一部の若者は、信号機を壊したり、歩道を砕いて道路にまいたりして、交通をまひさせ、警察に排除されるまでおよそ4時間半にわたって一角を占拠しました。
集まった市民の1人は、「政府は警察の行為については問題にせず、多くの人が政府に対して怒っている。政府は行動を起こしてほしい」と話していました。
香港では11日、抗議活動に参加していた21歳の男子学生が警察官の発砲を受け、一時重体となりました。
先週には、一連の抗議活動が始まって以来、初めての死者が出たばかりで、市民の間で警察や政府に対する反発がさらに強まっています。
けさも道路の通行や鉄道の運行が各地で妨害されたのに加えて、一部の大学で学生と警察が対じするなど混乱が続いています。
一方で、香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、抗議活動の取締りを強化する姿勢を示していて、市民と政府との対立は、一段と激しさを増しています。
こうした中、香港に出張中の日本人男性がデモに遭遇して、けがをしたことを受けて、日本総領事館は、現地に滞在している日本人や渡航を予定している人に向けて、抗議活動や口論、それに衝突の現場には決して近づかず、万一、遭遇した場合には速やかにその場を離れることやスマートフォンなどで撮影しないよう注意を呼びかけています。
発砲された学生は重傷
香港政府はNHKの取材に対し、11日警察官の発砲を受けて重体となっていた21歳の男子学生について、「重体だったけがの状態が重傷になった」と明らかにしました。
また、けがをした人は、11日、1日で128人にのぼり、若者と街なかで口論になったあと、油のようなものをかけられて火をつけられた57歳の男性が重体となっているということです。
11日の逮捕者は287人
香港の警察は、12日会見し、11日各地で行われた抗議活動に関連する逮捕者は、12歳から82歳までの男女合わせて287人に上ったことを明らかにしました。
これはことし6月以降の一連の抗議活動で、1日に逮捕された人数としては最も多く、多くが警察への攻撃や違法な集会に参加した疑いなどが持たれています。
また、逮捕者287人中、190人が大学生や、高校などに通う生徒だということです。
林鄭長官 支持率が歴代最低水準に
香港のシンクタンク「香港民意研究所」は今月1日から8日までの間、市民1000人余りを対象に電話による世論調査を行い12日、その結果を発表しました。
それによりますと、林鄭月娥行政長官の支持率は11%で、1997年の香港返還以降、歴代の行政長官の中で最も低い水準となっています。
調査の期間中には抗議活動に参加していたとみられる大学生が建物から転落して重体となり、その後、病院で死亡していて、支持率の低迷は市民の警察や政府への反発が続いていることを示しています。
中国 抗議活動参加者を「暴徒」と非難
香港で抗議活動に参加した男子学生が警察官の発砲で重傷となっていることを受けて、アメリカやイギリスは香港の警察に銃などの使用を控えるよう呼びかけています。
これについて、中国外務省は抗議活動の参加者を「暴徒」と非難したうえで香港警察の対応を擁護しました。
香港では、抗議活動に参加していた21歳の男子学生が警察官の発砲を受けて重傷となっていることを受けて、アメリカの政府高官が殺傷力のある武器の使用を批判したほか、イギリス政府も暴力のエスカレートに強い懸念を示しています。
これについて、中国外務省の耿爽報道官は、12日の記者会見で、抗議活動の参加者を「暴徒」と非難したうえで、「警察は完全に法に基づき対処した。警察官の安全を脅かすことは許されず、必ず強力な反撃を受けることになる」と述べ、警察の対応を擁護しました。
そして「同じような事件がアメリカとイギリスで起きたら両国の警察はどのように対処するだろうか。口先だけの正義がダブルスタンダードを露呈させている」と述べて両国の対応に反発しました。
さらに耿爽報道官は「アメリカとイギリスに中国の内政に干渉するのをやめるよう促す」と述べ、両国が香港の民主派を後押ししているとの見方を示して強くけん制しました。