“避難ひなん所しょが満員まんいんに” 東京とうきょう23区くなどの自治体じちたい３さん分ぶんの１いちで

その結果けっか、避難ひなん所しょに避難ひなんした人ひとの数かずは合あわせて17万まん6500人にん余あまりに上のぼったことがわかり、専門せんもん家かなどによりますと、都内とないの避難ひなん者しゃの数かずとしては、この数すう十じゅう年ねんで最もっとも多おおかったとみられます。

こうした中なか、35％にあたる13の自治体じちたいでは、避難ひなん所しょが満員まんいんになったり駐車ちゅうしゃ場じょうが満車まんしゃになったりして住民じゅうみんが入はいりきらない状況じょうきょうとなり、別べつの避難ひなん所しょに移動いどうさせる対応たいおうを取とっていたことがわかりました。

こうした対応たいおうを取とったのは、世田谷せたがや区くと大田おおた区く、葛飾かつしか区く、八王子はちおうじ市し、府中ふちゅう市し、調布ちょうふ市し、狛江こまえ市し、青梅おうめ市し、羽村はむら市し、昭島あきしま市し、多摩たま市し、稲城いなぎ市し、それに福生ふっさ市しです。

このほかにも、追加ついかで避難ひなん所しょを開設かいせつしたり、避難ひなん所しょのスペースを急きゅうきょ拡大かくだいしたりした自治体じちたいも多おおく、多おおくの住民じゅうみんが避難ひなんしたことが結果けっか的てきに混乱こんらんにつながっていました。

住民じゅうみんの避難ひなんに詳くわしい静岡しずおか大学だいがくの牛山うしやま素行そこう教授きょうじゅは、「人口じんこうの多おおい大だい都市としでは、避難ひなん所しょで住民じゅうみん全員ぜんいんを受け入うけいれるのが現実げんじつ的てきに難むずかしいことが浮き彫うきぼりになった。自治体じちたいなどは本当ほんとうに避難ひなんが必要ひつような人ひとは誰だれかを事前じぜんに考かんがえておく『避難ひなんトリアージ』を実施じっしして一いち人にん一いち人にんの避難ひなんのしかたを丁寧ていねいに考かんがえていく必要ひつようがある」と指摘してきしています。

専門せんもん家か「避難ひなんトリアージも」

都内とないで17万まん人にんを超こえる人ひとが避難ひなん所しょに避難ひなんしたことについて、防災ぼうさいが専門せんもんの静岡しずおか大学だいがくの牛山うしやま素行そこう教授きょうじゅは、「近年きんねんの災害さいがいと比くらべても避難ひなん者しゃの数かずは相当そうとう多おおく、多おおくの人ひとが積極せっきょく的てきに避難ひなんしたことを現あらわしている」と指摘してきしました。

避難ひなん者しゃが多おおかったことについて台風たいふう15号ごうによる千葉ちば県けんなどの被害ひがいで災害さいがいへの関心かんしんが高たかまっていたことや、「計画けいかく運休うんきゅう」が実施じっしされたこと、休日きゅうじつだったために出勤しゅっきんや通学つうがくを気きにする必要ひつようがなかったことなど、複数ふくすうの要因よういんが重かさなったためではないかと分析ぶんせきしています。

避難ひなん所しょの移動いどうを迫せまられるケースが相次あいついだことについては、「人口じんこうの多おおい大だい都市としでは、避難ひなん所しょで住民じゅうみん全員ぜんいんを受け入うけいれるのが現実げんじつ的てきに難むずかしいことが浮き彫うきぼりになった。自治体じちたいなどは本当ほんとうに避難ひなんが必要ひつような人ひとは誰だれかを事前じぜんに考かんがえておく『避難ひなんトリアージ』を実施じっしして一いち人にん一いち人にんの避難ひなんのしかたを丁寧ていねいに考かんがえていく必要ひつようがある」と指摘してきしていました。

一方いっぽう、東京とうきょうの住民じゅうみんはどうすればいいのか。

牛山うしやま教授きょうじゅは「できるだけ自分じぶんで避難ひなん先さきを確保かくほしておくこと」が大切たいせつだとしています。

川かわが氾濫はんらんしても浸水しんすいしない親戚しんせきや友人ゆうじん・知人ちじんの家いえに避難ひなんできるようふだんから頼たのんでおくほか、マンションに住すんでいる場合ばあいは同おなじ建物たてものの上うえの階かいに避難ひなんできるよう、日頃ひごろから相談そうだんしておくことも有効ゆうこうだといいます。

さらに、周囲しゅういが浸水しんすいしても、水みずが引ひくまでの数すう日間にちかんは過すごせるように、水みずや食べ物たべもの、簡易かんいトイレなどの備蓄びちくをしておくことも重要じゅうようだということです。

