Japanese News: プーチン大統領インド首相との首脳会談へ米けん制する思惑か

ロシアのプーチン大統領だいとうりょうは6日にち、インドを訪問ほうもんして、モディ首相しゅしょうと首脳しゅのう会談かいだんを行おこないます。アメリカがインドを含ふくめた「クアッド」と呼よばれる枠組わくぐみでインド太平洋たいへいよう地域ちいきでの連携れんけい強化きょうかを図はかるなか、ロシアは、伝統でんとう的てきな友好国ゆうこうこくであるインドとの関係かんけいをアピールし、アメリカなどをけん制けんせいする思惑おもわくがあるものとみられます。

ロシアのプーチン大統領だいとうりょうは、6日にち、インドを訪問ほうもんしておよそ2年ねんぶりに、モディ首相しゅしょうと対面たいめんでの首脳しゅのう会談かいだんを行おこなうほか、外相がいしょうや国防こくぼう相しょうも同行どうこうさせ、両国りょうこくで初はじめてとなる外務がいむ・防衛ぼうえいの閣僚かくりょう協議きょうぎ、いわゆる2プラス2を開催かいさいする予定よていです。

会談かいだんで、両りょう首脳しゅのうは、伝統でんとう的てきに友好ゆうこう関係かんけいにある、ロシアとインド両国りょうこくの経済けいざいや安全あんぜん保障ほしょう面めん、エネルギー分野ぶんやでの連携れんけいの強化きょうか、そして、アメリカ軍ぐん撤退てったい後ごのアフガニスタン情勢じょうせいなど、地域ちいきの課題かだいについて話し合はなしあう見通みとおしです。

ロシアは、アメリカが、日本にっぽん、オーストラリア、それにインドの4か国かこくでつくる「クアッド」と呼よばれる枠組わくぐみでインド太平洋たいへいよう地域ちいきでの連携れんけい強化きょうかを図はかる動うごきを警戒けいかいしていて、インドとの関係かんけいをアピールし、アメリカなどをけん制けんせいする思惑おもわくがあるものとみられます。

一方いっぽう、インドとしては、中国ちゅうごくとの間まで、去年きょねん、国境こっきょう地域ちいきにある係争けいそう地帯ちたいで双方そうほうの軍ぐんが衝突しょうとつして以降いこう、緊張きんちょう状態じょうたいが続つづくなか、中国ちゅうごくを念頭ねんとうにクアッドの枠組わくぐみで協力きょうりょくを深ふかめるアメリカだけでなく、武器ぶきの調達ちょうたつなどで依存いぞんするロシアとの関係かんけいもさらに強化きょうかしたいねらいがあるとみられます。

インドは、ロシアから最さい新鋭しんえいの地ち対空たいくうミサイルシステムS400も購入こうにゅうし、配備はいびに向むけた動うごきが進すすめられていると見みられます。

ロシアとインドが関係かんけいを強化きょうかする動うごきに対にたいして、アメリカのバイデン政権せいけんは警戒けいかいしていて、各国かっこくの思惑おもわくが複雑ふくざつに交錯こうさくしています。

プーチン大統領だいとうりょうコロナ禍かの中なか公式こうしき訪問ほうもん

ロシアのプーチン大統領だいとうりょうは、新あらたな変異へんいウイルス、オミクロン株かぶの感染かんせんが世界せかい的てきに広ひろがる中なかにあっても、インドへの公式こうしき訪問ほうもんは予定よていどおり行おこないます。

ことし10月つき、イタリアで開ひらかれたG20サミット＝主要しゅよう20か国かこくの首脳しゅのう会議かいぎや、イギリスで開催かいさいされた国連こくれんの気候きこう変動へんどう対策たいさくの会議かいぎCOP26のいずれも、新型しんがたコロナの感染かんせん対策たいさくなどを理由りゆうに現地げんち入いりしなかったのとは対照たいしょう的てきで、インド訪問ほうもんへのなみなみならぬ意欲いよくがうかがえます。

その背景はいけいには、アメリカが、4か国かこくの枠組わくぐみ「クアッド」に、同盟どうめい国こくの日本にっぽんやオーストラリアだけでなく、米べいソ冷戦れいせん時代じだいからのロシアの友好国ゆうこうこく、インドまで引き込ひきこみ、インド太平洋たいへいよう地域ちいきでの連携れんけいを強化きょうかしていることへの危機きき感かんがあります。

プーチン政権せいけんは、この枠組わくぐみが中国ちゅうごくだけでなく、ロシアも対象たいしょうにしているのではと疑念ぎねんを抱だいています。

一方いっぽう、インドはロシアの主要しゅような武器ぶきの輸出ゆしゅつ先さきで、最さい新鋭しんえいの地ち対空たいくうミサイルシステムS400も5基き購入こうにゅうし、配備はいびに向むけた動うごきが着々ちゃくちゃくと進すすんでいると伝つたえられています。

アメリカはS400を強つよく警戒けいかいし、前まえのトランプ政権せいけんは、同盟どうめい関係かんけいにあるトルコが同おなじ兵器へいきを購入こうにゅうしたことで異例いれいの制裁せいさいを科かしていて、バイデン政権せいけんがインドに対にたいして制裁せいさいを発動はつどうするかどうかに関心かんしんが集あつまっています。

