上川法務大臣は
午後1時前、
法務省で
臨時に
記者会見し、
オウム真理教の
元代表の
麻原彰晃、
本名・
松本智津夫死刑囚ら
7人に
死刑を
執行したことを
発表しました。そのうえで、
上川大臣は
死刑執行の
命令書にサインしたことを
明らかにし、「
慎重にも
慎重な
検討を
重ねたうえで
執行を
命令した」と
述べました。
この中で、
上川法務大臣は
松本死刑囚ら
教団の
元幹部7人の
死刑を
執行したことを
発表しました。
平成10
年11
月に、
死刑執行の
事実などが
公表されるようになってから、
1日に
7人が
執行されたのは
初めてです。
そのうえで上川大臣は「犯行は組織的、計画的で、過去に例を見ない今後二度と起きてはならない極めて凶悪重大な事件だ。日本のみならず諸外国の人々をも極度の恐怖に陥れ、社会をしんかんさせ、化学兵器も用いられた無差別テロだ」と述べました。
そして、上川大臣は3日前に死刑執行の命令書にサインしたことを明らかにし、「一連の事件で、27名の尊い命が奪われ、多くの方々が障害を負わされ、中には重篤な障害を負った方もいる。被害者や遺族が受けた恐怖や苦しみ、悲しみは想像を絶する。こうしたことを踏まえ、鏡を磨いて、磨いて、磨いて、磨き切るという心構えで慎重にも慎重な検討を重ねたうえで、命令を出した」と述べました。
また上川大臣は6日執行した理由などは答えられないとしたうえで、「死刑の判決は極めて凶悪な罪について裁判所が審理を尽くして言い渡したもので、裁判所の判断を尊重しつつ慎重かつ厳正に対処するものと考えて厳正に発出した」と述べました。
一方、「オウム真理教から名前を変えた『アレフ』などの施設の周辺住民が、不安や懸念を表明するなど、大変心配しているので、関係機関とも緊密に連携し必要な警戒を行っている。危険行為の未然防止には万全を期す」と述べました。
法相「必要な警戒を行う」
上川法務大臣は、6日午後3時すぎに行われた閣議のあとの記者会見で、一連の死刑執行による自身に対する報復行為への対応を問われたのに対し、「警備の強化については関係機関と緊密にしっかりと連携を取りながら、必要な警戒などを行っていく」と述べました。
また公安調査庁は6日、札幌市白石区にあるオウム真理教から名前を変えた「アレフ」の施設や、東京 世田谷区にあるオウム真理教の元幹部が設立した「ひかりの輪」の活動拠点など、13の都道府県の20の関連施設で立ち入り検査を行っていることを明らかにしました。
法務省によりますと6日、7人に死刑が執行されたことで、確定死刑囚の数は117人になり、このうち116人が拘置所に収容されているということです。
また、確定死刑囚117人のうち92人が再審・裁判のやり直しを求めているということです。
犯罪被害者の支援団体「執行は当然」
死刑制度の存続を訴えている犯罪被害者を支援する弁護士で作る団体「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」は松本智津夫死刑囚ら7人に死刑が執行されたことを受けて「法律に従い、執行されるのは当然のことだ。粛々と法を執行したものであり、これを強く支持する」とする声明を発表しました。
事務局長の高橋正人弁護士は記者会見で「ある殺人事件の遺族は、死刑が執行されることで、その翌日から死刑囚が頭に浮かぶことがなくなり、一歩を踏み出せたと話していた。殺したからには死んで償ってもらわなければならない。今回の死刑執行で一連の事件の遺族も新たな一歩を踏み出せるのではないかと考える」と述べました。
国際的な人権団体「処刑では償いにならない」
死刑制度に反対している国際的な人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、今回の死刑執行を受けて声明を発表しました。
声明では「1日に7人の大量処刑は、近年類を見ない。罪を償うのは当然だが、処刑されたところで、決して償いにならない。日本は国連の人権状況の審査で死刑制度の改革を迫られてきたが、ことし3月にまた勧告の受け入れを拒否した。日本政府は『世論が望むから死刑執行は避けられない』と繰り返し主張してきたが、本来、国がすべきことは、一歩踏み出して人権尊重を主導することだ」としています。