新型しんがたコロナの感染かんせん者しゃ数すう 実際じっさいは数すう十じゅう倍ばいか 米べいの大学だいがくなど調査ちょうさ

それによりますと、ロサンゼルス郡ぐんの住民じゅうみんのおよそ2.8％から5.6％、22万まん人にんから44万まん人にんがすでに新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんし、抗体こうたいを持もっているとみられるという結果けっかが出でたということです。

ロサンゼルス郡ぐんでは、医療いりょう機関きかんで患者かんじゃなどに行いってきたＰＣＲ検査けんさの結果けっか、感染かんせん者しゃはおよそ8000人にんとされていますが、研究けんきゅうチームは、これまで確認かくにんされてきた数かずの28倍ばいから55倍ばいの住民じゅうみんがすでに感染かんせんした可能かのう性せいがあるとしています。

研究けんきゅうチームの代表だいひょうは、今回こんかいは最初さいしょの分析ぶんせき結果けっかであり、調査ちょうさを進すすめる必要ひつようがあるとしたうえで、抗体こうたいのある人ひとが数すう％にとどまっていることから「感染かんせん拡大かくだいはまだ初期しょきだということが分わかった」としています。

また、実際じっさいの感染かんせん者しゃは公表こうひょうされている数かずよりも大幅おおはばに多おおいとみられることから「新型しんがたコロナウイルスによる致死ちし率りつは、確認かくにんされている感染かんせん者しゃで計算けいさんする数値すうちよりもさらに低ひくい可能かのう性せいがある」と指摘してきしています。

一方いっぽう、ロサンゼルス郡ぐんの保健ほけん当局とうきょくの責任せきにん者しゃは「抗体こうたいがあるからといって再ふたたび感染かんせんしないかどうかはまだ分わかっていない」と述のべたうえで、人ひとと人ひとが一定いっていの距離きょりを置おく「ソーシャル・ディスタンシング」を続つづけることが重要じゅうようだと強調きょうちょうしています。

この調査ちょうさは、数すうか月かげつにわたり定期ていき的てきに行おこなわれるということで、今後こんご、感染かんせん者しゃの推計すいけいがどのように推移すいいするか注目ちゅうもくされます。

アメリカでの抗体こうたい検査けんさ

さまざまな目的もくてきで実施じっしされる新型しんがたコロナウイルスの検査けんさのうち、アメリカでいま、最もっとも注目ちゅうもくを集あつめているのが、感染かんせんが社会しゃかい全体ぜんたいにどれくらい広ひろがっているのかを調しらべる抗体こうたい検査けんさです。

アメリカＣＤＣし-でぃ-し-＝疾病しっぺい対策たいさくセンターの発表はっぴょうでは、新型しんがたコロナウイルスは感染かんせんしても４よん人にんに１いち人にんは症状しょうじょうが出でないほか、現在げんざい、外出がいしゅつ制限せいげんが多おおくの州しゅうで実施じっしされている影響えいきょうで、実際じっさいには感染かんせんしていても、症状しょうじょうが軽かるい人ひとは検査けんさを受うけないまま自宅じたくにとどまっていることなどから、実際じっさいの感染かんせん者しゃ数すうを把握はあくすることは難むずかしいとされています。

こうした中なか、アメリカでは抗体こうたい検査けんさによって実際じっさいの感染かんせん者しゃ数すうを推計すいけいしようという試こころみが各地かくちで始はじまっていて、ＮＩＨえぬあいえいち＝国立こくりつ衛生えいせい研究所けんきゅうじょが１いち万まん人にんを対象たいしょうに検査けんさする計画けいかくを進すすめているほか、カリフォルニア州しゅうロサンゼルス郡ぐんでは今月こんげつ10日にちから、ニューヨーク州しゅうでは20日にちから検査けんさが開始かいしされました。

検査けんさの結果けっかは、外出がいしゅつ制限せいげんの緩和かんわや経済けいざい活動かつどうの再開さいかいに向むけた判断はんだん材料ざいりょうの一ひとつになると期待きたいされ、一部いちぶの政治せいじ家かなどからは、抗体こうたいがある人ひとに「証明しょうめい書しょ」を発行はっこうして職場しょくばに復帰ふっきさせてはどうかという意見いけんも出でています。

