「徴用ちょうよう」三菱みつびし重工じゅうこうにも賠償ばいしょう命めいじる判決はんけつ 韓国かんこく最高裁さいこうさい

また1944年ねんから名古屋なごやにあった軍需ぐんじゅ工場こうじょうで「女子じょし勤労きんろうてい身ていしん隊たい」として過酷かこくな労働ろうどうを強しいられたとする韓国かんこく人じん女性じょせいやその遺族いぞく合あわせて５ご人にんが同おなじく三菱みつびし重工じゅうこうに損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめた裁判さいばんでも、韓国かんこく最高裁さいこうさいは上告じょうこくを棄却ききゃくし、賠償ばいしょうを命めいじた判決はんけつが確定かくていしました。

「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいでは先月せんげつ、韓国かんこく最高裁さいこうさいが新日鉄しんにってつ住金すみきんに賠償ばいしょうを命めいじる判決はんけつを言い渡いいわたしたのに対にたいし、日本にっぽん政府せいふは1965年ねんの日にち韓かん国交こっこう正常せいじょう化かに伴ともなう請求せいきゅう権けん・経済けいざい協力きょうりょく協定きょうていで「完全かんぜんかつ最終さいしゅう的てきに解決かいけつ済ずみだ」という立場たちばで、判決はんけつは国際こくさい法ほう違反いはんだとして韓国かんこく政府せいふに是正ぜせいを求もとめています。

韓国かんこく政府せいふではイ・ナギョン（李り洛らく淵ふち）首相しゅしょうが民間みんかんの専門せんもん家かなどとともに対応たいおう策さくをとりまとめることにしていますが、まだ具体ぐたい的てきな内容ないようがまとまらない中なか、再ふたたび同様どうようの判決はんけつが出でたことで、日にち韓かん関係かんけいへの影響えいきょうは避さけられない見通みとおしです。

「女子じょし勤労きんろうてい身ていしん隊たい」とは

「女子じょし勤労きんろうてい身ていしん隊たい」は太平洋たいへいよう戦争せんそうの後期こうきに軍需ぐんじゅ分野ぶんやの労働ろうどう力りょく不足ふそくを補おぎなうため各地かくちで結成けっせいされた組織そしきで、一定いっていの条件じょうけんを満みたした10代だい以上いじょうの女性じょせいによって構成こうせいされました。

当時とうじ、日本にっぽんの統治とうち下かにあった朝鮮ちょうせん半島はんとうでも、1944年ねん３月さんがつにはピョンヤンで結成けっせいされたといった報道ほうどうが確認かくにんされています。

女性じょせいたちは日本にっぽん国内こくないにある航空こうくう機きの部品ぶひん工場こうじょうや紡績ぼうせき工場こうじょうなどで、「勤労きんろう奉仕ほうし」という形かたちで無償むしょうで働はたらきました。朝鮮ちょうせん半島はんとうで結成けっせいされた「女子じょし勤労きんろうてい身ていしん隊たい」の人数にんずうについて、日本にっぽんの外務省がいむしょうは把握はあくできていないとしています。

韓国かんこく政府せいふも正確せいかくな人数にんずうは把握はあくできていませんが、「女子じょし勤労きんろうてい身ていしん隊たい」が動員どういんされたと分わかっている日本にっぽん企業きぎょう３さん社しゃの名簿めいぼを調しらべたところ、「1661人にんを確認かくにんした」としていて、全体ぜんたいではそれより多おおかったとみています。

また韓国かんこく政府せいふは死亡しぼうした人ひとの遺族いぞくやけがをして障害しょうがいを負おった人ひとの一部いちぶに対にたいして、慰労いろう金きんを支払しはらっています。

河野こうの外相がいしょう「断だんじて受け入うけいれられない」

判決はんけつを受うけて、河野こうの外務がいむ大臣だいじんは談話だんわを発表はっぴょうし、「極きわめて遺憾いかんで、断だんじて受け入うけいれられない」としたうえで、「国際こくさい裁判さいばんや対抗たいこう措置そちも含ふくめあらゆる選択肢せんたくしを視野しやに入いれ、きぜんとした対応たいおうを講こうずる」としています。

この中なかで河野こうの外務がいむ大臣だいじんは、1965年ねんの国交こっこう正常せいじょう化かの際さいに締結ていけつされた日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていで請求せいきゅう権けんに関にかんする問題もんだいは「完全かんぜんかつ最終さいしゅう的てきに解決かいけつ」されているとしたうえで、今回こんかいの判決はんけつについて、「日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていに明あきらかに反はんし、日本にっぽん企業きぎょうに対にたいし、一層いっそう不当ふとうな不ふ利益りえきを負おわせるものであるばかりか、1965年ねんの国交こっこう正常せいじょう化か以来いらい築きずいてきた日にち韓かんの友好ゆうこう協力きょうりょく関係かんけいの法的ほうてき基盤きばんを根本こんぽんから覆くつがえすものであって、極きわめて遺憾いかんであり、断だんじて受け入うけいれることはできない」と強つよく批判ひはんしています。

そして「韓国かんこくが直ただちに国際こくさい法ほう違反いはんの状態じょうたいを是正ぜせいすることを含ふくめ、適切てきせつな措置そちを講こうずることを重かさねて強つよく求もとめる。直ただちに適切てきせつな措置そちが講こうじられない場合ばあいには、日本にっぽんとして、日本にっぽん企業きぎょうの正当せいとうな経済けいざい活動かつどうの保護ほごの観点かんてんからも、引き続ひきつづき、国際こくさい裁判さいばんや対抗たいこう措置そちも含ふくめ、あらゆる選択肢せんたくしを視野しやに入いれ、きぜんとした対応たいおうを講こうずる」としています。

三菱みつびし重工じゅうこう「極きわめて遺憾いかん」

これについて三菱みつびし重じゅう工業こうぎょうは「判決はんけつは日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていや、これに関にかんする日本にっぽん政府せいふの見解けんかい、それに日本にっぽんの確定かくてい判決はんけつに反はんするもので極きわめて遺憾いかんだ。今後こんご、日本にっぽん政府せいふとも連絡れんらくを取とりつつ、適切てきせつに対応たいおうしていきたい」とコメントしています。

元もと徴用ちょうよう工こうの遺族いぞく「複雑ふくざつな気持きもち」

韓国かんこく人じんの元もと徴用ちょうよう工こうら５ご人にんが三菱みつびし重じゅう工業こうぎょうを訴うったえた裁判さいばんでは、原告げんこく全員ぜんいんがすでに亡なくなっており、判決はんけつ後ご、遺族いぞくは「勝訴しょうそすることができ、弁護士べんごしや支援しえん団体だんたいに感謝かんしゃする。ただ、結果けっかを私わたしが代かわりに見届みとどけることになり、複雑ふくざつな気持きもちだ」と話はなしていました。