※11月14日(日本時間)のイスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。
バイデン大統領「病院保護されるべき」イスラエルに懸念伝える
アメリカのバイデン大統領は13日「病院については行き過ぎない行動がとられるべきだ。病院は保護されるべきだ」と述べて懸念を示すとともに、イスラエル側にこうした懸念を伝えていることを明らかにしました。
またホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は記者会見でイスラエル側も懸念は理解しているとしたうえで病院が医療活動を続けられるよう燃料を提供する用意があるとアメリカ側に伝えてきたと明らかにしました。
一方で、イスラエル軍は病院側と連絡が取れていないと説明しているとして、アメリカとして病院が保護されるよう引き続き働きかけていくとしています。
サリバン補佐官はまた「イスラエル軍は市民を盾にとるテロ組織のハマスと対じしているが、だからと言って国際法に従うという責任が小さくなるわけではない」と述べ、イスラエル側にくぎを刺しました。
ハマス側 5日間の停戦と引き換え 70人の人質解放用意
イスラム組織ハマスの軍事部門カッサム旅団の報道官は13日、拘束している人質の解放と一時的な停戦を引き換えにした交渉がカタールの仲介で行われているとSNSで明らかにしました。
それによりますと、拘束している最大で70人の女性と子どもの人質の解放の用意があると仲介者に伝えたとしています。
一方、イスラエル側は女性と子どもの人質100人を解放するように求めてきたということです。
ただ、イスラエル側はこうした交渉の間も攻撃を続け、人質の命を軽視しているなどとして交渉を妨げているとしています。
また、カッサム旅団はイスラエル側の攻撃で人質の女性が今月9日に死亡したとする動画もSNSに投稿し、攻撃により人質の命が危険にさらされているとしています。
この動画についてイスラエル軍は「ハマスが人質の動画や写真を利用し、心理的なテロ行為と非人道的な行為を続けている」として、強く非難しました。
イスラエル軍 ハマスの幹部5人を殺害したと主張
イスラエル軍は13日もガザ地区に対する空爆や地上部隊による作戦を続け、対戦車ミサイル部隊の司令官などハマスの幹部5人を殺害したと主張しています。
さらにイスラエル軍は、ガザ市にあるクッズ病院の周辺で撮影したとする映像を公開しました。
イスラエル軍の説明によりますと病院の入り口付近でハマスの戦闘員だとする人物がロケットランチャーで攻撃したあと病院に戻って隠れたなどとしていて「ハマスが病院などの民間施設を悪用している新たな証拠だ」などとしています。
クッズ病院についてパレスチナ赤新月社は今月12日、燃料不足や攻撃による被害のため稼働を停止したと発表していて、イスラエル側が病院の周辺などでの攻撃を正当化するねらいがあるとみられます。
これに対してパレスチナ赤新月社は、「病院内に武装した人物はおらず、いるのは、患者とその家族、そして医療スタッフだ」とイスラエル側の主張を否定しました。
一方、ガザ地区の保健当局はイスラエル軍による攻撃や燃料不足によって地区内にある35の病院のうち25がこれまでに稼働の停止に追い込まれたと発表しました。
また、ガザ地区最大の病院、シファ病院では新生児7人と患者27人が死亡したとしています。
国連機関 “48時間後には支援活動できなくなる”
ガザ地区で支援にあたっているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関のガザ事務所のホワイト所長は13日、エルサレムでの記者会見にオンラインで参加し、燃料不足のため、48時間後には支援活動ができなくなると訴えました。
UNRWAは、ガザ地区で避難民などに対して、水や食料を支給していますが、現地の倉庫は空となったほか、物資を輸送する業者は、トラックの燃料不足のため、物資を届けられなくなったということです。
また、これまでは淡水化装置を使って飲料水を支給していましたが、こちらも燃料不足によって稼働できなくなるということです。
さらに、国連によりますとエジプト側からラファ検問所を通り、ガザ地区に支援物資を届けるトラックも、検問所での検査などに時間がかかるため、現在は1日に40台ほどしか通れていないということです。
ホワイト所長は「飲料水の不足はとりわけ深刻で、たとえ脱水症状の患者が出ても病院も燃料がないため患者を助けられなくなる」と述べ、窮状を訴えました。
また、国連のヘイスティングス人道調整官は、NHKの取材に対し「最も重要なのは人道的停戦だ。継続的な停戦は、一時だけのものより効果的だ」と述べ、必要な支援物資を届けるため、国際社会も働きかけを強めてほしいと訴えました。
シファ病院医師「状況はとても悪く非人道的」
危機的な状況が続いているガザ地区最大のシファ病院に残る国際NGO「国境なき医師団」の医師は、「状況はとても悪く、非人道的だ」と述べた上で、患者の安全な避難が保証されなければ、病院を離れることはできないと訴えています。
国境なき医師団は、現地時間の13日午前に収録されたというシファ病院に残る医師からのメッセージをSNSに投稿しました。
この中で医師は、電気も水も食料もない危機的な状況とともに、病院の前には多くの遺体が残され、けが人もいるものの、そうした人々を搬送しようとした救急車が攻撃され、病院に運ぶことができないと窮状を伝えています。
また、患者を銃撃した狙撃兵もいて、けがをした3人を手術したとも証言しています。
病院には、600人の入院患者と37人の新生児がいて中にはICU=集中治療室での治療が必要な患者もいるとしています。
医師は「患者たちを置いてはいけない。病院を去ろうとした人が爆撃され、狙撃兵に殺されたのを見てきたので、安全に退避できるルートの保証が必要だ。もしそれが保証され、まず患者を避難させるのであれば、私たちも避難する」と訴えています。
ニューヨーク国連本部 スタッフの犠牲者100人超で黙とう
イスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事衝突以降、ガザ地区で亡くなった国連スタッフを追悼するため、ニューヨークの国連本部では13日朝、国連旗の半旗が掲げられました。
また、このあと国連本部の議場には、グテーレス事務総長と、国連の高官などおよそ100人が集まり、1分間の黙とうをささげました。
世界各地にある国連機関でも半旗が掲げられたり黙とうが行われたりしました。
イスラエル軍とハマスの軍事衝突から1か月余りで国連スタッフの犠牲者は100人を超え、1つの紛争で亡くなった国連スタッフの数としてはこれまでで最も多くなっています。
EU「ガザ地区は即時 戦闘休止を」
ガザ地区をめぐってEU=ヨーロッパ連合は、12日声明を発表し「深刻さを増す人道危機を深く懸念している」として、イスラエルとイスラム組織ハマスに対し、戦闘の即時休止を求めました。
EUは、これまでも双方に戦闘休止を求めてきましたが、13日に会見を開いたEUのボレル上級代表は「ガザ地区の人道状況は戦闘休止を緊急に必要としている」と述べEUとしては即時の休止を求めることでこれまでより呼びかけを強めたとしています。
一方、EUは13日に外相会議を開き、中東情勢をめぐって意見を交わしましたが、加盟国の外相からは人道的な停戦を求める声も聞かれました。
このうちスロベニアのファヨン外相は記者団に対し「病院や子どもたちへの攻撃を強く非難する」と述べて人道的な停戦を求め、アイルランドのマーティン外相も「戦闘休止を求めるEUの声明を歓迎はするが、さらなる措置をとるべきだ。人道的な停戦が必要だ」と述べました。
ただ加盟国の中には「停戦はハマスを利することになる」という意見もあり、EUのなかで依然として立場が割れている実情が浮き彫りになっています。