事件を起こした岩崎隆一容疑者(51)は両手に持った柳刃包丁で小学生たちを襲ったあと自殺しましたが、その一部始終がスクールバスのドライブレコーダーに記録されていたことが捜査関係者への取材でわかりました。容疑者は被害者を直視していない様子で、走りながら包丁を振り回し手当たりしだいに切りつけたということです。
被害者の多くは逃げる間もなく刺されたとみられ、栗林さんの死因は首を刺されたことによる失血死だったほか、小山さんは背中を深く刺されたのが致命傷だったということです。
警察は、初めから大勢に危害を加える目的だったとみて殺人の疑いでさらに調べています。
警察によりますと、29日行われた岩崎隆一容疑者(51)の自宅の捜索では、容疑者の部屋から包丁が入っていたと見られる空き箱4つのほか、ノートなど合わせて数十点の関係資料が押収されました。
このうち、空き箱はその大きさなどから事件の現場で見つかった包丁4本のものと見られますが、購入場所や時期については捜査中だとしています。
また、ノートには事件の背景や動機などをうかがわせるような書き込みはなかったということです。
一方、捜索ではパソコンやスマートフォンなどは見当たらなかったということです。
亡くなった栗林さんの両親がコメント
この事件で亡くなった栗林華子さん(11)の父親の武史さんと母親の有紀さんが29日代理人の弁護士を通じて「事件に関し、多くの皆様が亡くなった娘と遺族の悲しみに寄り添ってくださっていることに感謝します」というコメントを出しました。
また「事件現場に手向けられた数多くの献花、お菓子等を拝見し、娘がどれだけ多くの皆様に愛され、どれほど皆様の思いやりに温かく包まれて、大切な時間を過ごしてきたのかという事実に、改めて思いを致している次第です」としています。
そのうえで「人生で最も大切な最愛の娘を突然奪われ、今は全く気持ちの整理がつかない状態です。ただただ、失ったもののあまりの大きさと深い悲しみに打ちひしがれております」と娘を失った悲しみをつづっています。
栗林さん 明るい子だった
事件で亡くなった栗林華子さん(11)は、3歳から多摩市内の音楽教室でチェロを習っていました。
指導していた佐藤明さんによりますと、栗林さんは毎週水曜日に教室に通い、同じとしごろの子どもたちと一緒に練習に励んでいて、チェロを弾く前に「小ばなし」を披露して周りを笑わせるユーモアもあったということです。
佐藤さんは、「華子ちゃんは明るい性格で、学校や家での出来事などを笑顔で何でも話してくれました。明るい子だったのでチェロの音色も明るく、元気のいい音を聞かせてもらっていました」と話していました。
佐藤さんは29日夜、栗林さんの自宅に弔問に訪れたということで、「握った手はまだ柔らかく、眠っているようでした。事件については、今はさみしさよりも怒りや悔しさを感じています。毎週会えることを楽しみにしていて、また元気で会えると思っていたので、悔しい気持ちでいっぱいです」と沈痛な面持ちで話していました。