コロナ “陰性いんせい証明しょうめい”を会社かいしゃが要求ようきゅう 厚あつ労ろう省しょう「慎重しんちょうにすべき」

都内とないの企業きぎょうで契約けいやく社員しゃいんとして働はたらいているという30代だいの女性じょせいは、先月せんげつ、のどの痛いたみや発熱はつねつがあったことから、会社かいしゃを早退そうたいし、地元じもとのクリニックで診察しんさつを受うけました。

結果けっかは「かぜ」でしたが、会社かいしゃからは診断しんだん書しょを出だすよう言いわれ、メールに添付てんぷして送おくりました。

しかし、さらに自費じひでPCR検査けんさを受うけ陰性いんせいだと証明しょうめいするよう求もとめられたということです。

民間みんかんのクリニックで検査けんさしたところ、結果けっかは陰性いんせいで、メールで結果けっかを送おくり、仕事しごとに復帰ふっきできたということです。

その後そのご、会社かいしゃと交渉こうしょうし、検査けんさ費ひおよそ3万まん円えんを負担ふたんしてもらえましたが、会社かいしゃの対応たいおうには不信ふしん感かんを覚おぼえたといいます。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、会社かいしゃの社員しゃいんや従業じゅうぎょう員いんなどに陰性いんせいかどうか証明しょうめい書しょなどの提出ていしゅつを求もとめるのは慎重しんちょうにすべきだとしています。

理由りゆうとしては、こうした証明しょうめい書しょは検査けんさの時点じてんで陰性いんせいの結果けっかが得えられたというだけで、かつ、陽性ようせいなのに陰性いんせいと判定はんていされる「偽にせ陰性いんせい」の可能かのう性せいもあるほか、医療いりょう機関きかんに負担ふたんをかけるおそれがあるからだとしています。

女性じょせいは「検査けんさ費用ひようは大おおきな金額きんがくで、それを自費じひで行おこなうように言いわれた時ときは会社かいしゃの圧力あつりょくが怖こわいなという印象いんしょうでした。高熱こうねつではなく、味覚みかくもあったし、かぜだと診断しんだんされたのに、体調たいちょうが悪わるいというだけで全部ぜんぶコロナではないかと疑うたがわれるのは違ちがうと思おもいます。体調たいちょうが悪わるくても上司じょうしには言いえなくなるし、そのせいでコロナが広ひろまってしまう可能かのう性せいもあると思おもいます」と話はなしていました。

専門せんもん家か「結果けっかはあくまで検査けんさ受うけた時点じてんのもの」

新型しんがたコロナウイルスの症状しょうじょうはないものの、自費じひで検査けんさを受うけて陰性いんせいの結果けっかを求もとめる動うごきがあることについて、感染かんせん症しょう学がくが専門せんもんの国際こくさい医療いりょう福祉ふくし大学だいがくの松本まつもと哲哉てつや教授きょうじゅは「高齢こうれい者しゃ施設しせつに入はいる親おやに会あう、手術しゅじゅつを控ひかえた家族かぞくを見舞みまう、実家じっかに帰省きせいするという前まえに、自分じぶんが陰性いんせいかどうか知しりたいという思おもいは理解りかいできるが、結果けっかはあくまで検査けんさを受うけた時点じてんのものにすぎないほか、誤あやまって陰性いんせいという結果けっかが出でることもあり得える」と指摘してきしています。

そのうえで「症状しょうじょうがないのに陰性いんせいの結果けっかを求もとめる人ひとばかりが来くるようになると、本来ほんらい診みるべき、微熱びねつがあるとか体調たいちょうが悪わるいという人ひとの対応たいおうができなくなるクリニックも多おおいのではないか。こうした動うごきの背景はいけいには会社かいしゃ側がわが社員しゃいんに対にたいして過剰かじょうに陰性いんせいの結果けっかを求もとめていると思おもうが、陰性いんせいという結果けっかが得えられても過信かしんせず、マスクや手洗てあらいなど日常にちじょう生活せいかつで守まもるべきことは続つづける必要ひつようがある」としています。

唾液だえき使つかった検査けんさ専用せんようのクリニック設もうける動うごき

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんを確認かくにんするため、唾液だえきを使つかったPCR検査けんさは、症状しょうじょうがなくても自費じひで受うけられるようになっています。

こうした中なか、都内とないでは検査けんさ専用せんようのクリニックを設もうける動うごきも出でていて、海外かいがい渡航とこうやビジネスの際さいに検査けんさ結果けっかを求もとめる人ひとたちの利用りようがみられています。

東京とうきょう 品川しながわ区くのクリニックは、ことし7月つきにPCR検査けんさの専用せんよう施設しせつを設もうけ、唾液だえきを使つかった検査けんさなどを行おこなっています。

診察しんさつ室しつには席せきが1つだけあるだけで、利用りよう者しゃはモニター越ごしにスタッフから説明せつめいを受うけながら、専用せんようのキットを使つかってみずから唾液だえきを採取さいしゅします。

医師いしやスタッフは接触せっしょくする機会きかいを避さけるため、リモートで採取さいしゅ方法ほうほうを説明せつめいしています。

利用りよう者しゃのほとんどが症状しょうじょうはない人ひとたちですが、海外かいがい渡航とこうやビジネスの際さいに念ねんのため検査けんさ結果けっかを求もとめて受うけに来くるケースが多おおいということです。

料金りょうきんは1万まん5000円えんで、クリニックに判定はんていする機械きかいがあるため、その日ひのうちに結果けっかが出でるということです。

ヘルスケア関連かんれん企業きぎょうを経営けいえいする男性だんせいは「PCR検査けんさを受うけられるようになったので、しっかり検査けんさしたいと思おもい、訪おとずれました。利用りよう者しゃの健康けんこうをサポートする仕事しごとなので、人ひとと接せっする機会きかいが多おおく、安心あんしん感かんをもってもらうために検査けんさを受うけました」と話はなしていました。

検査けんさでは陰性いんせいになりましたが、今後こんごも定期ていき的てきに確認かくにんしたいとしています。

このクリニックでの検査けんさ数すうは、7月つきは73件けんでしたが、8月つきは341件けんに増ふえ、先月せんげつは282件けんで、企業きぎょうなどが団体だんたいで申し込もうしこむケースが多おおいということです。

陰かげ山さん康成やすなり医師いしは「企業きぎょう単位たんいで社員しゃいんの安全あんぜんを確認かくにんしようという動うごきや、営業えいぎょう現場げんばであれば客きゃくへの安心あんしん感かんを提供ていきょうするということで、検査けんさ数すうが増ふえてきている」と話はなしていました。