台湾たいわん総統そうとう選せん 現職げんしょく 蔡英文えいぶん総統そうとうが再選さいせん 過去かこ最多さいた得票とくひょうを獲得かくとく

開票かいひょうはさきほど終了しゅうりょうし、中央ちゅうおう選挙せんきょ委員いいん会かいは、

▽蔡総統そうとうが817万まん票ひょう余あまり、得票とくひょう率りつおよそ57％、

▽韓かん氏しが552万まん2000票ひょう余あまり、得票とくひょう率りつおよそ38％などとして、蔡氏しが再選さいせんされたと発表はっぴょうしました。

蔡総統そうとうの得票とくひょうは、1996年ねんに、台湾たいわんで初はじめて直接ちょくせつ投票とうひょうによる総統そうとう選挙せんきょが行おこなわれて以来いらい、最もっとも多おおくなりました。

蔡総統そうとうは、日本にっぽん時間じかんの11日にち午後ごご10時じすぎから記者きしゃ会見かいけんを行おこない、「民進党みんしんとうの政権せいけんを選えらんでくれたことに感謝かんしゃする。主権しゅけんと民主みんしゅ主義しゅぎが脅威きょういにさらされる中なか、人々ひとびとが大おおきな声こえをあげた結果けっかだ」と述のべ、勝利しょうりを宣言せんげんしました。

また、中国ちゅうごくに対にたいして「武力ぶりょくによる脅おどしを放棄ほうきすべきだ」と述のべ、強つよい姿勢しせいで臨のぞむ方針ほうしんを示しめしました。

一方いっぽう、国民党こくみんとう側がわは、韓かん氏しが敗北はいぼくを認みとめるとともに、トップの呉ご敦あつし義よし 主席しゅせきが、選挙せんきょ結果けっかの責任せきにんをとって辞任じにんする意向いこうを明あきらかにしました。

今回こんかいの選挙せんきょで、将来しょうらいの台湾たいわん統一とういつを目指めざす中国ちゅうごくに対抗たいこう姿勢しせいを示しめす蔡総統そうとうが再選さいせんされたことで、日本にっぽんにも影響えいきょうを与あたえる中国ちゅうごくと台湾たいわんの関係かんけいの今後こんごの行方ゆくえが焦点しょうてんとなります。

蔡総統そうとう 勝因しょういんは

蔡英文ひでふみ氏しは、中国ちゅうごくとの距離きょりの取とり方かたが最大さいだいの争点そうてんとなった今回こんかいの選挙せんきょで中国ちゅうごくに対抗たいこう姿勢しせいを示しめすことで支持しじを広ひろげてきました。

４よん年ねん前まえに蔡政権せいけんが発足ほっそくして以降いこう、中国ちゅうごく側がわは、対話たいわの基礎きそとする「１ひとつの中国ちゅうごく」の原則げんそくを受け入うけいれない蔡政権せいけんに対にたいし、外交がいこうや軍事ぐんじ、それに経済けいざい面めんで圧力あつりょくを強つよめてきました。

去年きょねん１月いちがつ、中国ちゅうごくの習近平ちから国家こっか主席しゅせきが将来しょうらいの台湾たいわん統一とういつに向むけて「一いち国こく二に制度せいどこそが最良さいりょうの形かたちだ」と発言はつげんした際さいには、蔡氏しは即座そくざに「絶対ぜったいに受け入うけいれられない」と激はげしく反発はんぱつしました。

さらに去年きょねん６月ろくがつ、「一いち国こく二に制度せいど」が導入どうにゅうされている香港ほんこんで抗議こうぎ活動かつどうが始はじまると、抗議こうぎ活動かつどうに共感きょうかんを示しめす幅広はばひろい世代せだいの人ひとたちに蔡氏しへの支持しじが広ひろがり、低迷ていめいしていた蔡氏しの支持しじ率りつが回復かいふくしていきました。

経済けいざい面めんでは、米べい中ちゅうの貿易ぼうえき摩擦まさつを受うけて、中国ちゅうごくに進出しんしゅつしている台湾たいわん企業きぎょうがアメリカへの輸出ゆしゅつに関税かんぜいが上乗うわのせされる中国ちゅうごくから台湾たいわんに生産せいさん拠点きょてんを移うつす動うごきが活発かっぱつ化かしていることも蔡氏しに有利ゆうりに働はたらきました。

蔡政権せいけんは、新あらたに台湾たいわんに投資とうしする企業きぎょうに優遇ゆうぐう策さくを打ち出うちだし、投資とうしの申請しんせいはこれまでに160社しゃ以上いじょうにのぼっています。

蔡氏しは、香港ほんこんの一連いちれんの抗議こうぎ活動かつどうや米べい中ちゅうの貿易ぼうえき摩擦まさつが追い風おいかぜとなり、民進党みんしんとうの支持しじ層そうだけでなく、無党派むとうは層そうからも幅広はばひろい支持しじを得えたことが再選さいせんにつながったとみられます。

韓かん氏し 敗因はいいんは

韓国かんこく瑜氏しは、蔡英文えいぶん政権せいけんが中国ちゅうごくとの関係かんけいを悪化あっかさせ、経済けいざいを低迷ていめいさせていると批判ひはんして中台ちゅうたい関係かんけいの改善かいぜんを訴うったえてきました。

