今シーズン国内ツアーで2勝をあげ、初めて海外での試合に出場した渋野選手は、イギリスで4日行われた最終ラウンドを通算14アンダー、2位と2打差の単独首位でスタートしました。
渋野選手は、3番でパットが決まらず今大会初めてダブルボギーをたたき、5番と7番でバーディーを奪いましたが、続く8番でボギーをたたいて前半でスコアを1つ落とし、この時点で3位に後退します。
それでも大会を通じてスコアを伸ばしている後半に入ると、最初の10番で長いパットを決めてバーディーを奪い、12番、13番と連続でバーディーを奪って通算16アンダーとして再び首位に並びました。
さらに15番でもバーディーを奪い、アメリカのリゼット・サラス選手と首位に並んで迎えた最終18番でバーディーパットを決め、この日バーディー7つ、ボギー1つ、ダブルボギー1つでスコアを4つ伸ばし、通算18アンダーとして優勝を果たしました。
日本の選手が海外メジャー大会で優勝したのは、男女を通じて、樋口久子さんが1977年に全米女子プロ選手権で優勝して以来、42年ぶり2人目です。
このほかの日本選手は、
上原彩子選手がスコアを4つ伸ばして通算6アンダーで21位、
横峯さくら選手が24位、
勝みなみ選手が35位、
上田桃子選手が51位、
アマチュアで18歳の安田祐香選手は59位でした。
海外メジャーの高い壁乗り越える
女子ゴルフでは、1977年に樋口久子さんが全米女子プロ選手権で優勝したあと、多くの日本のトップ選手が海外メジャー大会に挑んできました。
1980年代から90年代は、日本選手で初めてアメリカツアーで賞金女王になった岡本綾子さんがたびたび優勝を争い、小林浩美さんもアメリカツアーで5勝をあげましたが、海外メジャー大会での優勝はなりませんでした。
2000年代に入ってからは、日本選手で初めて世界ランキング1位になった宮里藍さんが2006年と2010年の全米女子プロ選手権と、2009年の全英女子オープンで3位に入ったほか、宮里美香選手が2012年の全米女子プロ選手権で2位となりました。
最近では、アメリカ女子ツアーで日本選手最年少で初優勝した畑岡奈紗選手が、去年の全米女子プロ選手権で最終日にトップで並んでプレーオフに進んだものの、敗れて2位でした。
樋口さん以来、日本女子の歴代の名選手が越えられなかった海外メジャーの高い壁を、去年プロテストに合格したばかりの20歳の渋野選手が乗り越え、初出場で優勝したことは歴史的な快挙と言えます。
英BBC快挙伝える「驚くべきドラマ」
イギリスの公共放送BBCは、ニュース番組の冒頭で「驚くべきドラマです」と、渋野選手の快挙を伝えました。
スポーツコーナーでは、ゴルフ担当の記者が渋野選手について、笑顔が印象的なことから「スマイリング・シンデレラ」と呼ばれていると紹介したうえで、まだ20歳で海外の大会は今回が初めてであることから、ほとんど彼女の名前を耳にしたことがなかったと驚きをもって伝えました。
そして、プレー全体を評価し「すばらしい勝利で、これを機に多くの人が関心を寄せることになるだろう」と述べました。
樋口久子さん「自然体のプレーが印象的」
42年前に日本選手として最初に海外メジャー大会で優勝した樋口久子さんは「伸び伸び、自然体でプレーしていたのが印象的です。随所で得意のパッティングがさえていました。信頼を置くコーチがキャディーとして支えたことも大きな力になったと思いました。日本人のメジャー優勝、本当にうれしいです」と、日本女子プロゴルフ協会を通じてコメントを出しました。
宮里藍さん「みんながこの笑顔に引き寄せられた」
女子ゴルフの元世界ランキング1位の宮里藍さんは自身のインスタグラムに動画を投稿し「おめでとう!本当にすばらしい!みんながこの笑顔に引き寄せられたと思います。最高すぎる、本当におめでとう」などとコメントを載せ、渋野選手の快挙を祝福しました。