スポーツクライミングの
東京オリンピックの
出場権をめぐり、
国際競技団体の
解釈が
当初と
変わり、
日本代表の
選考に
支障を
来すとして、
日本山岳・スポーツクライミング
協会が、
国際競技団体の
解釈の
取り消しを
求めてCAS=スポーツ
仲裁裁判所に
提訴する
手続きを
取りました。
訴えが
認められなければ、
多くの
選手にとって
代表選考レースの
途中でオリンピック
出場の
道が
絶たれる
可能性があり、
異例の
事態と
言えます。
スポーツクライミングの東京オリンピックの日本代表は、男女それぞれ最大「2」枠で、ことし8月の東京で行われた世界選手権で日本勢トップだった男子の楢崎智亜選手、女子の野口啓代選手が日本代表に内定しています。
2人目について日本協会は、世界選手権でオリンピック出場権を獲得し、日本勢で2番目だった男子の原田海選手と女子の野中生萌選手には内定を出さず、オリンピック出場権のかかるほかの大会での日本選手の結果を踏まえて決める、という選考基準を設けていました。
しかし日本協会によりますと、先月に入り、国際スポーツクライミング連盟がオリンピック出場権の解釈について、当初と変わり日本の代表選考基準と一致しない可能性のある見解を示したということです。
日本協会はこのままでは日本代表の選考に支障を来すとして、国際連盟の解釈の取り消しを求めて、1日、スイスのCASに提訴の手続きを取ったことを発表しました。
訴えが認められなければ、今後のオリンピック出場権のかかる大会を目指していた多くの選手にとって、代表選考レースが行われている途中でオリンピック出場の道が絶たれる可能性があり、異例の事態と言えます。
日本協会はCASに対し、今月下旬からフランスで行われるオリンピック予選が終了する来月1日までに判断を求めています。
協会「選手に申し訳ない」
日本山岳・スポーツクライミング協会の合田雄治郎常務理事は、「こういう事態にならないように解釈の確認を慎重に行ってきたが、選手から見ると、大人の事情で混乱させられ、出られるか出られないかわからない状況になった。選手には申し訳ない」と話していました。
日本代表の選考基準は
スポーツクライミングの東京オリンピックの国・地域ごとの出場枠は、男女それぞれ最大「2」。
国際スポーツクライミング連盟は、
▽ことし8月に東京 八王子で行われた世界選手権複合の7位以内の選手、
▽今月下旬からフランスで行われるオリンピック予選の6位以内の選手、
▽来年行われる大陸ごとの選手権の優勝者、
などにオリンピック出場権を与えるとする手順を去年10月に示し、これらに基づき、日本協会は、男女2人ずつとなる日本代表の選考基準を、ことし5月に発表しました。
まず、1人目は世界選手権で7位以内の日本勢トップの選手をオリンピックの代表に内定するとしました。
2人目は、世界選手権7位以内、オリンピック予選の6位以内、それに、アジア選手権優勝者の中から選ぶことにしていて、対象者が2人以上になった場合は、来年5月に開かれる予定の国内大会の複合ジャパンカップで、対象者の中でトップの選手を代表に内定するとしていました。
日本協会は、「来年にかけて急成長する選手が出てくる可能性があり、オリンピックの直前に調子のいい選手を選びたい」との理由から、2人目は、来年まで内定を持ち越すことにしていましたが、日本協会の選考基準は、成績に応じて選手個人に与えられる「出場権」と、日本としての「出場枠」の2つの考え方が混在した選考基準と言えます。
日本協会がことし5月に発表した際にも、一部のメディアから指摘が相次ぎましたが、日本協会は、国際連盟に問題がないことを何回も確認したうえで設定したと説明していました。