新型しんがたコロナウイルス 病床びょうしょうひっ迫ひっぱくは９きゅう都府県とふけんに ＮＨＫえぬえいちけい調査ちょうさ

それによりますと、新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃが入院にゅういんするために確保かくほしている病床びょうしょうの数かずは、全国ぜんこく合あわせて9600床しょう余あまりで、現在げんざいの入院にゅういん患者かんじゃは少すくなくとも、およそ5000人にんに上のぼりました。

確保かくほできていると公表こうひょうしている病床びょうしょう数すうに対にたいし、入院にゅういん患者かんじゃ数すうが８はち割わりを超こえているのは９ここのつの都府県とふけんで、東京とうきょう都とと大阪おおさか府ふ、兵庫ひょうご県けん、福岡ふくおか県けんの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされている地域ちいきのほか、山梨やまなし県けんと滋賀しが県けん、京都きょうと府ふ、高知こうち県けん、沖縄おきなわ県けんでも８はち割わりを超こえ、各地かくちで病床びょうしょうの確保かくほが課題かだいになっていることがわかりました。

また、重症じゅうしょう患者かんじゃの治療ちりょうを優先ゆうせんするため、軽症けいしょうの患者かんじゃには宿泊しゅくはく施設しせつや自宅じたくなどで療養りょうようしてもらう対応たいおうを、すでにとっているのは８やっつの都府県とふけんでした。

そして、宿泊しゅくはく施設しせつや自宅じたくで療養りょうようや待機たいきをしている人ひとは、病床びょうしょうが確保かくほできていない人ひとたちも含ふくめて、16の都府県とふけんで合あわせて少すくなくとも900人にんを超こえていました。

このうち、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされている埼玉さいたま県けん、千葉ちば県けん、神奈川かながわ県けんでは、自宅じたくなどで療養りょうようや待機たいきをしている人ひとが、それぞれ100人にんを超こえています。

さらに、医療いりょう態勢たいせいについて懸念けねんされることを聞きいたところ、医療いりょう用ようマスクなど感染かんせんを防ふせぐための物資ぶっしの確保かくほや、宿泊しゅくはく施設しせつに軽症けいしょう者しゃを移うつすための医療いりょうスタッフなどの不足ふそく、それに、大だい病院びょういんに患者かんじゃが集中しゅうちゅうすることや院内いんない感染かんせんなどを挙あげています。

国立こくりつ国際こくさい医療いりょう研究けんきゅうセンターで、患者かんじゃの治療ちりょうにあたっている忽那くつな賢志けんじ医師いしは「これまで患者かんじゃを受け入うけいれていない病院びょういんも、一丸いちがんとなって治療ちりょうに当あたらないと回まわらなくなってしまう。患者かんじゃが少すくない地域ちいきでも、今いまのうちに病床びょうしょうを確保かくほしないと追おいつかなくなる」と述のべ、各地かくちで対応たいおうできる病床びょうしょうを増ふやすなど、重症じゅうしょう化かする人ひとを救すくう態勢たいせいの整備せいびを急いそぐ必要ひつようがあると指摘してきしています。

ベッド数すう拡大かくだいもすぐに満まん床ゆか

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん者しゃが急増きゅうぞうしている東京とうきょう都とでは、医療いりょう機関きかんが病床びょうしょう数すうを増ふやしてもすぐに満まん床ゆかとなってしまう状況じょうきょうが続つづいています。

東京とうきょう・武蔵野むさしの市しの武蔵野むさしの赤十字せきじゅうじ病院びょういんは感染かんせん症しょうの指定してい医療いりょう機関きかんで、１月いちがつ下旬げじゅんから新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした患者かんじゃを受け入うけいれてきました。当初とうしょは感染かんせん症しょう病棟びょうとうの20床しょうで対応たいおうしていましたが、今月こんげつに入はいって東京とうきょう都とから病床びょうしょう数すうを倍ばいに増ふやしてほしいという依頼いらいがありました。

このため、別べつの病気びょうきの入院にゅういん患者かんじゃおよそ30人にんあまりに転院てんいんしてもらうなどして、およそ20床しょうを新あらたに確保かくほしました。それでも新あらたな感染かんせん者しゃが次々つぎつぎに運び込はこびこまれすでに満まん床ゆかとなっています。

入院にゅういんしているのは10代だいから80代だいまでの患者かんじゃで症状しょうじょうも軽症けいしょうから重症じゅうしょうまでさまざまです。

病院びょういんでは院内いんない感染かんせんを防ふせぐため、先月せんげつ、看護かんご師しが作業さぎょうするナースステーションと感染かんせん者しゃが行き来いききする廊下ろうかや部屋へやの間まに急きゅうきょ壁かべを設もうけて、遮断しゃだんしました。

