また、「私の父はおととし亡くなり、家族会の飯塚前代表も妹の田口八重子さんと再会できないまま去年、亡くなったという現実がある。『40年以上たっても会えないなんて許されてはいけない』ということは伝えたいし、86歳になった母や90歳を超えた有本明弘さんが心から話せば、解決に向けて時間がないということは必ず伝わると思う。何とかアメリカの力を借りたいという気持ちを本音で話したい」と語りました。
さらに横田さんは「私たちがアメリカの大統領と面会することはキム・ジョンウン総書記にとってプレッシャーになると思う」と述べたうえで、日本政府に求めることとして「圧力を維持しながらも、対話によって拉致問題を解決すれば、互いの国にとって明るい未来になるというメッセージを発してほしい」と話しました。
そして「家族会で一緒に頑張ってきた人たちが相次いで亡くなっており、なんとか被害者と再会し『元気だったんだね』と言葉を交わす時間を与えてほしいという思いが強まっています。きょうの面会をきっかけに、よい動きが始まればいいなと願っています」と話していました。
政府が認定している拉致被害者のうち安否が分かっていない12人の親で、子どもとの再会を果たせずに亡くなった人は、平成14年の日朝首脳会談以降だけでも8人に上っています。 3年前のトランプ前大統領との面会以降にも横田めぐみさんの父親の滋さんと、有本恵子さんの母親の嘉代子さんが亡くなりました。 今も健在な親は、横田めぐみさんの母親で、86歳の早紀江さんと、有本恵子さんの父親で93歳の明弘さんの2人です。 また、去年12月には、田口八重子さんの兄で、横田滋さんのあとを引き継ぐ形で家族会代表を務めた飯塚繁雄さんが亡くなりました。 こうした中、北朝鮮が拉致を認めた日朝首脳会談、そして、5人の被害者が帰国を果たしてから20年という節目の年を迎え、家族の間では、肉親と再会するという拉致問題の真の解決に向けて残された時間はわずかだという焦りが、これまでになく強まっています。
最初の面会は2006年(平成18年)で、横田めぐみさんの母親の早紀江さんと弟の拓也さんが、ホワイトハウスで当時のブッシュ大統領と面会しました。 ブッシュ元大統領は、「就任以来、最も心動かされる会談だった」などと述べ、解決に向けて協力する姿勢を示しました。 2回目は、2014年(平成26年)、来日した当時のオバマ大統領との面会でした。 当時の家族会代表の飯塚繁雄さんと、横田めぐみさんの両親の滋さんと早紀江さんの3人が東京の迎賓館を訪れ、オバマ元大統領は「2人の娘を持つ親として、最愛の子どもを拉致された気持ちはよく分かる。支援したい」と述べました。 トランプ前大統領とは5年前の2017年と、3年前の2019年の2度、いずれも東京の迎賓館で面会しています。 3年前の面会では、2度の米朝首脳会談で拉致問題を提起したトランプ前大統領に対し、5人の家族がそれぞれ1分間、気持ちを伝え、すべての被害者の帰国に向けた協力を求めました。 面会の中でトランプ前大統領は横田早紀江さんに対し、娘のめぐみさんに「きっと会えるよ」とことばをかけたということです。
横田めぐみさんの母親 早紀江さん「よい動きが始まれば」
市川修一さんの兄 健一さん「進展を信じる」
松本京子さんの兄 孟さん「すがるような思い」
拉致問題解決に向け一刻の猶予も許されない
拉致被害者の家族と面会の米大統領 4人目に