首相しゅしょう 10万まん円えん所得しょとく制限せいげん設もうけず一律いちりつ給付きゅうふへ 公明こうめい・山口やまぐち代表だいひょうに伝つたえる

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいを受うけた経済けいざい対策たいさくをめぐって、公明党こうめいとうの山口やまぐち代表だいひょうは、16日にち午前ごぜん、安倍あべ総理そうり大臣だいじんと電話でんわで会談かいだんし、今年度こんねんどの補正ほせい予算よさん案あんを組み替くみかえて、収入しゅうにゅうが減少げんしょうした世帯せたいへの30万まん円えんの現金げんきん給付きゅうふはとりやめ、所得しょとく制限せいげんを設もうけずに１いち人にん当あたり現金げんきん10万まん円えんを一律いちりつに給付きゅうふするよう求もとめ、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、「引き取ひきとって検討けんとうする」と述のべました。

このあと、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは総理そうり大臣だいじん官邸かんていで自民党じみんとうの二に階かい幹事かんじ長ちょう、岸田きしだ政務せいむ調査ちょうさ会長かいちょうと会談かいだんし、公明党こうめいとうの要請ようせいを踏ふまえ、現金げんきん10万まん円えんの給付きゅうふを実現じつげんするため、補正ほせい予算よさん案あんを組み替くみかえる方針ほうしんを伝つたえ、与党よとう内ないの調整ちょうせいを進すすめるよう指示しじしました。

そして、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは16日にち午後ごご、山口やまぐち代表だいひょうと改あらためて電話でんわで会談かいだんし、補正ほせい予算よさん案あんを組み替くみかえ、所得しょとく制限せいげんを設もうけず現金げんきん10万まん円えんの一律いちりつ給付きゅうふを実現じつげんする考かんがえを伝つたえました。

今年度こんねんどの補正ほせい予算よさん案あん

政府せいふは、事業じぎょう規模きぼが108兆ちょう円えんにのぼる緊急きんきゅう経済けいざい対策たいさくを実行じっこうするため今月こんげつ７なな日にちに今年度こんねんどの補正ほせい予算よさん案あんを決定けっていしました。

追加ついかの歳出さいしゅつは、一般いっぱん会計かいけいの総額そうがくで16兆ちょう8057億おく円えんに上のぼり、収入しゅうにゅうが減少げんしょうした世帯せたいへの30万まん円えんの給付きゅうふや中小ちゅうしょう企業きぎょうなどへの現金げんきんの給付きゅうふ、感染かんせん拡大かくだいが収束しゅうそくしたあとを見据みすえた消費しょうひ喚起かんきに向むけた対策たいさくなどが盛り込もりこまれています。

このうち、世帯せたい向むけの現金げんきん給付きゅうふは、およそ1300万まん世帯せたいが対象たいしょうになると想定そうていされ、４よん兆ちょう206億おく円えんを計上けいじょうしていました。

必要ひつような財源ざいげんは全額ぜんがく、国債こくさいの追加ついか発行はっこうで賄まかなうとしていて、赤字あかじ国債こくさいを14兆ちょう4767億おく円えん、建設けんせつ国債こくさいを２に兆ちょう3290億おく円えん発行はっこうするとしていました。

予算よさん案あん組み替くみかえは極きわめて異例いれい

政府せいふが、閣議かくぎ決定けっていした予算よさん案あんの内容ないようを国会こっかいに提出ていしゅつする前まえに組み替くみかえれば、極きわめて異例いれいの対応たいおうとなります。

今回こんかいの補正ほせい予算よさん案あんでは、収入しゅうにゅうが減少げんしょうした世帯せたい向むけに30万まん円えんの現金げんきん給付きゅうふを行おこなうため４よん兆ちょう206億おく円えんを計上けいじょうしています。

仮かりに、これを取とりやめて、所得しょとく制限せいげんを設もうけずに国民こくみん１いち人にん当あたり10万まん円えんを給付きゅうふすることになれば単純たんじゅん計算けいさんで12兆ちょう円えん余あまりが必要ひつようとなります。

