政権2年目の
施政方針を
示す
一般教書演説を
行います。
税制改革などの
成果を
訴えるとともに、インフラ
投資やメキシコとの
国境の
壁の
建設、それに
公正な
貿易の
実現を
目指す
考えを
強調する
見通しです。トランプ
大統領は
現地時間の
30日夜、
日本時間の
31日午前11時すぎから、アメリカ
議会の
本会議場で
上下両院の
議員などを
前に
政権2年目の
施政方針を
示す
一般教書演説を
行います。
演説でトランプ大統領は好調な経済や雇用の創出、それに法人税の大幅な減税を盛り込んだ税制改革などを就任後1年間の成果として訴えることにしています。
そのうえでインフラへの大規模な投資や、メキシコとの国境沿いの壁の建設など公約の実現を目指す考えを強調し、議会に協力を呼びかける見通しです。さらに、中国などとの貿易不均衡を是正するため公正な貿易の実現を目指す姿勢を示すことにしています。
トランプ大統領としては、ことし11月に政権への審判が下される議会の中間選挙が控えていることから、みずからの支持基盤である白人労働者などにアピールしたい考えと見られます。また、演説で「力による平和」を目指すトランプ大統領が核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応など外交・安全保障政策についてどのように言及するのかも注目されます。
一般教書演説とは
一般教書演説はアメリカの大統領が今後1年間の内政・外交の施政方針を示すもので、全米に向けてテレビ中継されます。
トランプ大統領は去年、議会で施政方針を示す演説を行いましたが、就任した年に行われる演説は、伝統的に「議会の上下両院の合同会議で行われる演説」と呼ばれているため、一般教書演説は今回が初めてとなります。
演説は議会下院の本会議場で行われ、上下両院の議員500人余りに加え、閣僚や最高裁判所の判事、それにアメリカ軍の幹部などが一堂に会します。そして、演説を行うトランプ大統領の後ろには、上院の議長を兼務するペンス副大統領と、与党・共和党のライアン下院議長が座ります。
一般教書演説は憲法の規定に基づく演説で、初代大統領のジョージ・ワシントンが始めました。説得力のある演説を行うため、大統領は直前までスピーチライターなどとともに推こうを重ね、本番に臨みます。トランプ大統領は去年の演説の直前、議会に向かう車の中で原稿を読んで練習する姿がテレビカメラにとらえられていました。
「支持者へのアピールに」
一般教書演説について、アメリカン大学のスコット・タラン准教授はNHKのインタビューに対し、「トランプ大統領は予測不能だ」としながらも、先月、議会で法律を成立させた税制改革や、メキシコとの国境沿いの壁の建設、それに中国との貿易不均衡の問題などを訴えると見られると述べました。
そのうえで「トランプ大統領の支持率は低く、支持基盤を失うわけにはいかないため、ますます支持者向けのアピールをすると思う。トランプ大統領は『アメリカを再び偉大にする』とか『壁をつくる』などと言い続けるだけで、少なくとも支持者にはアピールできる」と指摘しました。
一方で「トランプ大統領の公約は現実的ではなく、妥協もしないので、実現は非常に難しい」と述べ、野党・民主党の反対などで、議会で必要な法案を可決し公約を実現するのは容易でないという見方を示しました。
労働者らが特別ゲストに
ホワイトハウスによりますと、トランプ大統領は一般教書演説に特別ゲストとして15人を招待したということです。このうち3人は、税制改革による減税で恩恵を受ける労働者や経営者で、トランプ大統領としては成果として強調する狙いがあると見られます。また、不法移民らに殺害されたと見られる少女2人の両親をそれぞれ招き、不法移民の取り締まりを強化する必要性を訴える考えです。
一方、野党・民主党の一部の議員は、トランプ大統領が今月、アフリカの国々などを侮辱する発言を行ったと報じられたことなどを受けて、「人種差別主義の大統領の演説は聴くに値しない」などとして演説をボイコットすると表明しています。また、民主党の女性議員はトランプ大統領や議員によるセクハラ疑惑などが相次いで浮上していることから、黒い服を着て抗議の意思を示すことを検討しているということです。