秋あきに第だい5波は到来とうらいも!? 新型しんがたコロナ最新さいしん予測よそく

内閣ないかく官房かんぼうのシミュレーションプロジェクトで感染かんせん予測よそくに取り組とりくんできた筑波つくば大学だいがくの倉橋くらはし節也せつや教授きょうじゅとともに予測よそくしました。

そのモデルとしたのは東京とうきょう都とです。

これから先さきも、今いままでのような感染かんせん者しゃ数すうの増減ぞうげんパターンや社会しゃかい的てきな行動こうどう制限せいげんが繰り返くりかえされるとして、今後こんごの感染かんせん者しゃ数すうを予測よそくしました。

まずは、ワクチン接種せっしゅを行おこなわなかったとした場合ばあいです。（グラフのオレンジ色しょくの線せん）

予測よそくに必要ひつようなのは「ワクチンの有効ゆうこう性せいの高たかさ」と「接種せっしゅのスピード」に関にかんする情報じょうほうです。

参考さんこうにしたのは、すでに人口じんこうのおよそ6割わりが2回かいのワクチン接種せっしゅを終おえた（4月つき時点じてん）イスラエルの最新さいしん論文ろんぶん。

一方いっぽう、東京とうきょう都とにおけるワクチン接種せっしゅのスピードについては、政府せいふが示しめしている方針ほうしんを参考さんこうに、「1日にち当あたり都民とみんの最大さいだい0.5％が接種せっしゅする」と想定そうていしました。

第だい4波はの感染かんせん者しゃ数すうはほとんど減へりません。ワクチンの接種せっしゅスピードが追おいつかないためです。

その一方いっぽうで、第だい5波はは大おおきく抑え込おさえこまれる結果けっかとなりました。

たとえば、日本にっぽん国内こくないでも確認かくにんされている、「感染かんせん力りょくが強つよいN501Y変異へんい」と「ワクチンの効き目ききめが弱よわくなる可能かのう性せいのあるE484K変異へんい」を合あわせ持もつ変異へんいウイルス。

じつにやっかいなウイルスとして警戒けいかいされています。

ここでは去年きょねん春はる、従来じゅうらい型がたの新型しんがたコロナウイルスが流行りゅうこうし、7割わりを超こえる住民じゅうみんが感染かんせん。5000人にん以上いじょうが犠牲ぎせいになりました。

しかし去年きょねん12月つきから再ふたたび患者かんじゃが急増きゅうぞう。しかも一度いちど感染かんせんした後のち、回復かいふくし免疫めんえきを獲得かくとくした人ひとたちが、「2度目どめの感染かんせん」をするケースが次々つぎつぎと現あらわれたのです。結局けっきょく、第だい2波はの死者ししゃ数すうは第だい1波はを上回うわまわりました。

この変異へんいウイルスが今後こんご増ふえ始はじめると、どうなるでしょうか。

「N501Y変異へんい」による感染かんせん力りょくの上昇じょうしょうは「およそ30％」という国内こくないの報告ほうこくがあります。

一方いっぽう、世界中せかいじゅうの論文ろんぶんをひもとくと、「35％から100％」と幅はばがあることが分わかりました。

ワクチンの有効ゆうこう性せいについては、これまでに発表はっぴょうされた、いくつかの報告ほうこくから、「20％弱よわまる」と想定そうていしました。

シミュレーションでは、ワクチン接種せっしゅに加くわえて、今年ことし1月つきに出だされた2度目どめの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん相当そうとうの制限せいげん（「不要ふよう不急ふきゅうの外出がいしゅつ自粛じしゅく」や「飲食いんしょく店てんの時短じたん営業えいぎょう」など）も行おこなうと想定そうていしました。新規しんき感染かんせん者しゃが1000人にんを超こえた際さいに制限せいげんを行おこなうとします。

もし、4月つき1日にちの時点じてんで「2つの変異へんいを合あわせ持もつ」ウイルスの感染かんせん者しゃが都内とないに10人にんいたと仮定かていすると…。

その後そのごも数かずは増ふえ続つづけ、秋あきには最大さいだいで1日にち3000人にん以上いじょうがこの変異へんいウイルスに感染かんせんしてしまうという計算けいさん結果けっかになったのです。

