新型しんがた宇宙うちゅう船せん 打ち上うちあげも軌道きどうに入いれずドッキング試験しけんは中止ちゅうし

宇宙うちゅう船せんは打ち上うちあげのおよそ15分ふん後ごに切り離きりはなされましたが、エンジンが正常せいじょうなタイミングで作動さどうせず、予定よていされていた軌道きどうに入はいることができませんでした。

ＮＡＳＡなさとボーイングは打ち上うちあげ後ごの記者きしゃ会見かいけんで今回こんかいの試験しけんで国際こくさい宇宙うちゅうステーションとのドッキングは中止ちゅうしし、48時間じかん以内いないに着陸ちゃくりくさせるよう計画けいかくを変更へんこうしたと発表はっぴょうしました。

一方いっぽう、打ち上うちあげられた宇宙うちゅう船せんに乗のせられたセンサー付つきの人形にんぎょうで打ち上うちあげや着陸ちゃくりくの衝撃しょうげきを計測けいそくする試験しけんなどは引き続ひきつづき実施じっしするということです。

ＮＡＳＡなさのブライデンスタイン長官ちょうかんは無人むじんでの試験しけん飛行ひこうを再ふたたび行おこなうかについては「どちらともいえない」と明言めいげんを避さけましたが、すでに予定よていより遅おくれている開発かいはつ計画けいかくが、さらに遅おくれる可能かのう性せいがあります。

アメリカは、2011年ねんに引退いんたいしたスペースシャトルに代かわる新あらたな宇宙うちゅう船せんの開発かいはつをボーイングと宇宙うちゅう開発かいはつベンチャー、「スペースＸえっくす」の２に社しゃとそれぞれ、進すすめていて、このうち、「スペースＸえっくす」の宇宙うちゅう船せんは無人むじんでの飛行ひこう試験しけんに成功せいこうし、来年らいねんにも有人ゆうじんでの飛行ひこう試験しけんを行おこなう見通みとおしです。

有人ゆうじん飛行ひこうの現状げんじょうと見通みとおし

ＩＳＳ＝国際こくさい宇宙うちゅうステーションに宇宙うちゅう飛行ひこう士しを送り出おくりだす手段しゅだんとしては当初とうしょ、アメリカのスペースシャトルとロシアのソユーズが使つかわれていました。

しかし、2011年ねんにスペースシャトルが引退いんたいすると、国際こくさい宇宙うちゅうステーションに有人ゆうじん飛行ひこうできるのはソユーズだけとなり、アメリカや日本にっぽんなどロシア以外いがいの国くにの宇宙うちゅう飛行ひこう士しもソユーズで送り出おくりだされてきました。

アメリカは再ふたたび自国じこくで宇宙うちゅう飛行ひこう士しを送り出おくりだせるようにしようと民間みんかん企業きぎょうに対にたいし有人ゆうじん宇宙うちゅう船せんの開発かいはつを要請ようせいし、2014年ねん、航空こうくう機き大手おおてのボーイングと、宇宙うちゅう開発かいはつベンチャーのスペースＸえっくすの２に社しゃがアメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょく＝ＮＡＳＡなさとの契約けいやくを獲得かくとくしました。

いずれも2017年ねんの初はつ飛行ひこうを目指めざしていましたが、開発かいはつは遅おくれ、ことし３月さんがつ、スペースＸえっくすの宇宙うちゅう船せん「クルードラゴン」がようやく初はじめて無人むじんで打ち上うちあげられ、国際こくさい宇宙うちゅうステーションとドッキングしたあと、地球ちきゅうへの帰還きかんに成功せいこうしました。

有人ゆうじんでの飛行ひこうについて、スペースＸえっくすは2020年ねんの早はやい時期じきに行おこなう予定よていだとしています。

一方いっぽう、ボーイングの無人むじん飛行ひこうは国際こくさい宇宙うちゅうステーションとのドッキングが果はたせなかったため開発かいはつがさらに遅おくれる可能かのう性せいが出でています。

