インターネットで事前に行われた投票と、会場の投票での結果、埼玉県の志木市文化スポーツ振興公社のキャラクター「カパル」が88万9346票を獲得し、1位に選ばれました。
「カパル」は、地元の民話に登場するかっぱをモチーフにしたキャラクターで、これまでは去年の11位が最高で、今回が6回目の挑戦でした。
公社の担当者は、「今回が最後の挑戦で、てっぺんを目指してきたのでとてもうれしいです」と話しています。
ことしのゆるキャラグランプリでは、今月はじめの暫定的な集計では1位だった「こにゅうどうくん」などをめぐって、インターネットでの投票に必要なIDを自治体が作成して配るなど組織的な投票が問題となり、実行委員会によりますと明らかに組織的だとわかる票は削除されたということです。
「カパル」は、みずからの公式ツイッターで、「皆さんの思いが『カパル』を押し上げてくれた。ホントにホントにちょーありカパールっ!」とコメントしています。
“黒歴史”乗り越え ふなっしーと音楽バンドも
「ゆるキャラグランプリ」で1位になった「カパル」は、地元の民話に登場するかっぱをモチーフにした志木市文化スポーツ振興公社のキャラクターです。
18年前の平成12年に、公社の職員がメモ用紙に書いた落書きをきっかけに誕生し、偶然、当時の理事長の目に触れたことから、公式キャラクターに採用されました。
翌年には名前も決まり公社の広報誌に掲載されましたが、広報誌自体が廃刊になったため、カパルの存在は、およそ10年にわたってほとんど忘れられていたということです。
その後のゆるキャラブームで、ようやく平成23年に着ぐるみとして復活し、千葉県船橋市の「ふなっしー」と音楽バンドを結成するなど活動を続けてきました。
「ゆるキャラグランプリ」には平成24年から合わせて6回出場し、最後の挑戦と位置づけた今回、88万9346票を獲得し1位に選ばれました。
最初に「カパル」をデザインした志木市文化スポーツ振興公社の山口太郎さんは、「存在を忘れられたこともありましたが、長い期間、ファンに支えられた結果、1位に選ばれたと思うのでうれしいです」と話しています。
草の根選挙で躍進
「カパル」が公式キャラクターを務めている志木市文化スポーツ振興公社によりますと、「カパル」が1位になった背景には、SNSなどを使った地道な活動と、それを支えたファン「カパラー」の存在があるといいます。
人口7万6000人余りの埼玉県志木市にある、志木市文化スポーツ振興公社は職員が6人しかいない小さな団体です。
公社は、「カパル」が躍進した大きな理由の1つにSNSでの地道な活動を挙げています。
「カパル」は、公式ツイッターでこまめに近況をつぶやいたり、ファンに返信したりするなど積極的にコミュニケーションを図り、フォロワー数は3万人を超えています。
「戦隊オタク」を自称し、さまざまな戦隊シリーズに関する発信も多いことから、ゆるキャラファン以外の層からも人気があるということです。
また、ほかのゆるキャラと結成した音楽バンドではベースを担当し、その腕前は、動画サイトで話題を集めているということです。
こうしたことから、「カパラー」と呼ばれる熱心なファンも増え、今回のゆるキャラグランプリでカパルを1位にしようと、街頭で3か月間にわたってカパルへの投票を呼びかけた人もいたということです。
全国のゆるキャラたちからも広く知られる存在で、ツイッター上では、今回、ほかのキャラクターが「カパル」への投票を呼びかける看板を持つ姿なども見られました。
最初に「カパル」をデザインした志木市文化スポーツ振興公社の山口太郎さんは「暫定的な集計で大差をつけられてもうだめかなと思いましたが、『カパラー』の連日の街頭活動や長年続けたバンド活動を通じて全国にファンが増えた結果、1位に選ばれたと思います。今後も皆さんに笑顔を届けられる活動をしていければと考えています」と話しています。
親友「ふなっしー」が祝福
カパルの親友で千葉県船橋市のご当地キャラクター、「ふなっしー」は公式ツイッター上でカパルの栄誉を祝福しました。
ふなっしーとカパルは、一緒に結成した音楽バンドで、ふなっしーがボーカル、カパルがベースを担当していて、ふなっしーのツイッターでは、この音楽バンドで演奏している写真が掲げられています。
また、ふなっしーは民放のテレビ番組でカパルを親しい友人として紹介したこともありました。
ふなっしーは、ことしのゆるキャラグランプリでカパルを応援するメッセージも出していて、18日、カパルが1位に選ばれると、ツイッターに「カパルゥゥおめでとうなっしー」と祝福するとともに、カパルの好物のビールを飲んでゆっくり疲れを癒やすようねぎらうコメントを掲載しました。