しかし、中国ちゅうごくの影響えいきょう力りょくが強つよまる香港ほんこんで自由じゆうや民主みんしゅ的てきな価値かち観かんが失うしなわれつつあるとして、抗議こうぎ活動かつどうが続つづいていることを受うけて、台湾たいわんでも中国ちゅうごくへの警戒けいかい感かんが高たかまり、中国ちゅうごくに融和ゆうわ的てきな姿勢しせいをとる韓かん氏しには逆風ぎゃくふうとなっていました。

韓かん氏しは、中国ちゅうごくが高度こうどな自治じちを認みとめる「一いち国こく二に制度せいど」を通をつうじて台湾たいわん統一とういつを目指めざすことに反対はんたいすると強調きょうちょうしましたが、具体ぐたい的てきな議論ぎろんになると発言はつげんを避さける場面ばめんもあり、有権者ゆうけんしゃの不安ふあんを払ふっしょくすることができなかったとみられます。

また、国民党こくみんとう内ないでは一部いちぶの勢力せいりょくが韓かん氏しの立候補りっこうほに反発はんぱつし、挙党きょとう一致いっちの選挙せんきょ戦せんが行おこなわれなかったほか、中高年ちゅうこうねんを中心ちゅうしんに支持しじを集あつめたものの、若わかい世代せだいや無む党派とうは層そうには支持しじが広ひろがらなかったとみられます。

立法院りっぽういん選挙せんきょ 与党よとう・民進党みんしんとうが過か半数はんすう維持いじ

総統そうとう選挙せんきょと同時どうじに行おこなわれた議会ぎかいにあたる立法りっぽう院いんの選挙せんきょは、与党よとう・民進党みんしんとうが過か半数はんすうを維持いじしました。

台湾たいわんの中央ちゅうおう選挙せんきょ委員いいん会かいによりますと、民進党みんしんとうは113議席ぎせきのうち、61議席ぎせきを獲得かくとくして過か半数はんすうを確保かくほし、第だい一いち党とうとなりました。

民進党みんしんとうは前回ぜんかい、４よん年ねん前まえの選挙せんきょで初はじめて過か半数はんすうの議席ぎせきを獲得かくとくし、今回こんかいも維持いじできるかが焦点しょうてんとなっていました。

香港ほんこん 抗議こうぎ活動かつどうリーダー「中国ちゅうごく共産きょうさん党とうの権威けんい主義しゅぎに『ノー』」

香港ほんこんで2014年ねんに行おこなわれた民主みんしゅ的てきな選挙せんきょを求もとめる抗議こうぎ活動かつどう「雨傘あまがさ運動うんどう」を率ひきいたリーダーの１いち人にん、黄き之の鋒ほこさき氏しは台湾たいわんの総統そうとう選挙せんきょの結果けっかについてＳＮＳ上じょうに、「台湾たいわんの多おおくの人々ひとびとが民主みんしゅ主義しゅぎと自由じゆうを守まもるという運命うんめいを選えらび、中国ちゅうごく共産きょうさん党とうの権威けんい主義しゅぎに『ノー』と声こえをあげた。香港ほんこんの人々ひとびとにとっても貴重きちょうな瞬間しゅんかんだ」と投稿とうこうし、選挙せんきょ結果けっかを歓迎かんげいしました。

そのうえで、「自由じゆうな世界せかいの最前線さいぜんせんである香港ほんこんと台湾たいわんは最もっとも緊密きんみつな同盟どうめいとして、ともに中国ちゅうごくの脅迫きょうはくに対抗たいこうし続つづけるだろう」として台湾たいわんの人ひとたちと連携れんけいして中国ちゅうごくに対抗たいこうしていく考かんがえを示しめしました。

また、「雨傘あまがさ運動うんどう」の中心ちゅうしんメンバーの１いち人にん、周しゅう庭にわ氏しもＳＮＳ上じょうに、「民主みんしゅ主義しゅぎと自由じゆうを重視じゅうししている立候補者りっこうほしゃが当選とうせんされてよかった。台湾たいわんがこれからも引き続ひきつづき民主みんしゅ的てきな場所ばしょでありますように」と日本語にほんごで投稿とうこうしました。

茂木もぎ外相がいしょう「協力きょうりょくと交流こうりゅうのさらなる深化しんかを」

茂木もぎ外務がいむ大臣だいじんは、「民主みんしゅ的てきな選挙せんきょの円滑えんかつな実施じっしと蔡英文ひでふみ氏しの再選さいせんに祝意しゅくいを表ひょうする。台湾たいわんは、わが国わがくににとって、基本きほん的てきな価値かち観かんを共有きょうゆうし、緊密きんみつな経済けいざい関係かんけいと人的じんてき往来おうらいを有ゆうする重要じゅうようなパートナーで大切たいせつな友人ゆうじんだ。政府せいふとしては、台湾たいわんとの関係かんけいを非ひ政府せいふ間かんの実務じつむ関係かんけいとして維持いじしていく立場たちばを踏ふまえ、日にち台たい間かんの協力きょうりょくと交流こうりゅうのさらなる深化しんかを図はかっていく考かんがえだ」という談話だんわを発表はっぴょうしました。

また、中国ちゅうごくと台湾たいわんをめぐる問題もんだいについては、「当事者とうじしゃ間かんの直接ちょくせつの対話たいわにより平和へいわ的てきに解決かいけつされ、地域ちいきの平和へいわと安定あんていに寄与きよすることを期待きたいする」としています。