ゴーン被告ひこく出国しゅっこく 検察けんさつが異例いれいコメント「正当せいとう化かの余地よちない」

これについて東京とうきょう地検ちけんの齋藤さいとう隆博たかひろ次席じせき検事けんじは5日にちコメントを発表はっぴょうし、「ゴーン被告ひこくが、正規せいきの手続てつづきを経へないで出国しゅっこくし逃亡とうぼうしたことは我が国わがくにの司法しほう手続てつづきをことさらに無視むししたもので犯罪はんざいに当あたり得える行為こういだ。必かならず出頭しゅっとうするとの誓約せいやくを破やぶり、みずからの犯罪はんざいに対にたいする刑罰けいばつから逃のがれようとしたにすぎず、その行為こういが正当せいとう化かされる余地よちはない」と元もと会長かいちょうを厳きびしく批判ひはんしました。

ゴーン元もと会長かいちょうは出国しゅっこく後ごに「有罪ゆうざいが前提ぜんていとされ、基本きほん的てきな人権じんけんが無視むしされている不正ふせいな日本にっぽんの司法しほう制度せいどの人質ひとじちではなくなる」などとする声明せいめいを発表はっぴょうしましたが、齋藤さいとう次席じせき検事けんじは「我が国わがくにではすべての被告ひこくに公平こうへいな裁判所さいばんしょによる迅速じんそくな公開こうかい裁判さいばんを受うける権利けんりを保障ほしょうしている。検察けんさつは公平こうへいかつ適正てきせいな刑事けいじ裁判さいばんを実現じつげんすべく法ほうの手続てつづきに基もとづいて公判こうはん活動かつどうを行おこなってきておりゴーン被告ひこくの権利けんりが十分じゅうぶんに保障ほしょうされていたことは明あきらかだ」と主張しゅちょうしています。

検察けんさつが捜査そうさ中ちゅうの事件じけんの被告ひこくについてコメントを出だすのは極きわめて異例いれいで、関係かんけい機関きかんと連携れんけいして迅速じんそくに捜査そうさを行おこない元もと会長かいちょうの逃亡とうぼうの経緯けいいを明あきらかにするとしています。

東京とうきょう地検ちけんコメント全文ぜんぶん

東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょうの齋藤さいとう隆博たかひろ次席じせき検事けんじが出だした「ゴーン被告ひこくの国外こくがい逃亡とうぼうについて」というコメントの全文ぜんぶんです。（以下いか、コメント全文ぜんぶん）

今般こんぱん、被告ひこく人じんカルロス・ゴーン・ビシャラが、保釈ほしゃくの指定してい条件じょうけんとして、逃にげ隠かくれしてはならない、海外かいがい渡航とこうをしてはならないと定さだめられていたにもかかわらず、正規せいきの手続てつづきを経へないで出国しゅっこくし、逃亡とうぼうしたことは、我が国わがくにの司法しほう手続てつづきを殊更ことさらに無視むししたものであるとともに、犯罪はんざいに当あたり得える行為こういであって、誠まことに遺憾いかんである。

我が国わがくにの憲法けんぽう及および刑事けいじ訴訟そしょう法ほうにおいては、例たとえば被疑ひぎ者しゃの勾留こうりゅうは、厳格げんかくな司法しほう審査しんさを経へて法定ほうていの期間きかんに限かぎって許ゆるされるなど、個人こじんの基本きほん的てき人権じんけんを保障ほしょうしつつ、事案じあんの真相しんそうを明あきらかにするために、適正てきせいな手続てつづきが定さだめられている。

また、我が国わがくににおいては、全すべての被告ひこく人じんに、公平こうへいな裁判所さいばんしょによる迅速じんそくな公開こうかい裁判さいばんを受うける権利けんりを保障ほしょうしており、検察けんさつ官かんによって有罪ゆうざいであることにつき合理ごうり的てきな疑うたがいをいれない程度ていどの立証りっしょうがなされない限かぎり、被告ひこく人じんを有罪ゆうざいとしてはならないこととされている。