このほかに、いま関西かんさいなどで増ふえている「N501Y変異へんいのみを持もつ」ウイルスの場合ばあいも予測よそくしました。

ただ、「N501Y変異へんい」があると重症じゅうしょう化か率りつが高たかくなるとも言いわれているため、決けっして安心あんしんはできません。

「必かならずこうなるというような決定けってい的てきなシミュレーションではありません。最終さいしゅう的てきに人ひとが意思いし決定けっていを行おこなうための材料ざいりょうを提供ていきょうする目的もくてきで、こういう手てを打うつともう少もうすこし良よくなるということを見みせるためにシミュレーションを行おこなっている」

去年きょねん4月つき初はじめに出だされた1回かい目めの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんの時ときのように、イベントの中止ちゅうしや学校がっこうの休校きゅうこうなど、より厳きびしい社会しゃかい的てき制限せいげんを行おこなった場合ばあいのシミュレーションも行おこないました。新規しんき感染かんせん者しゃが1000人にんを超こえた際さいに制限せいげんを行おこなう想定そうていです。

東京とうきょう都とは25日にちから始はじまった3回かい目めの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんで、酒さけやカラオケを提供ていきょうする店みせや大型おおがた商業しょうぎょう施設しせつなどに休業きゅうぎょう要請ようせいを行おこなうなどしています。

それらの効果こうかが現あらわれるのはまさにこれからです。

倉橋くらはし教授きょうじゅは、「厳きびしい社会しゃかい的てき制限せいげんは経済けいざい的てきな損失そんしつも伴ともなうため、感染かんせん抑止よくしと経済けいざい損失そんしつを総合そうごう的てきに考かんがえる中なかで、どういう対策たいさくをとるべきか、きちんと議論ぎろんをすべき時ときに来きている」と言いいます。

マウントサイナイ医科いか大学だいがく フロリアン・クラマー教授きょうじゅ

「北半球きたはんきゅうでは夏なつの間まはウイルス拡大かくだいの勢いきおいは弱よわまるので、その間そのかんにワクチン接種せっしゅの遅おくれを取り戻とりもどす時間じかん的てき猶予ゆうよがあります。しかし、夏なつが終おわるまでにできるだけ多おおくの人ひとにワクチンを接種せっしゅしなければ、秋あきには感染かんせん者しゃ数すうが上昇じょうしょうするおそれもあるでしょう」

マウントサイナイ医科いか大学だいがく ミリアム・メラード博士はかせ

「問題もんだいはワクチン接種せっしゅが迅速じんそくに行おこなわれていないことです。新あたらしい変異へんいウイルスが出でてきます。ワクチン接種せっしゅと変異へんいウイルスの競争きょうそうなのです」

テルアビブ・ソウラスキー医療いりょうセンター ロニー・ガムズ教授きょうじゅ

「多おおくの国々くにぐにはワクチンの接種せっしゅを速すみやかに進すすめることの重要じゅうよう性せいを理解りかいできていません。まさにスピード勝負しょうぶなのです」

ワシントン大学だいがく キース・ジェローム教授きょうじゅ

「今いまは新あたらしい感染かんせん者しゃ数すうを減少げんしょうさせなければなりません。そうすればウイルスが変異へんいしてワクチンへの抵抗ていこう性せいを持もつ可能かのう性せいが少すくなくなります。そして、今後こんご1～3か月かげつの間ま、感染かんせん者しゃ数すうを低ひくく抑おさえることができれば我々われわれはウイルスに打ち勝うちかつでしょう。もしこの期間きかんに失敗しっぱいした場合ばあい、我々われわれはサイコロを再度さいど振ふることになり、何なにか非常ひじょうに悪わるいことが起おきて数すうヶ月かげつ後戻あともどりさせてしまうことになるおそれもあります」

フロリダ大学だいがく ヤン・ヤン准じゅん教授きょうじゅ

「今いまのところ、子こどもは感染かんせんしにくく、重症じゅうしょう化かもしにくいとされていますが、このウイルスは今後こんごも変異へんいしていきます。パンデミックの完全かんぜんな終息しゅうそくには、今後こんご、子こどもへのワクチン接種せっしゅも重要じゅうようでしょう」

ハーバード大学だいがく医学部いがくぶ ダン・バルーク博士はかせ

「裕福ゆうふくな国くにや西洋せいよう諸国しょこくだけがワクチン接種せっしゅをするのは不十分ふじゅうぶんで、発展はってん途上とじょう国こくへのワクチン供給きょうきゅうも重要じゅうようです。世界せかい的てきにワクチンが行き渡いきわたれば、やっかいな変異へんいが出現しゅつげんすることもありません」