日本新聞: ノーベル文学賞ことしの発表見送りアカデミーの改革は難航か

ノーベル文学ぶんがく賞しょうことしの発表はっぴょう見送みおくりアカデミーの改革かいかくは難航なんこうか

May 5, 2018 05:05

Furigana

ノーベル文学ぶんがく賞しょうの選考せんこうを行おこなうスウェーデン・アカデミーは、セクハラ問題もんだいをめぐり失墜しっついした信頼しんらいの回復かいふくに時間じかんが必要ひつようだとして、ことしの受賞じゅしょう者しゃの発表はっぴょうを見送みおくることを明あきらかにしましたが、専門せんもん家かからは改革かいかくが難航なんこうするのは避さけられないという、厳きびしい見方みかたもでています。スウェーデン・アカデミーは４よん日にち、例年れいねん１０月じゅうがつに予定よていされているノーベル文学ぶんがく賞しょうの受賞じゅしょう者しゃの発表はっぴょうをことしは見送みおくり、来年らいねんの文学ぶんがく賞しょうと同時どうじに発表はっぴょうする方針ほうしんを示しめしました。

その理由りゆうについて、会員かいいんの夫おっとによるセクハラ問題もんだいなどの対応たいおうで揺ゆらいだ信頼しんらいを回復かいふくさせるために時間じかんが必要ひつようだ、と説明せつめいしています。

アカデミーでは、去年きょねん１１月じゅういちがつに会員かいいんの夫おっとで文学ぶんがく界かいに強つよい影響えいきょう力りょくを持もつ男性だんせいによるセクハラ問題もんだいが浮上ふじょうしたほか、男性だんせいが会員かいいんとともに運営うんえいしていた文化ぶんか組織そしきへの助成じょせい金きんの在り方ありかたについても、疑問ぎもんが投なげかけられました。

会員かいいんの間までは、会員かいいんが夫おっとの問題もんだいについて責任せきにんをとって辞任じにんするべきかどうかをめぐって意見いけんが対立たいりつし、対応たいおうが消極しょうきょく的てきだと抗議こうぎして一部いちぶの会員かいいんが辞任じにんするなど混乱こんらんが広ひろがっていました。

アカデミーによりますと、ノーベル文学ぶんがく賞しょうの受賞じゅしょう者しゃの発表はっぴょうが行おこなわれなかったことは過去かこに７なな回かいありましたが、セクハラ問題もんだいに端はじを発はっする混乱こんらんで受賞じゅしょう者しゃの発表はっぴょうを見送みおくるのは異例いれいです。

アカデミーでは今後こんご、組織そしきの立て直たてなおしを急いそぐとしていますが、専門せんもん家かからは、問題もんだいの対応たいおうに消極しょうきょく的てきだった会員かいいんが多おおく残留ざんりゅうする中なか、改革かいかくが難航なんこうするのは避さけられないという、厳きびしい見方みかたも出でています。

背景はいけいにセクハラ問題もんだいへの認識にんしきの甘あまさ

スウェーデン・アカデミーがことしの受賞じゅしょう者しゃの発表はっぴょうを見送みおくると決きめたことについて、地元じもとの大手おおて新聞しんぶんで文化ぶんか問題もんだいを担当たんとうするビョルン・ヴィーマン編集へんしゅう長ちょうは「アカデミーの会員かいいんは、終身しゅうしん制せいであるみずからの権威けんいに酔よっていて、重大じゅうだいな問題もんだいへの対応たいおうを誤あやまった。社会しゃかいからの支持しじがあってこその立場たちばだということを忘わすれてしまっていた」と、セクハラ問題もんだいへの認識にんしきの甘あまさが問題もんだいを深刻しんこく化かさせた背景はいけいにあると指摘してきしました。

そのうえでヴィーマン氏しは「問題もんだいに無む関心かんしんだった男性だんせい会員かいいんたちは残のこっており、アカデミーが僅わずか１いち年ねんで信頼しんらい回復かいふくに必要ひつような改革かいかくを進すすめられるかどうか極きわめて不透明ふとうめいだ。予算よさんを管理かんりするノーベル財団ざいだんが介入かいにゅうするなどして後押あとおしをする必要ひつようがあるのではないか」と述のべ、改革かいかくの道みちのりは厳きびしいという見方みかたを示しめしました。