台風19
号による
水害と
土砂災害で
死亡した
人のおよそ
3割は、
事前にハザードマップ
などで
危険性が
想定されていない
場所で
犠牲になったとみられることがわかりました。
浸水想定が
無い
中小河川の
氾濫に
巻き込まれた
人が
多く、
専門家は「ハザードマップの
整備を
進める必要が
あるが、すべての
川で
実施するのは
困難で、
地形の
特徴を
知っておく
など、
日頃からの
備えが
重要だ」と
指摘しています。
27人が「浸水想定区域」「土砂災害危険箇所」などの外で死亡

NHKは、台風19号でこれまでに死亡が確認された92人が被害にあった場所や状況を詳しく調べ、災害時の避難行動に詳しい静岡大学の牛山素行教授とともに、川の氾濫で浸水するおそれがある「浸水想定区域」や土砂災害の危険性がある「土砂災害危険箇所」などとの関係を分析しました。
その結果、水害と土砂災害で死亡した79人のうち、およそ3割にあたる27人は、事前に「浸水や土砂災害の危険性が想定されていない場所」で被害に遭ったとみられることがわかりました。
災害別では、
▽水害が17人、
▽土砂災害が10人でした。
27人は「浸水想定区域」や「土砂災害危険箇所」などの外で死亡していました。
県別では、
▽宮城県が12人、
▽福島県が6人、
▽群馬県と神奈川県が3人、
▽長野県、静岡県、岩手県でそれぞれ1人でした。
宮城県の12人のうち9人は水害による犠牲者で、浸水想定が無い中小河川の周辺で被害にあったケースが多くありました。丸森町竹谷では阿武隈川の支流の新川が氾濫して多くの住宅が浸水し、男性2人がそれぞれ住宅の1階で死亡しました。
福島県も6人のうち5人が水害による犠牲者で、浸水想定の無い中小河川の周辺で被害にあっていました。
群馬県の3人は、いずれも土砂災害の犠牲者で、「土砂災害危険箇所」になっていない緩い斜面で土砂災害が発生していました。
神奈川県の3人は、水害が1人、土砂災害の犠牲者が2人です。
静岡県と長野県はいずれも水害による犠牲者でした。
岩手県では、土砂災害による道路の陥没に巻き込まれて1人が死亡しました。
専門家「ハザードマップの整備 地形の特徴の理解が重要」
牛山教授は、中小河川では浸水想定が無いケースが多いとしたうえで、「ハザードマップなどの整備を進めるとともに、日頃から川との位置関係や、周囲と比べて低い土地かどうかなど地形の特徴を理解しておくことが重要だ」と指摘しています。
一方、7割にあたる52人はあらかじめ危険が想定された区域やその「ごく近く」で被害に遭ったとみられ、牛山教授は「ハザードマップの有用性が改めて示された。危険が想定されている場所では、避難行動につなげることが重要だ」と指摘しています。