そして、検察けんさつにおいても、法廷ほうていにおいて合理ごうり的てきな疑うたがいを超こえて立証りっしょうできると判断はんだんした場合ばあいに限かぎり、被疑ひぎ者しゃを起訴きそしている。

その結果けっかとして、我が国わがくににおいては、有罪ゆうざい率りつが高たかくなってはいるものの、裁判所さいばんしょは、被告ひこく人じん側がわにも十分じゅうぶんな主張しゅちょう立証りっしょうをさせた上うえで、独立どくりつした立場たちばから、公判こうはんに提出ていしゅつされた証拠しょうこに基もとづき、合理ごうり的てきな疑うたがいを超こえて有罪ゆうざいが立証りっしょうされたかを厳密げんみつに判断はんだんしており、公正こうせいな裁判さいばんが行おこなわれていることに疑うたがいはないと確信かくしんしている。

本件ほんけんにおいて、検察けんさつは、法ほうに定さだめられた適正てきせい手続てつづきを厳格げんかくに履行りこうし、被告ひこく人じんゴーンの権利けんりを十分じゅうぶんに保障ほしょうしつつ、捜査そうさ・公判こうはん手続てつづきを進すすめてきたものである。

被告ひこく人じんゴーンは、豊富ほうふな資金しきん力りょくと多数たすうの海外かいがい拠点きょてんを持もち、逃亡とうぼうが容易よういであったこと、国内こくない外がいで多様たような人脈じんみゃくと大おおきな影響えいきょう力りょくを持もち、事件じけん関係かんけい者しゃなどに働はたらきかけ、罪つみ証しょう隠滅いんめつする現実げんじつ的てきな危険きけん性せいがあったこと、裁判官さいばんかん、裁判所さいばんしょも保釈ほしゃくに関にかんする決定けってい中ちゅうで認定にんていしているとおり、当初とうしょの勾留こうりゅう期間きかん中ちゅうに妻つまなどを介かいして事件じけん関係かんけい者しゃに対にたいする働はたらきかけを企図きとしていたことから、公正こうせいかつ適正てきせいに刑事けいじ手続てつづきを進すすめる上うえで、被告ひこく人じんゴーンを勾留こうりゅうすることは必要ひつようやむを得やむをえないものであった。

かかる事情じじょうが存在そんざいしたにもかかわらず、被告ひこく人じんゴーンは、公判こうはん審理しんりに向むけた主張しゅちょうと証拠しょうこの整理せいりを適切てきせつかつ円滑えんかつに行おこなうためには、弁護べんご人じんらとの間まで十分じゅうぶんな打合うちあわせの機会きかいを設もうける必要ひつよう性せいが高たかいなどの理由りゆうで保釈ほしゃくを許可きょかされ、昨年さくねん４月しがつ25日にちに保釈ほしゃくされた後のちは、弁護べんご人じんらと自由じゆうに連絡れんらくし、公判こうはん準備じゅんびを行おこなうことが可能かのうな状態じょうたいであったことに加くわえ、検察けんさつは、公正こうせいかつ適正てきせいな刑事けいじ裁判さいばんを実現じつげんすべく、法ほうに定さだめられた手続てつづきに基もとづき、被告ひこく人じんゴーンの弁護べんご人じんに証拠しょうこを開示かいじするなどの公判こうはん活動かつどうを行おこなってきており、被告ひこく人じんの権利けんりが十分じゅうぶん保障ほしょうされていたことは明あきらかである。

このような状況じょうきょうの下もとで、被告ひこく人じんゴーンが、必かならず出頭しゅっとうするとの誓約せいやくを自みずから破やぶり、国外こくがいに逃亡とうぼうしたのは、我が国わがくにの裁判所さいばんしょによる審判しんぱんに服ふくすることを嫌きらい、自みずからの犯罪はんざいに対にたいする刑罰けいばつから逃のがれようとしたというにすぎず、その行為こういが正当せいとう化かされる余地よちはない。

検察けんさつにおいては、関係かんけい機関きかんと連携れんけいして、迅速じんそくかつ適正てきせいに捜査そうさを行おこない、被告ひこく人じんゴーンの逃亡とうぼうの経緯けいい等とうを明あきらかにし、適切てきせつに対処たいしょする所存しょぞんである。