日本新聞: 在宅勤務前より減った？職場クラスターが増加

在宅ざいたく勤務きんむ前まえより減へった？職場しょくばクラスターが増加ぞうか

Apr 30, 2021 18:04

Furigana

感染かんせん拡大かくだいを抑おさえるために重要じゅうようとされているテレワークが、3回かい目めの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん後ごどれだけ実践じっせんされているのか。ビッグデータを使つかって今週こんしゅうのオフィス街がいの人出ひとでを分析ぶんせきした結果けっか、東京とうきょう駅えき付近ふきんでは1回かい目めの宣言せんげん時じより32％、2回かい目めより15％増加ぞうかし、宣言せんげんを重かさねるごとに人出ひとでを抑おさえきれなくなっていることが分わかりました。

NHKは、NTTドコモが携帯けいたい電話でんわの基地きち局きょくからプライバシーを保護ほごした形かたちで集あつめたビッグデータを使つかって、東京とうきょう駅えきと大阪おおさか梅田うめだ駅えき付近ふきんのオフィス街がいについて、午前ごぜん8時じ台だいの人ひとの数かずを分析ぶんせきしました。

その結果けっか、今月こんげつ26日にちから28日にちまでの、3回かい目めの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん後ごの平日へいじつ3日間にちかんの人出ひとでは、東京とうきょう駅えき付近ふきんで1回かい目めの宣言せんげん期間きかん中ちゅうの平日へいじつ平均へいきんより32％、2回かい目めの宣言せんげん期間きかん中ちゅうの平日へいじつ平均へいきんより15％いずれも増加ぞうかしていて、宣言せんげんを重かさねるごとに人出ひとでを抑おさえきれなくなっていることが分わかりました。

一方いっぽう、大阪おおさか梅田うめだ駅えき付近ふきんは、1回かい目めと比くらべると39％増加ぞうかしていましたが、2回かい目めと比くらべると1％減少げんしょうしていて、東西とうざいで差さが見みられました。

4月つき職場しょくばでのクラスターが最多さいたに

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいする今月こんげつ、職場しょくばでのクラスターが全国ぜんこくで90件けん以上いじょう発生はっせいし、高齢こうれい者しゃ施設しせつなどを上回うわまわり最もっとも多おおくなっていることが分わかりました。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうで示しめされたデータによりますと、今月こんげつは23日にちまでに5人にん以上いじょうのクラスターが全国ぜんこくで463件けん発生はっせいしました。

このうち「職場しょくば」でのクラスターは96件けんにのぼり、「高齢こうれい者しゃ施設しせつ」の86件けん、「学校がっこう・教育きょういく施設しせつ」の60件けん、「医療いりょう機関きかん」の51件けんを上回うわまわり、最もっとも多おおくなっています。

去年きょねん11月つき以降いこうは、高齢こうれい者しゃ施設しせつのクラスターが最もっとも多おおく発生はっせいしていましたが、先月せんげつから職場しょくばクラスターが増加ぞうか。

2月つきには49件けんだった件数けんすうは、先月せんげつは78件けん、そして今月こんげつは96件けんと、およそ2か月かげつで2倍ばい近ちかくに増ふえ、高齢こうれい者しゃ施設しせつの数かずを上回うわまわりました。

職場しょくばでの感染かんせんについて、都内とないの保健所ほけんじょからも最近さいきん特とくに増加ぞうかしているという声こえがあがっています。

東京とうきょう・北きた区くでは今月こんげつの新規しんき感染かんせん者しゃの数かずが25日にちまでに356人にんと、先月せんげつと比くらべておよそ1.6倍ばいに増ふえています。

北きた区く保健所ほけんじょによりますと感染かんせん経路けいろの内訳うちわけは、不明ふめいがおよそ44％と最もっとも多おおく、ついで家庭かてい内ない感染かんせんがおよそ23％、職場しょくばがおよそ14％、会食かいしょくがおよそ6％。職場しょくばの割合わりあいは先月せんげつのおよそ7％から2倍ばいほどに増ふえています。

さらに保健所ほけんじょが注目ちゅうもくしているデータがあります。4月つきに感染かんせんが確認かくにんされた356人にんのうち、会社かいしゃに通勤つうきんしていた人ひとは132人にん。このうち、ほかの陽性ようせい者しゃと接触せっしょくしていたことが判明はんめいしたのは68人にんです。

この中なかで職場しょくばで接触せっしょくしていた人ひとは33人にんと全体ぜんたいの半数はんすう近ちかくにのぼり、家庭かてい内ないの21人にんや会食かいしょくの11人にんより多おおくなっています。

感染かんせん者しゃのうち日頃ひごろ通勤つうきんしている人ひとは、職場しょくばで陽性ようせい者しゃと接触せっしょくしていた割合わりあいが比較的ひかくてき高たかいことを示しめしています。

では、職場しょくばでの感染かんせんは具体ぐたい的てきにどのようなケースが起おきているのか。

保健所ほけんじょによりますと会議かいぎや研修けんしゅう、あるいは出張しゅっちょうなどで一緒いっしょに出席しゅっせきしていたり行動こうどうしていたりした人ひとから感染かんせんが広ひろがるケースが相次あいついでいるといいます。

出張しゅっちょうする際さいに会社かいしゃから同おなじ車くるまに同乗どうじょうしたり、長時間ちょうじかん、一緒いっしょの電車でんしゃに乗のったりして感染かんせんするケースもありました。

また、職場しょくばでマスクを着用ちゃくようしほかの社員しゃいんと十分じゅうぶんに距離きょりを取とっていたにもかかわらず感染かんせんが広ひろがり、要因よういんが分わからないケースもあったということです。

北きた区く保健所ほけんじょの前田まえだ秀雄ひでお所長しょちょうは、職場しょくばに出勤しゅっきんすると人ひとと接せっしたり会話かいわしたりする機会きかいがどうしても増ふえるため、感染かんせんのリスクは高たかくなると指摘してきしています。

そのうえで「最近さいきんはオフィスワーカーの感染かんせんが目立めだっている。また職場しょくば内ないだけではなく通勤つうきんや研修けんしゅうなどでも近ちかい距離きょりで会話かいわすると、感染かんせんを防ふせぎきれない。企業きぎょうはできるだけテレワークを推進すいしんし、出勤しゅっきんを減へらしていただきたい」と話はなしています。