府中ふちゅう 避難ひなん所しょ不足ふそく 16か所かしょで満員まんいん

多摩たま川がわの氾濫はんらんで市しのおよそ３さん分ぶんの１いちが浸水しんすいすると想定そうていされている東京とうきょう 府中ふちゅう市しは台風たいふう19号ごうで開設かいせつした37の避難ひなん所しょのうち16か所かしょが満員まんいんとなり避難ひなん所しょ不足ふそくが課題かだいとして浮き彫うきぼりになりました。

府中ふちゅう市しは台風たいふう19号ごうが接近せっきんした今月こんげつ12日にち、浸水しんすいが想定そうていされるエリアに住すむおよそ９きゅう万まん5000人にんに避難ひなん勧告かんこくを出だし、浸水しんすいが想定そうていされるエリアの外そとに18か所かしょの避難ひなん所しょを順次じゅんじ、開設かいせつしました。

ところが、予想よそう以上いじょうに多おおくの市民しみんが集あつまり、11か所かしょが満員まんいんとなって受け入うけいれができなくなったということです。

このため市しの施設しせつ13か所かしょを急きゅうきょ、避難ひなん所しょとしたほか、都立とりつの学校がっこうや、地元じもとの商工しょうこう会議かいぎ所しょ、それに府中ふちゅう刑務所けいむしょなど合あわせて37か所かしょに増ふやして市民しみんには公式こうしきのＳＮＳなどで案内あんないする対応たいおうをとりました。

市しによりますと12日にちから13日にちの朝あさにかけておよそ8280人にんが避難ひなんしましたが、37か所かしょのうち16か所かしょは満員まんいんとなって、避難ひなん所しょに入いれず、自宅じたくに戻もどった人ひともいたということです。

府中ふちゅう市しが災害さいがいで避難ひなん勧告かんこくを出だしたのも、避難ひなん所しょを開設かいせつしたのも初はじめてで、市しのおよそ３さん分ぶんの１いちが浸水しんすいすると想定そうていされる中なか、このエリアの外そとで現在げんざい、確保かくほしている分ぶんでは避難ひなん所しょが足たりないという事態じたいが浮き彫うきぼりになりました。

市しでは今後こんご、民間みんかんにもよびかけて市内しないで避難ひなん所しょの確保かくほを進すすめることにしています。

府中ふちゅう市し防災ぼうさい危機きき管理かんり課かの関根せきね滋しげる課長かちょうは「逃にげる場所ばしょが遠とおくなると厳きびしくなると思おもうのでまずは市内しないで民間みんかんにもお願おねがいして避難ひなん所しょを確保かくほしていきたい」と話はなしています。

府中ふちゅう刑務所けいむしょも避難ひなん所しょに

このうち府中ふちゅう刑務所けいむしょは今月こんげつ12日にち、府中ふちゅう市しが避難ひなん勧告かんこくを出だしたおよそ２に時間じかん後ごの午後ごご７なな時じ前まえ、市しから避難ひなん所しょとして施設しせつを開放かいほうするよう要請ようせいを受うけました。

府中ふちゅう刑務所けいむしょは体育館たいいくかんに畳たたみや毛布もうふを用意よういして１いち時間じかんほど後ごの午後ごご８はち時じに避難ひなん所しょを開設かいせつし、およそ20人にんが一いち晩ばん、避難ひなんしたということです。

市しと刑務所けいむしょは４よん年ねん前まえ、災害さいがい時じに刑務所けいむしょ内ないの施設しせつを開放かいほうする協定きょうていを結むすんでいて今回こんかい、初はじめて運用うんようされたということです。

法務省ほうむしょうによりますと、３さん年ねん前まえの熊本くまもと地震じしんの際さいに熊本くまもと刑務所けいむしょが実際じっさいに避難ひなん者しゃを受け入うけいれたほか、今回こんかいの台風たいふう19号ごうでは府中ふちゅう刑務所けいむしょや東京とうきょう拘置こうち所しょなど４よっつの矯正きょうせい施設しせつで避難ひなん者しゃを受け入うけいれたということです。

府中ふちゅう刑務所けいむしょの武田たけだ伸行のぶゆき庶務しょむ課長かちょうは「市しとの連携れんけいをさらに深ふかめ災害さいがい時じに刑務所けいむしょとしても適切てきせつな対応たいおうができるようにしていきたい」と話はなしていました。

避難ひなんした人ひとは

満員まんいんになった避難ひなん所しょで過すごした男性だんせいは「避難ひなん所しょの小学校しょうがっこうに午後ごご４よん時じごろに着つくともういっぱいでびっくりしました。『余裕よゆうがあれば入はいってもいいです』と市しの担当たんとう者しゃに言いわれ、通路つうろにようやく横よこになれるくらいのスペースを確保かくほして一いち晩ばん、過すごしました。あとから来きた人ひとは断ことわられていました。もっと避難ひなん所しょを増ふやしてほしいです」と話はなしていました。