しかし、公衆こうしゅう衛生えいせいに詳くわしいジョンズ・ホプキンス大学だいがくのケイトリン・リバース准じゅん教授きょうじゅはアメリカメディアの取材しゅざいに対にたいし「抗体こうたい検査けんさが政策せいさく判断はんだんに使つかわれたことはなく、倫理りんり的てきに疑問ぎもんが残のこる」とコメントしています。

また抗体こうたい検査けんさは、医療いりょう従事じゅうじ者しゃのほか、公共こうきょう交通こうつう機関きかんやインフラなど社会しゃかい機能きのうの維持いじに必要ひつような職場しょくばで働はたらく人ひとたちがすでに感染かんせんしたか調しらべたり、ＰＣＲ検査けんさの代かわりとして患者かんじゃの診断しんだんに用もちいられたりすることもありますが、専門せんもん家かからは慎重しんちょうな意見いけんが出でています。

検査けんさ機関きかんで作つくる団体だんたいは、アメリカメディアのインタビューに対にたいし「多おおくの市販しはんの抗体こうたい検査けんさのキットには正確せいかく性せいに疑問ぎもんがある」と述のべ、性能せいのうが検証けんしょうされるまで待まつべきだとしているほか、ハーバード大学だいがくの研究けんきゅう者しゃも「新型しんがたコロナウイルスの抗体こうたいについてはわかっていないことが多おおく、抗体こうたいが検出けんしゅつされたからといって、それだけで安全あんぜんに職場しょくば復帰ふっきできるということにはならない」と警鐘けいしょうを鳴ならしています。

抗体こうたい検査けんさの課題かだい

ウイルスの検査けんさにはさまざまな種類しゅるいがあり、このうち、現在げんざい、日本にっぽんでも広ひろく行おこなわれているのがＰＣＲ検査けんさです。

ＰＣＲ検査けんさはウイルスの遺伝子いでんしが体からだにあるか調しらべるもので、うまく検出けんしゅつできないことはありますが、ほかの病気びょうきと間違まちがえることは基本きほん的てきになく、信頼しんらい性せいが高たかいことから診断しんだんの確定かくていに使つかわれます。

一般いっぱんに、結果けっかが出でるまで最短さいたんでも４よん時間じかん、長ながい場合ばあいは数すう日にちかかるとされています。検査けんさにはこのほか抗体こうたい検査けんさというものもあります。

通常つうじょう、ウイルスに感染かんせんすると、ヒトの体からだの中なかではウイルスを排除はいじょするために抗体こうたいと呼よばれるたんぱく質たんぱくしつが作つくられます。抗体こうたい検査けんさは、血液けつえきの中なかにこの抗体こうたいがあるか調しらべるもので、一般いっぱんにＰＣＲ検査けんさに比くらべて、短時間たんじかんで結果けっかが出でるものの正確せいかくさは劣おとるとされています。

抗体こうたいには、いわばウイルスの「足跡あしあと」のように、過去かこに感染かんせんしたことがあるか調しらべることができるものもあるため、この検査けんさを大だい規模きぼに実施じっしして分析ぶんせきすることで、症状しょうじょうの有無うむにかかわらず人口じんこうのどれくらいがすでに感染かんせんしたのかを推定すいていすることができます。

一方いっぽう、はしかや風疹ふうしんなどでは十分じゅうぶんな抗体こうたいが体からだにあれば再ふたたび感染かんせんすることはありませんが、インフルエンザのように一度いちど抗体こうたいができても持続じぞくする期間きかんが短みじかかったり、ウイルスが変異へんいしたりして、再ふたたび感染かんせんする病気びょうきもあります。

新型しんがたコロナウイルスは、発見はっけんからおよそ３さんか月かげつしかたっていないため、抗体こうたいができるまでの期間きかんや抗体こうたいの種類しゅるいや量りょう、持続じぞくする期間きかん、それに人口じんこうの何なん％くらいが抗体こうたいを持もっていれば感染かんせんが拡大かくだいしにくくなるのかは分わかっていません。

また現在げんざい開発かいはつされている抗体こうたい検査けんさのキットには、結果けっかの正確せいかく性せいが検証けんしょうされていないものも多おおく、専門せんもん家かからは分析ぶんせきに必要ひつような信頼しんらい性せいが不足ふそくしているという指摘してきが出でています。