岐路きろに立たつコンビニ 大手おおて３さん社しゃが相次あいつぎ経営けいえい戦略せんりゃく見直みなおし

また、新規しんきに出店しゅってんする基準きじゅんを厳きびしくするほか、利用りよう客きゃくが自分じぶんで会計かいけいする「セルフレジ」を年内ねんないに国内こくないのすべての店舗てんぽに導入どうにゅうするなどとしています。

永松ながまつ文彦ふみひこ社長しゃちょうは、記者きしゃ会見かいけんで「営業えいぎょう短縮たんしゅくの実験じっけん結果けっかを検証けんしょうし、加盟かめい店てんのオーナーと24時間じかん営業えいぎょうを継続けいぞくするかどうかの判断はんだんをしていく。最終さいしゅう判断はんだんはオーナー側がわに委ゆだねる」と述のべました。

一方いっぽう、ファミリーマートは、６月ろくがつから一部いちぶ店舗てんぽで深夜しんや営業えいぎょうの短縮たんしゅく実験じっけんを始はじめることや、セルフレジの導入どうにゅうなど加盟かめい店てんの負担ふたん軽減けいげんに向むけた約やく250億おく円えんの設備せつび投資とうしを行おこなうことなどを盛り込もりこみました。

澤田さわだ貴司たかし社長しゃちょうは、記者きしゃ会見かいけんで「今後こんご、大量たいりょう出店しゅってんをするつもりは毛頭もうとうない。健全けんぜんな出店しゅってんと新あたらしいマーケットへの出店しゅってんを求もとめていきたい」と述のべ、新規しんき出店しゅってんを抑制よくせいする考かんがえを示しめしました。

ローソンは、７月しちがつから深夜しんやの時間じかん帯たいに従業じゅうぎょう員いんがいなくなる「無人むじん店舗てんぽ」の実験じっけんを行おこなうほか、９月くがつ末まつまでに国内こくないの全店ぜんてんにセルフレジを導入どうにゅうするとしています。また、今年度こんねんどについては、店舗てんぽの増加ぞうか数すうをゼロに抑おさえる予定よていです。

コンビニの24時間じかん営業えいぎょうをめぐっては、深刻しんこくな人手ひとで不足ふそくを背景はいけいに加盟かめい店てんのオーナーの不満ふまんが高たかまっているとして、世よ耕こう経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじんが今月こんげつ、各社かくしゃに対にたいして「行動こうどう計画けいかく」にまとめるよう要請ようせいしていました。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうは今後こんご、各社かくしゃの行動こうどう計画けいかくが確実かくじつに実施じっしされているかどうか、点検てんけんすることにしています。

コンビニの現状げんじょうは

大手おおてコンビニは24時間じかん営業えいぎょうを原則げんそくとして、一定いっていの地域ちいきに集中しゅうちゅう的てきに出店しゅってんする戦略せんりゃくで店舗てんぽ数すうを増ふやし、チェーン全体ぜんたいとして収益しゅうえきを拡大かくだいさせてきました。

しかし、コンビニの店舗てんぽ数すうが全国ぜんこくで５ご万まん5000を超こえて客きゃくの奪い合うばいあいが激はげしくなり、経済けいざい産業さんぎょう省しょうのアンケート調査ちょうさでは、ここ数すう年ねんで売り上うりあげが減少げんしょうしたと答こたえた加盟かめい店てんが半数はんすうに上のぼっています。

さらに、人手ひとで不足ふそくにより従業じゅうぎょう員いんの確保かくほが難むずかしくなってきたほか、時給じきゅうの引き上ひきあげで人件じんけん費ひの負担ふたんも重おもくなり、加盟かめい店てんの経営けいえいを圧迫あっぱくするようになっています。

こうした中なか、深夜しんやの営業えいぎょうを続つづけることが難むずかしいなどとして、一部いちぶの加盟かめい店てんオーナーから24時間じかん営業えいぎょうの見直みなおしを求もとめる声こえが上あがっていました。

大手おおて以外いがいでも見直みなおし

広島ひろしま市しに本社ほんしゃがある「ポプラ」は、閉店へいてん前まえの弁当べんとうの値引ねびき販売はんばいを推奨すいしょうするなど、加盟かめい店てんの収支しゅうしの安定あんてい化かを目指めざす施策しさくを盛り込もりこんだ「行動こうどう計画けいかく」を発表はっぴょうしました。

それによりますと、人手ひとで不足ふそくへの対応たいおうとして、客きゃくが自分じぶんで会計かいけいできる「セミセルフレジ」を８月はちがつ末まつまでにすべての店舗てんぽに導入どうにゅうするとしています。