さらに、感染かんせんのリスクに応おうじて病棟びょうとう内ないを３さん段階だんかいに区分くわけしました。

職員しょくいんの体制たいせいも強化きょうかし、患者かんじゃの受け入うけいれについて自治体じちたいと調整ちょうせいを行おこなったり、ＰＣＲ検査けんさの検体けんたいを採取さいしゅしたりする専用せんようの職員しょくいんを５ご人にん配置はいちしました。

病院びょういんでは一般いっぱんの診療しんりょうも行おこなっていますが、ほとんどの診療しんりょう科かから医師いしや看護かんご師しが応援おうえんに入はいり、病院びょういん全体ぜんたいで新型しんがたコロナウイルスへの対応たいおうにあたっています。

感染かんせん症しょうの専門せんもん外がいの職員しょくいんに対にたいしては、専門せんもん知識ちしきのある看護かんご師しが防護ぼうご服ふくやマスクの適切てきせつな着脱ちゃくだつの手順てじゅんなどについて指導しどうし、安全あんぜん管理かんりを徹底てっていして対応たいおうにあたっているということです。

武蔵野むさしの赤十字せきじゅうじ病院びょういんの泉いずみ並木なみき院長いんちょうは「ベッドがすぐ満まん床ゆかになってしまうので非常ひじょうに厳きびしい対応たいおうを迫せまられている。とにかく院内いんない感染かんせんを絶対ぜったい起おこさないよう、感染かんせん者しゃとそうでない人ひとが接触せっしょくしないよう神経しんけいを使つかっている。ふだんの診療しんりょうとは全まったく違ちがう大おおきな負担ふたんがある」と話はなしていました。

マスクや防護ぼうご服ふくなど医療いりょう資材しざいの不足ふそくも

武蔵野むさしの赤十字せきじゅうじ病院びょういんでは感染かんせん者しゃの専用せんよう病床びょうしょうがすぐに満杯まんぱいになるため、今後こんごは重症じゅうしょうと中等ちゅうとう症しょうの患者かんじゃに限かぎって受け入うけいれることにしています。

しかし、中等ちゅうとう症しょう以上いじょうの患者かんじゃはいつ容体ようだいが急変きゅうへんするか分わからず常つねに緊張きんちょう状態じょうたいを強しいられるほか、治療ちりょうを行おこなう際さいには感染かんせん予防よぼうを徹底てっていするため通常つうじょうの倍ばい以上いじょうの人手ひとでが必要ひつようになります。

また防護ぼうご服ふくの着脱ちゃくだつなどで４よん倍ばいほどの手間てまがかかり医療いりょうスタッフに大おおきな負担ふたんが掛かかっているといいます。さらに重症じゅうしょう患者かんじゃが増ふえると職員しょくいんの数かずが足たりなくなるおそれもあり、これ以上いじょうの受け入うけいれは厳きびしいと感かんじています。

また、この病院びょういんではほとんどの診療しんりょう科かから医師いしや看護かんご師しを動員どういんして感染かんせんした患者かんじゃの対応たいおうにあたっているため、それ以外いがいの一般いっぱんの診療しんりょうで、急きゅうな手術しゅじゅつ以外いがいは延期えんきするなどの影響えいきょうが出でているといいます。

さらに深刻しんこくなのはマスクや防護ぼうご服ふくなどの感染かんせん対策たいさくに欠かかせない資材しざいの不足ふそくです。

病院びょういんでは感染かんせんした患者かんじゃの対応たいおうにあたる時とき以外いがいは、手作てづくりのマスクや、クリアファイルで作つくった顔かおを覆おおうシールドを使つかうなどして資材しざいを節約せつやくしながらしのいでいます。

しかし今後こんごさらに感染かんせんが拡大かくだいし患者かんじゃが増ふえれば確実かくじつに医療いりょう崩壊ほうかいにつながると危機きき感かんを抱だいています。

武蔵野むさしの赤十字せきじゅうじ病院びょういんの泉いずみ並木なみき院長いんちょうは「すでに一般いっぱんの手術しゅじゅつは３さん割わりほど減へらしてコロナの対応たいおうにあたっている。また、医療いりょう物資ぶっしの不足ふそくは深刻しんこくで特とくに防護ぼうご服ふくは１いち回かい使用しようしたら捨すてなければならないが、本当ほんとうに手てに入はいらなくなってきているので量産りょうさんしてもらわないと、院内いんない感染かんせんを防ふせぐことも難むずかしくなってしまう」と現状げんじょうを説明せつめいしています。

そのうえで「患者かんじゃが増ふえ続つづければ医療いりょう崩壊ほうかいが起おきてしまうので重症じゅうしょう者しゃを減へらしていく対策たいさくが急務きゅうむだ。長期ちょうき戦せんも覚悟かくごしていて、医師いしや看護かんご師しを疲弊ひへいさせないようにしなければならない」と話はなしていました。