この場合ばあい、差額さがくの８はち兆ちょう円えん程度ていどの財源ざいげんは赤字あかじ国債こくさいを追加ついかで発行はっこうするなどして捻出ねんしゅつしなければなりません。

一方いっぽう、昨年度さくねんどの当初とうしょ予算よさん案あんでは、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの不適切ふてきせつな調査ちょうさで雇用こよう保険ほけんなどが本来ほんらいより少すくなく支給しきゅうされていた問題もんだいを受うけて、一般いっぱん会計かいけいに６ろく億おく5000万まん円えんを追加ついかで計上けいじょうし、閣議かくぎ決定けっていをやり直やりなおしていて、政府せいふは、この際さいにも異例いれいの措置そちだとしていました。

財務省ざいむしょうによりますと、今回こんかいのような規模きぼで予算よさん案あんの見直みなおしを行おこなうのは過去かこにほぼ例れいがないとしています。

専門せんもん家かは…

三菱みつびしＵＦＪリサーチ＆コンサルティングの小林こばやし真一郎しんいちろう主席しゅせき研究けんきゅう員いんは、現金げんきん10万まん円えんの一律いちりつ給付きゅうふについて「本当ほんとうに生活せいかつに困こまっている人ひとに迅速じんそくに確実かくじつに給付きゅうふするためには有効ゆうこうな手段しゅだんだと考かんがえる。ただ、所得しょとくが高たかい人ひとなどにも給付きゅうふされるとなると公平こうへい性せいの問題もんだいもあるので、高こう所得しょとく者しゃからはあとで回収かいしゅうするという形かたちで公平こうへい性せいを確保かくほするというやり方やりかたもあると思おもう」と述のべました。

一方いっぽうで小林こばやしさんは「国民こくみんに不安ふあんが広ひろがる中なかで政策せいさく対応たいおうにスピード感かんが必要ひつような時ときに、補正ほせい予算よさん案あんの組み替くみかえでよけいな時間じかんがかかるという政治せいじのドタバタは国民こくみんの不安ふあん感かんを高たかめてしまい、望のぞましくなかったのではないか」と話はなしました。

また、給付きゅうふのために巨額きょがくの財政ざいせい支出ししゅつが必要ひつようになることについて、小林こばやしさんは「まず、支出ししゅつ面めんで思い切おもいきった対策たいさくをとることは必要ひつようだ。ただ、景気けいきが回復かいふくした時ときには財政ざいせい赤字あかじ部分ぶぶんをどう補填ほてん（ほてん）していくのか取り戻とりもどしていくのかはいずれ求もとめられると思おもう」と話はなしていました。

ニッセイ基礎研究所にっせいきそけんきゅうしょの矢嶋やじま康次やすじチーフエコノミストは「最さい優先ゆうせんはスピードであり、１いち世帯せたい当あたり30万まん円えんをやめて、１いち人にん当あたり10万まん円えんに変更へんこうしたことで給付きゅうふの時期じきが遅おくれては意味いみがない。所得しょとく制限せいげんや年齢ねんれい制限せいげんを入いれず、シンプルな制度せいどにすれば給付きゅうふのタイミングを前倒まえだおしできると思おもう」としています。

そのうえで矢嶋やじまさんは、給付きゅうふのために巨額きょがくの財政ざいせい支出ししゅつが必要ひつようになることについて「これ以上いじょう、感染かんせん拡大かくだいが続つづくと医療いりょうは崩壊ほうかいし、経済けいざいも立たちゆかなる。そうなれば財政ざいせい赤字あかじはさらに巨額きょがくになってしまうので、いま支出ししゅつを拡大かくだいしても、何なにとしても感染かんせん拡大かくだいを止とめ、生活せいかつや事業じぎょうを継続けいぞくしてもらえる策さくを打うつことが中ちゅう長期ちょうき的てきに見みれば財政ざいせい赤字あかじの拡大かくだいを防ふせぐ最もっともよい方策ほうさくだと思おもう」としています。