日本新闻: 宣言延長「先見えず気持ち折れた」老舗洋食店閉店へ東京

宣言せんげん延長えんちょう「先さき見みえず気持きもち折おれた」老舗しにせ洋食ようしょく店てん閉店へいてんへ東京とうきょう

May 5, 2020 00:05

Furigana

緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんの延長えんちょう決定けっていを受うけて、東京とうきょう都内とないで40年ねん以上いじょう続つづいてきた老舗しにせの洋食ようしょく店てんが閉店へいてんすることになりました。店みせの経営けいえい者しゃは「休業きゅうぎょうで先さきが見みえない中なか、店みせを続つづけていく気持きもちが折おれてしまった」と苦渋くじゅうの胸むねの内うちを明あかしました。東京とうきょう調布ちょうふ市しで老舗しにせの洋食ようしょく店てんを経営けいえいしている豊嶋とよしま正ただしさん（69）は３月さんがつ下旬げじゅんから店みせの休業きゅうぎょうを続つづけています。

この店みせは、コンサートホールが入はいる市しの文化ぶんか会館かいかんの中なかにあります。開業かいぎょうは45年ねん余あまり前まえの1974年ねん。店みせが今いまの場所ばしょに移うつってからは、その日ひのクラシックコンサートの曲目きょくもくに合あわせた、作曲さっきょく家かゆかりの料理りょうりが人気にんきを集あつめてきたと言いいます。

しかし、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいを受うけてコンサートや映画えいが会かいなどの催もよおしが次々つぎつぎと中止ちゅうしになり、来月らいげつまでの宴会えんかいなどの予約よやく450人にん分ぶんがすべてキャンセルになりました。３月さんがつから今月こんげつまでの月つき60万まん円えんの家賃やちんや光熱こうねつ費ひは市しから減免げんめん措置そちを受うけられる見通みとおしですが、数すう百ひゃく万まん円えん前後ぜんごあった毎月まいつきの売り上うりあげがゼロとなり、従業じゅうぎょう員いん２に人にんへの給与きゅうよの支払しはらいが厳きびしくなっています。

政府せいふが緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんを延長えんちょうする方針ほうしんで調整ちょうせいを進すすめていた今月こんげつ１いち日にち。豊嶋とよしまさんは店みせの帳簿ちょうぼを見みつめながら「ことしは２月にがつ後半こうはんから予約よやくがすべて無なくなり、経営けいえいに響ひびいている。東京とうきょうオリンピック・パラリンピックにも期待きたいしていたのに、まさかこんなことになるとは思おもわなかった」と話はなしていました。

そのうえで「食材しょくざいも全部ぜんぶだめになり、仕込しこみもすべてストップしているため、来月らいげつや再来月さらいげつに再さいオープンさせるとなると、準備じゅんびに２に～３さん週間しゅうかんはかかり、経営けいえいを続つづけていくには少すこし元気げんきがなくなってきている」と話はなしていました。

ただ、この日ひおよそ３さん週間しゅうかんぶりに店みせのちゅう房ちゅうぼうに立たった豊嶋とよしまさん。一緒いっしょに働はたらいてきた息子むすこや従業じゅうぎょう員いんに対にたいし、得意とくい料理りょうりの「真鯛まだいのポワレ」をふるまいました。

フランスや銀座ぎんざの有名ゆうめい洋食ようしょく店てんで磨みがいた熟練じゅくれんの技わざを、このちゅう房ちゅうぼうで改あらためて若わかい世代せだいに伝つたえたいと考かんがえたからだと言いいます。

そして4日にち夕方ゆうがた、豊嶋とよしまさんは店みせで、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんの延長えんちょうを決きめた安倍あべ総理そうり大臣だいじんの記者きしゃ会見かいけんの様子ようすをじっと見みつめていました。

そして「50年ねん近ちかく、毎日まいにち、調理ちょうり場じょうで料理りょうりを作つくっていたが、ここ２にか月かげつ半はんぐらいは料理りょうりを作つくらない生活せいかつが続つづいていて、モチベーションが全然ぜんぜん上あがらず、心こころが折おれてしまっている。店みせを閉しめようと思おもっている。コロナでなぜこんなに苦労くろうしなければいけないのかという悔くやしさとつらさがある」と話はなしていました。