カタールのドーハで行われている陸上の世界選手権、男子50キロ競歩は、暑さや湿度を考慮して現地の28日午後11時半から行われました。
深夜にもかかわらず気温は30度を超え湿度も非常に高い中でスタートし、鈴木選手は直後から飛び出すと先頭でレースを引っ張りました。
過酷な条件のもとライバルとみられた選手たちが相次いで途中で棄権する中、鈴木選手は徐々にペースを上げ、「世界一美しい」と言われるフォームも乱れませんでした。
終盤40キロをすぎてからは、給水地点で歩くスピードをあえて大幅に落として体力の回復をはかり、再びペースを上げて歩くことを繰り返し最後まで先頭をゆずることなく歩ききり優勝しました。
速報のタイムは4時間4分20秒で、みずからの持つ日本記録より25分ほど遅れましたが、2位に40秒近い差をつけての金メダル獲得です。
競歩で日本選手がオリンピックと世界選手権を通じて金メダルを獲得するのは初めての快挙で、鈴木選手は日本陸上競技連盟の東京オリンピックの代表選手の選考要項に基づき、競歩で初めて代表に内定しました。
このほかの日本選手は、勝木隼人選手が速報タイムで4時間46分10秒の27位、野田明宏選手は13キロ付近で途中棄権しました。
鈴木雄介選手とは
鈴木雄介選手は、石川県出身の31歳。男子50キロ競歩の日本記録保持者です。
もともとは20キロが専門で、体の軸がほとんどぶれずに安定したフォームで2015年に石川県で開かれた20キロの大会では、1時間16分36秒の世界新記録をマークしました。
オリンピックには2012年のロンドン大会に、世界選手権は2015年の北京大会まで4大会連続で出場しました。
しかし、世界記録をマークしたあとはケガに苦しみ、リオデジャネイロオリンピックには出場できず、その後も結果が残せず、ことしの世界選手権では20キロでの代表を逃しました。
こうした中、ことし4月に日本選手権50キロに出場すると3時間39分7秒の日本新記録をマークして優勝し、50キロでの世界選手権代表に決まりました。
鈴木選手は、50キロを優先して東京オリンピックを目指すことを明らかにしています。
日本の競歩選手が過去に獲得したメダル
世界選手権やオリンピックで、日本の競歩選手のメダルは2015年の世界選手権、男子50キロで谷井孝行選手が銅メダルを獲得したのが初めてでした。
よくとしのリオデジャネイロオリンピックでは、荒井広宙選手が男子50キロで銅メダルを獲得、前回、2017年の世界選手権では50キロで荒井選手が銀メダル、小林快選手が銅メダルを獲得しています。