プーチン大統領だいとうりょうのインド訪問ほうもんは、こうした時期じきに加くわえて、バイデン政権せいけんが今月こんげつ9日にちから日本にっぽんやインドを招まねいて初はじめて開ひらく「民主みんしゅ主義しゅぎサミット」の直前ちょくぜんというタイミングで行おこなわれ、インドとの関係かんけいを強つよくアピールし、アメリカとインドとの間まにくさびを打ち込うちこみたいねらいがあるとみられます。

プーチン大統領だいとうりょうは、先月せんげつの外交がいこう政策せいさく演説えんぜつで、隣国りんごくのウクライナなどをめぐってアメリカなどを強つよくけん制けんせいする一方いっぽう、アジア太平洋たいへいよう地域ちいきをより重視じゅうしする姿勢しせいを打ち出うちだし、このうち中国ちゅうごくに次ついでインドを挙あげて「真しんに多面ためん的てきな2国こく間かん関係かんけいを構築こうちくしたい」と呼よびかけていました。

関係かんけい強化きょうか背景はいけいには中国ちゅうごくの存在そんざい

インドが伝統でんとう的てきな友好国ゆうこうこくロシアとの間まで関係かんけいを強化きょうかする背景はいけいには、中国ちゅうごくの存在そんざいがあります。

インドは中国ちゅうごくとの間まで、去年きょねん北部ほくぶラダック地方ちほうの係争けいそう地帯ちたいで双方そうほうの軍ぐんが衝突しょうとつして以降いこう、対立たいりつが続つづいています。

中国ちゅうごくは巨大きょだい経済けいざい圏けん構想こうそう、「一帯いったい一路いちろ」のもと、インド太平洋たいへいよう地域ちいきでも影響えいきょう力りょくを強つよめているとして、インドは、ロシアと関係かんけいを強化きょうかすることで、中国ちゅうごくをけん制けんせいする思惑おもわくもあるとみられます。

とりわけ軍事ぐんじ分野ぶんやでインドはロシアと関係かんけいが深ふかく、2010年ねん以降いこう、インドが輸入ゆにゅうした武器ぶきの6割わり以上いじょうをロシア製せいが占しめているということです。

最近さいきんでは、ロシア製せいの最さい新鋭しんえいの地ち対空たいくうミサイルシステムS400を購入こうにゅうし、防空ぼうくう能力のうりょくを高たかめる計画けいかくを進すすめています。

一方いっぽうで、インドはアメリカとも日本にっぽんとオーストラリアを含ふくめた4か国かこくの枠組わくぐみ「クアッド」に参加さんかするなど、このところ連携れんけいを強つよめています。

国益こくえきに応おうじて関係かんけい各国かっこくと協力きょうりょくする「全ぜん方位ほうい外交がいこう」を展開てんかいするインドは、中国ちゅうごくを念頭ねんとうにロシアやアメリカとの関係かんけいをさらに強化きょうかすることでインド太平洋たいへいよう地域ちいきでの存在そんざい感かんを高たかめるねらいもあるとみられます。

高たかまるインドの重要じゅうよう性せい

インドをめぐる各国かっこくの動うごきについて、アメリカのシンクタンク「ニュー・アメリカ」のアニシュ・ゴエル上席じょうせき研究けんきゅう員いんは「アメリカはロシアとインドの首脳しゅのう会談かいだんに神経しんけいをとがらせている。アメリカとロシアは、インドの注意ちゅういをひこうと競きそっている」と述のべました。

そのうえで「バイデン政権せいけんは、インドに対にたいし、インド太平洋たいへいよう地域ちいきの安全あんぜん保障ほしょうでより積極せっきょく的てきな役割やくわりを担になってほしいと考かんがえている。中国ちゅうごくに対抗たいこうするには、日本にっぽんやオーストラリアとの同盟どうめいだけでは十分じゅうぶんではない」と述のべ、中国ちゅうごくの影響えいきょう力りょくの拡大かくだいで、インドの重要じゅうよう性せいは一段いちだんと高たかまっていると指摘してきしました。

また「アメリカはウクライナ危機ききをめぐって、ロシアを孤立こりつさせようとしており、いまは特とくに微妙びみょうな時期じきだ」と述のべ、ウクライナ情勢じょうせいをめぐり国際こくさい社会しゃかいの結束けっそくを図はかるバイデン政権せいけんの対たいロシア政策せいさくにも影響えいきょうを及およぼすおそれがあると分析ぶんせきしました。

一方いっぽう、インドがロシアから最さい新鋭しんえいの地ち対空たいくうミサイルシステムS400を購入こうにゅうしたことで、アメリカがインドに対にたいし制裁せいさいを科かすかどうかについて、ゴエル上席じょうせき研究けんきゅう員いんは「アメリカは制裁せいさいを科かさないほどインドとの関係かんけいを重視じゅうししている。もし制裁せいさいを科かせば、インドはアメリカから離はなれ、ロシアに接近せっきんすることになる」と述のべ、制裁せいさいの発動はつどうは見送みおくられる可能かのう性せいがあるという考かんがえを示しめしました。

ロシア製せいの兵器へいきの購入こうにゅうをめぐっては、前まえのトランプ政権せいけんが去年きょねん12月つき、ロシアからS400を購入こうにゅうしたトルコに対にたいし、トルコ大統領だいとうりょう府ふ傘下さんかの国防こくぼう産業さんぎょう庁ちょうのトップなどにアメリカ国内こくないの資産しさんを凍結とうけつするなど制裁せいさいを科かしています。