埼玉県では夕方以降、発達した雨雲がかかり続け、レーダーによる解析でおよそ100ミリから120ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、気象庁は「記録的短時間大雨情報」を相次いで発表しました。
鳩山町では午後10時半までの6時間半に降った雨の量は360ミリに達し、平年の7月1か月分の2倍にのぼる記録的な大雨となっています。
鳩山町付近の雨雲はしだいに東や南へ移動し、埼玉県の狭山市入間川では午後10時までの1時間に108ミリの猛烈な雨を観測しました。
この時間は東京・多摩地区や23区西部にも発達した雨雲がかかり、レーダーによる解析では午後11時までの1時間に立川市付近でおよそ50ミリの非常に激しい雨が降ったとみられます。
また、埼玉県では氾濫の危険性が非常に高い「氾濫危険水位」を超えている川があります。
これまでに降った雨で埼玉県と長野県では、土砂災害の危険性が非常に高まり「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。
東日本と東北は13日朝にかけて雷を伴って非常に激しい雨が降り、局地的には猛烈な雨が降るおそれがあります。
気象庁は土砂災害や低い土地の浸水、川の急な増水に厳重に警戒するとともに、落雷や突風、それに「ひょう」にも注意するよう呼びかけています。
埼玉県では道路の冠水や土砂崩れなどの情報が相次いでいます。
災害が発生していない地域でも今後、活発な雨雲がかかると危険性が高まるおそれがあり、早めの安全確保を心がけてください。
鳩山町ではレーダーによる解析で午後5時50分までの1時間におよそ100ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、記録的短時間大雨情報が発表されました。 さらに、午後7時までの1時間におよそ100ミリの猛烈な雨が解析されたほか、午後8時10分までの1時間にはアメダスで110ミリの猛烈な雨が観測されています。 雨雲は隣の東松山市にも移り、午後6時30分までの1時間と午後7時50分までの1時間にそれぞれおよそ100ミリの猛烈な雨が解析されました。 さらに、鳩山町の北、嵐山町付近でも午後7時10分までの1時間におよそ110ミリの猛烈な雨が降ったとみられます。 鳩山町の西側にあたる越生町付近では午後8時までの1時間におよそ100ミリの猛烈な雨が降ったとみられます。 雨雲はしだいに南東へ移動し、午後8時半までの1時間に毛呂山町付近でおよそ120ミリの猛烈な雨が降ったと見られるほか、午後8時50分までの1時間には坂戸市付近で1時間におよそ100ミリの猛烈な雨が降ったと見られます。 午後10時までの1時間には埼玉県狭山市入間川で108ミリの猛烈な雨が観測されました。 土砂災害や浸水の危険性が急激に高まる状態が続いています。 夜間で周囲の状況もわかりにくくなっています。 むやみに外に出るのはかえって危険な場合もあります。 少しでも安全を確保するようにしてください。
なぜ猛烈な雨がこれほど降り続いているのでしょうか。 気象庁によりますと、12日は日本海にある低気圧に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込み、上空には寒気が南下して北日本から西日本の広い範囲で大気の状態が不安定となり、各地で雨雲が発達しました。 埼玉県では夕方から発達した雨雲がかかり続け、鳩山町や嵐山町、越生町、東松山市、それに坂戸市付近でレーダーによる解析でおよそ100ミリから120ミリの猛烈な雨が相次いで降ったとみられ、気象庁は「記録的短時間大雨情報」を相次いで発表しました。 これについて気象庁は埼玉県の周辺では東寄りの風と、南寄りの風がぶつかり合って風が収束し、局地的に積乱雲が発達していると分析しています。 特にこれまでの雨量が360ミリを超えた鳩山町周辺では風が収束し続けることで発達した雨雲が滞留するように同じ場所にかかり、猛烈な雨が降り続いているとみられるということです。 気象庁は埼玉県ではこの後しばらくは発達した雨雲がかかり続けるおそれがあるとして厳重な警戒を呼びかけています。
厳重な警戒が必要です。
短時間に猛烈な雨が降ると、低い土地では降った雨が排水できなくなり、浸水が発生することがあります。 浸水が始まる前の早めの避難が大切です。 ただ、浸水が始まっている中での移動は危険です。 外に避難するのが難しい場合は、自分のいる建物の高い階に移動するなど身を守る行動を取ってください。 線路や道路などの下を通る「アンダーパス」は大雨で冠水しやすく、気付かずに車が入り込み乗っていた人が死亡する事故もたびたび起きています。 大雨の中で車の運転はなるべく控えてください。
比較的川幅の狭い「中小河川」では、短時間の激しい雨でも水位が急激に上昇し、氾濫の危険性が高まることがあります。 気象情報のほか、川の水位の情報や自治体の避難情報を確認し、早めの避難を心がけてください。 すでに氾濫が発生し、安全に避難することが難しくなった時には、近くの頑丈な建物や、自宅の高い場所に移動するなど、少しでも安全性を高める行動を取るようにしてください。 また、大雨となっている中で川の様子を見に行くことも危険なので、控えるようにしてください。
短時間に猛烈な雨や非常に激しい雨が降ると、山の斜面などの地中にしみこむ前に地表を雨水が流れ、表面の土を削り取って土石流が発生しやすくなります。 また、激しい雨でなくても、長時間、雨が降り続くと地中に大量の水がしみこみ、崖崩れや地すべりが起きやすくなります。 すでに大雨となっている地域では地盤が緩んでいるため、雨が弱まっても土砂災害が発生するおそれがあります。 「土砂災害警戒情報」や自治体の「避難指示」などが発表されていなくても、土砂災害が起きることがあります。 土砂災害が発生する直前には、▽斜面から小石が落ちてくる、▽斜面に亀裂ができる、▽斜面から突然水が湧き出す、▽「山鳴り」や「地響き」などの異常がみられることがあります。 こうした現象に気がついた場合には直ちに安全を確保してください。 斜面や渓流などには近づかず、頑丈な建物の高い場所に早めに避難するのが最も安全です。 ただ、周辺が浸水するなど外への避難がかえって危険な場合は、▽建物の2階以上に避難したり、▽斜面と離れた側の部屋に移動したりするなど、少しでも安全性を高める行動を取るようにしてください。
記録的な大雨の推移
風の収束で雨雲滞留か
警戒のポイントは
低い土地の浸水
川の氾濫
土砂災害