安倍総理大臣は
訪問先の
中国で
記者会見し、
韓国のムン・ジェイン(
文在寅)
大統領との
首脳会談で、「
徴用」をめぐる
問題について
韓国側が
解決策を
示し、
健全な
関係に
戻るきっかけを
作るよう
求めたことを
明らかにしました。
一方、
北朝鮮情勢をめぐって、「
日中韓3か国は
米朝プロセスの
進展を
完全に
支持し、さらなる
挑発行動は
自制すべきだというのが
一致した
メッセージだ」と
述べました。
日中韓3か国の
首脳会議に
出席するため
中国を
訪れている
安倍総理大臣は
韓国のムン・ジェイン
大統領との
日韓首脳会談に
臨んだあと、
日本時間の
午後6時すぎから、
現地で
記者会見を
行いました。
この中で安倍総理大臣は日韓関係について、「現在の東アジアを取り巻く厳しい安全保障環境の下で、日韓の協力は極めて重要だが、国交正常化の基礎となった日韓基本条約や日韓請求権協定が守られなければ、国と国との関係は成り立たない」と指摘しました。
そのうえで安倍総理大臣は「ムン大統領には旧朝鮮半島出身労働者問題に関するわが国の立場を伝え、国と国との約束を順守してもらいたいと改めて申し上げた。韓国側の責任で解決策を示すべきで、日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけを作るよう求めた」と述べました。
そして「ムン大統領との会談で、日本としては主張すべきは主張し、韓国側が日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけを作るよう求めた。ムン大統領との間では対話による解決の重要性については確認した」と述べました。
一方、北朝鮮情勢について安倍総理大臣は「日中韓3か国は北朝鮮によるたび重なる弾道ミサイルの発射に強い懸念を有するという認識で一致した。3か国は米朝プロセスの進展を完全に支持し、プロセスが正念場を迎える中で、さらなる挑発行動は自制すべきだというのが一致したメッセージだ」と述べました。
また、「朝鮮半島の完全な非核化に向けて、3か国が協力し、それぞれができるかぎりの努力を行っていく認識を共有した」と述べました。
そしてアメリカと北朝鮮による非核化協議について、「わが国は米朝プロセスを完全に支持している。北朝鮮には平和的な対話を通じて、朝鮮半島の完全な非核化に取り組むよう改めて強く求めたいし、国際社会が協力して米朝プロセスを後押ししながら、北朝鮮に非核化を求めていかなければならない」と述べました。
そのうえで拉致問題については「早期解決を目指すわが国の立場に理解をいただいた。きのうは習近平国家主席にも働きかけて支持を得た」と述べました。
また安倍総理大臣は日中韓3か国の首脳会議について、この20年で幅広い分野での協力を進めてきたとして、「隣国ゆえにさまざまな課題がある中でも、民間どうしの交流は途絶えることなく続いてきた。その時々の政治情勢には左右されない、分厚い交流の基盤をつくり上げていくことが原点だ」と指摘しました。
さらに23日の日中首脳会談について安倍総理大臣は香港情勢や新疆ウイグル自治区における人権状況に加え、東シナ海や南シナ海の安全保障情勢をめぐっても意見を交わしたことを明らかにし、「課題があるからこそ、対話を続けなければならない。たゆまぬ交流を続けることで、新時代の成熟した日中関係を構築していく考えだ」と述べました。
また安倍総理大臣は中国が軍事力を強化していることについて、「中国の軍事的活動や国防政策については、強い関心を持って注視している。さまざまなレベルで日中間の外交・安全保障分野の意思疎通を強化し、軍事力の透明性の向上を促していく」と述べました。
そして来年の東京オリンピック・パラリンピックについて、「世界の平和と安定に向けた、力強いメッセージをこの地域から発信していく大会にしたい」と述べました。