中国の
北京で
民主化を
求める学生らの
運動が
武力で
鎮圧され、
大勢の
死傷者が
出た
天安門事件から
4日で30
年になります。
天安門広場や
その周辺では
多くの
警察官が
配置され、
犠牲者を
追悼する
動きなどを
警戒しています。
天安門事件は30
年前の1989
年6月4日、
民主化を
求めて
北京の
天安門広場や
その周辺に
集まっていた
学生や
市民に対し、
軍が
発砲する
などして
鎮圧し、
大勢の
死傷者が
出たものです。
事件から30年たった4日、天安門広場は大勢の観光客でにぎわっている一方、広場やその周辺には多くの警察官が配置され、犠牲者を追悼する動きや抗議活動を警戒しています。
中国国内では天安門事件に関する情報が規制されていて、4日朝もNHKが海外向けテレビ放送で伝えた際、映像と音声が遮断され、8分間にわたって画面が真っ黒になりました。
天安門事件をめぐっては、中国政府は319人が死亡したと発表しましたが、犠牲者の数ははるかに多いという指摘もあり、遺族は事件の真相究明や責任の追及を求め続けています。
これに対して中国政府は、事件は一部の学生や市民による暴乱で軍の鎮圧は正しかったとする立場を変えていません。
中国では習近平指導部のもとインターネットの規制や言論統制が強化され、民主化を求める声や政府への批判は徹底して抑え込まれていて、共産党の一党支配の体制を正当化し、強化していく姿勢が鮮明となっています。
天安門事件のNHKニュース遮断
中国本土では日本時間の4日午前7時すぎ、NHKが海外向けテレビ放送「ワールドプレミアム」で、天安門事件に関するニュースを伝えた際、映像と音声が遮断され、およそ8分間にわたって画面が真っ黒になりました。
中国では国内で放送される外国のテレビ局の放送内容も当局に監視されていて、中国政府や共産党にとって都合の悪い内容のニュースや番組は放送がたびたび遮断されます。
今回の放送遮断からは、中国当局が依然として天安門事件に関する外国メディアの報道に神経をとがらせていることがうかがえます。
中国メディア 政府支持の社説
中国共産党系の新聞「環球時報」は4日付けの社説で30年前を振り返り「国家の命運を脅かす巨大なリスクから脱し、ソビエトや東欧諸国が歩んだ分裂と激変の道に別れを告げたことは幸いだった」として、天安門事件への中国政府の対応は正当だったと伝えています。
そして「中国は政治的な安定を保ち、世界を驚かせる発展を実現した。新たな挑戦を受けても中国社会は強く団結しており、自信に満ちあふれている」と強調しています。
一方、環球時報は3日付けの英語版の社説でも「天安門事件は中国社会へのワクチンとして将来、どんな政治的な騒乱にも対応できる免疫力を大幅に増大させている」として、再び体制を揺るがしかねない事態は起こらないと指摘しています。
そして、中国で天安門事件がほとんど伝えられないことなどについては、論争を避けて国民が未来へ向かうことに役立つとしたうえで「ニュースの管理の在り方として非難する人もいるが、われわれは政治的に成功していると認識している」と強調しました。
中国メディアが、天安門事件に関連して社説などで伝えることは珍しく、海外からの批判的な意見に反論するねらいがあるとみられます。
台湾 蔡英文総統「事件に対する反省を」
台湾の蔡英文総統は、天安門事件から30年を迎えたことについて、訪問先の南部・高雄で記者団の取材に応じ、「天安門事件は台湾にある民主主義と自由が非常に貴重なものだと気付かせてくれている。強国となる中国は、異なる意見が受け入れられる多元的な社会が実現するよう力を注ぐべきだ」と言論統制を敷く中国当局の姿勢を批判しました。
そのうえで「北京当局が、事件に対する反省と進歩的な態度を示せるようになることを希望している」と述べて、事件と向き合い、民主化に向けて歩むよう促しました。