外交青書は、
昭和32
年から
毎年発行されている
日本外交の
方針や
国際情勢をまとめた
文書で、27
日の
閣議で
報告されました。
この中では、日中関係を引き続き「最も重要な二国間関係の一つ」とする一方、中国による海洋進出や軍事力の拡大について「日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念」と危機感を示し、去年使っていた「地域・国際社会共通の懸念事項」という記述よりも表現を強めています。
そのうえで、沖縄県の尖閣諸島周辺で中国海警局の船が領海侵入を繰り返していることなどを「国際法違反」と初めて明記し、中国が海警局に武器の使用を認めた「海警法」の施行を批判しています。
さらに、香港や新疆ウイグル自治区の人権状況に関する記述を大幅に増やして懸念を強調しています。
また、韓国については、去年と同じく「重要な隣国」とする一方、慰安婦問題をめぐることし1月の韓国裁判所の判決は、厳しい状況にある両国関係をさらに深刻化させるものだとして適切な措置を求めています。
北朝鮮については、日米韓3か国で連携して非核化を目指すとともに、拉致問題の早期解決に向けて全力を尽くすとしています。
韓国外務省が抗議
日本の
外交青書について、
韓国外務省は
報道官の
論評を
出し、
慰安婦問題に関する記述に
関連し「
この問題は
世界で
類を
見ない、
紛争下の
女性の
人権じゅうりんで、
普遍的な
人権侵害の
問題だ」としています。
そのうえで「日本政府が1993年の河野談話や2015年の両国の合意などで表明した責任の痛感と謝罪、反省の精神に一致する行動を示すことを強く要求する」としています。
また、韓国が「トクト(独島)」と呼んで領有権を主張している島根県の竹島について「日本固有の領土である」と明記されたことに強く抗議するとし「いかなる挑発に対しても断固として対応していく」としています。
さらに外交青書の記述を巡って、韓国外務省はソウルにある日本大使館の相馬 総括公使を呼んで抗議し、これに対して相馬総括公使は日本の立場を説明し、抗議は受け入れられないと応じたということです。