国際こくさい宇宙うちゅうステーションの商業しょうぎょう利用りよう

ＩＳＳ＝国際こくさい宇宙うちゅうステーションへの有人ゆうじん飛行ひこうの手段しゅだんが増ふえることで、ＮＡＳＡなさ＝アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょくは国際こくさい宇宙うちゅうステーションの商業しょうぎょう利用りようを促進そくしんする計画けいかくを進すすめています。

ＮＡＳＡなさはことし６月ろくがつ、アメリカの企業きぎょうなどを対象たいしょうに国際こくさい宇宙うちゅうステーションを商業しょうぎょう活動かつどうや宣伝せんでんのために利用りようすることを認みとめる新あらたな方針ほうしんを発表はっぴょうしました。

これまで、企業きぎょうの利用りようは研究けんきゅう目的もくてきに限かぎって認みとめられていましたが、新あらたな方針ほうしんではわずかな重力じゅうりょくしかない環境かんきょうが必要ひつようだったり、ＮＡＳＡなさの任務にんむと関係かんけいがあったりという条件じょうけんの下したに国際こくさい宇宙うちゅうステーションの設備せつびの利用りよう権けんを購入こうにゅうすることなどが可能かのうになります。

また、年間ねんかん２に人にんを限度げんどに民間みんかん人じんの滞在たいざいも受け入うけいれることにしています。

一定いっていの健康けんこう基準きじゅんを満みたし、事前じぜんに訓練くんれんを受うければ、最大さいだいで30日間にちかん滞在たいざいできますが、滞在たいざい費ひは食事しょくじや、呼吸こきゅうする空気くうきも含ふくめ、１いち泊はく３さん万まん5000ドル、日本にっぽん円えんでおよそ380万まん円えん。

30日間にちかん滞在たいざいした場合ばあいは、１いち億おく円えん以上いじょうかかります。

また、地球ちきゅうから国際こくさい宇宙うちゅうステーションへの移動いどうには、今回こんかい、飛行ひこう試験しけんが行おこなわれた航空こうくう機き大手おおてボーイングや、宇宙うちゅう開発かいはつベンチャースペースＸえっくすの宇宙うちゅう船せんが使つかわれ、別途べっと、5800万まんドル、日本にっぽん円えんでおよそ63億おく円えんの運賃うんちんを支払しはらう必要ひつようがあるということです。

拡大かくだいする宇宙うちゅう市場しじょう

ＮＡＳＡなさが国際こくさい宇宙うちゅうステーションの商業しょうぎょう利用りようを促進そくしんしようとしている背景はいけいには、地球ちきゅうに近ちかい「低てい軌道きどう」での経済けいざい活動かつどうが活発かっぱつになっているためです。

中なかでも、地上ちじょうからおよそ2000キロ以内いないの「低てい軌道きどう」に打ち上うちあげられる衛星えいせいにはさまざまな利用りよう方法ほうほうがありその市場しじょう規模きぼは、５ご年ねん後ごの2024年ねんには現在げんざいの2.5倍ばいになるという予測よそくもあります。

中なかでも、衛星えいせいを使つかって高速こうそく通信つうしんを行おこなうサービスには複数ふくすうのベンチャー企業きぎょうが参入さんにゅうを表明ひょうめいしています。

宇宙うちゅう開発かいはつベンチャーのスペースＸえっくすは、１いち万まん基き以上いじょうの小型こがた衛星えいせいで全ぜん地球ちきゅうをカバーする通信つうしん網もう、「スターリンク」構想こうそうを実現じつげんするため、自社じしゃのロケットで次々つぎつぎに小型こがた衛星えいせいを打ち上うちあげています。

伸のびる需要じゅようを受うけて打ち上うちあげ用ようのロケットを開発かいはつする企業きぎょうの競争きょうそうも激はげしくなっていてスペ－スＸえっくす、それに、ボーイングなどが合弁ごうべんで作つくった「ユナイテッド・ローンチ・アライアンス」やＩＴ大手おおてアマゾンの創業そうぎょう者しゃジェフ・ベゾス氏しの「ブルー・オリジン」、それに宇宙うちゅう旅行りょこうを目指めざす会社かいしゃの関連かんれん会社かいしゃ、「ヴァージン・オービット」などが信頼しんらい性せいとコストをめぐりしのぎを削けずっています。