この列車には乗客366人が乗っていて、これまでに18人が死亡し、187人がけがをしました。
台湾との窓口機関になっている日本台湾交流協会は、この事故で日本人が巻き込まれたという情報は入っていないとしています。
事故を起こした車両は、連結部分がはずれて一部は横転していて、警察や消防などが車両の下敷きになった人がいないか、夜を徹して確認作業を行っていました。
事故が起きた現場周辺は約300メートルにわたる緩やかなカーブで、台湾の鉄道当局は21日夜の記者会見で、「列車が当時、どのくらいの速度で走っていたのか、記録を調べる必要がある」と述べています。
また、鉄道当局は、事故が起きる前に運転士から列車の異常を伝える連絡が入っていたとしていて、事故の原因を詳しく調べています。
現場では車両を撤去する作業が進められる一方で、22日朝から反対側の線路を使って列車の運行が再開されました。
乗客「多くの人が折り重なっていた」
家族4人で自宅に帰るため、事故のあった列車に乗っていて軽傷を負った男性は「車両が大きく傾き、多くの人が折り重なっていた」と話していました。
また、母親とともに列車に乗っていたという女の子は「私の乗っていた列車は横倒しになってしまいました。その時は泣いてしまいました」と、当時の様子を振り返っていました。
事故現場は台北から南東に約60キロ
事故が起きたのは台湾北東部の宜蘭県蘇澳にある新馬駅です。
宜蘭県は、太平洋に面する長い海岸線や緑豊かな渓谷などで有名な観光地で、新馬駅は台北から南東に約60キロのところにあります。
また、宜蘭県の南には、景勝地として知られる花蓮県があり、多くの日本人観光客が訪れる地域です。
記者が見た現場は
事故があった列車は、新馬駅の緩やかにカーブしたホームのそばで脱線しました。8つの車両は連結部分が外れ、ジグザグの状態に止まっています。
少なくとも3つの車両が横転し、このうちの1つは線路脇の壁を乗り越えていました。
現場では、消防や警察などが状況を確認したあと、鉄道当局などが車両をつり上げて下敷きになった人がいないか、夜を徹して確認作業を行っていました。
21日夜、現場には、台湾の首相にあたる頼清徳行政院長も訪れ、原因究明と鉄道の早期復旧に向けて作業を急ぐよう指示していました。
特急列車は日本製
台湾の鉄道当局によりますと、事故が起きたのは特急列車「プユマ号」の6432号です。
日本製で、2013年から台湾で運行されています。製造したのはJR東海の子会社「日本車輌製造」で、ホームページでは「カーブの多い台湾の東海岸路線の速度向上のために計画、調達された」としています。
鉄道当局のホームページによりますと、この列車は、現地時間の午後2時50分に台湾北部の樹林駅を出発し、午後7時すぎに東部の台東駅に到着する予定だったということです。
また、この列車は、北東部の宜蘭県にある羅東駅を現地時間の午後4時半ごろ出発したあと、事故が起きた新馬駅付近を通過する予定だったということです。
台湾との窓口機関になっている日本台湾交流協会によりますと、沿線の観光地を訪れる日本人観光客も多く利用する列車だということです。