また、加盟かめい店てんの収益しゅうえきの安定あんていに向むけて売れ残うれのこりを減へらすため、閉店へいてん前まえの弁当べんとうの値引ねびき販売はんばいを推奨すいしょうするほか、製造せいぞう工程こうていを工夫くふうすることで弁当べんとうの消費しょうひ期限きげんをこれまでより３さん時間じかん延長えんちょうし廃棄はいきを抑制よくせいするとしています。

一方いっぽう、24時間じかん営業えいぎょうについては、５ご年ねんほど前まえから深夜しんやの集客しゅうきゃくが見込みこめない店舗てんぽで営業えいぎょう時間じかんの変更へんこうを積極せっきょく的てきに進すすめていて、24時間じかん営業えいぎょうを行おこなうのは全ぜん店舗てんぽの18％にまで減少げんしょうしています。

ポプラは「店舗てんぽごとに変化へんかに合あわせた見直みなおしを実施じっしし、加盟かめい店てんと本部ほんぶにとって最良さいりょうの運営うんえい環境かんきょうの構築こうちくを進すすめていく」とコメントしていて、営業えいぎょう時間じかんの変更へんこうなどに今後こんごも柔軟じゅうなんに対応たいおうしていくとしています。

専門せんもん家かは

コンビニ業界ぎょうかいに詳くわしい東レとうれ経営けいえい研究所けんきゅうじょの永井ながい知美ともみチーフアナリストは、各社かくしゃの行動こうどう計画けいかくについて、「新規しんき出店しゅってんの厳格げんかく化かがはっきり書かかれていて驚おどろいた。このままどんどん出店しゅってんしていくと、コンビニの業界ぎょうかい自体じたいが続つづかなくなる、廃業はいぎょうし次じの後継こうけい者しゃが現あらわれなくなるような追い込おいこまれた状況じょうきょうにあるので、ビジネスモデルの転換てんかんに踏み切ふみきったのだと思おもう」と指摘してきしました。

そのうえで「コンビニは、人手ひとで不足ふそくで大おおきくビジネスモデルを変かえる最初さいしょの業界ぎょうかいになるかもしれない。大手おおて３さん社しゃで９きゅう割わりのシェアを持もっているので、モデルを変かえられないことはないと思おもう」と話はなしています。

ネット上じょうの意見いけんは…

ツイッター上じょうには、コンビニエンスストアの人手ひとで不足ふそくをはじめ、厳きびしい営業えいぎょうの実態じったいを指摘してきするさまざまな声こえが上あがっています。

このうち、店みせのオーナーからは、１いち人にんでの勤務きんむ、いわゆる「ワンオペ」について、「16時間じかんのワンオペ最中さいちゅう。ギリギリの人員じんいんでの運営うんえいなので、急きゅうな欠勤けっきんがあるとこうなる」「久ひさしぶりに朝方あさがた眠ねむいなと思おもったら、本日ほんじつの勤務きんむは21時間じかん超ちょうだった」といった声こえのほか、「人手ひとで不足ふそくの解消かいしょうには、今いまのところ賃金ちんぎんを上あげ時短じたん営業えいぎょうするしか対処たいしょ法ほうはない」などと問題もんだいの解決かいけつを求もとめる切実せつじつな声こえも出でています。

さらに、アルバイトの従業じゅうぎょう員いんからも「基本きほんワンオペでバンバンやめていくから、残のこりのメンバーのシフトが増ふえる」「コンビニのワンオペを法律ほうりつで禁止きんししてほしい。休憩きゅうけいなしで７なな時間じかん勤務きんむはつらい」といった厳きびしい労働ろうどう環境かんきょうを訴うったえる声こえが上あがっています。

一方いっぽう、コンビニの営業えいぎょう時間じかんを見直みなおす動うごきが出でていることについて、利用りよう者しゃからは「24時間じかん営業えいぎょうでなくても何なにも困こまらないと思おもう」という声こえがある一方いっぽうで、「昼夜ちゅうや逆転ぎゃくてん生活せいかつをしている身みとしては結構けっこう困こまる」と24時間じかん営業えいぎょうの維持いじを望のぞむ声こえもあるほか、「24時間じかん営業えいぎょうしていることで地域ちいきの防災ぼうさい・防犯ぼうはんに貢献こうけんしている」と指摘してきする声こえも見みられます。

このほか、特定とくていの地域ちいきに店舗てんぽを集中しゅうちゅうさせる出店しゅってん戦略せんりゃくを問題もんだい視しする声こえも多おおく、「個々ここのコンビニオーナーは共食ともぐいで売り上うりあげ減へるから地獄じごくでしかない」とか「24時間じかん人手ひとで不足ふそく問題もんだいだけでなく、集中しゅうちゅう出店しゅってんをやめないと根本こんぽん的てき解決かいけつにつながらない」といった声こえも上あがっています。