アルツハイマー病の初期症状を有する高齢者において、日々の歩行数を増やすことが、病気の進行を遅延させる一助となり得るとの研究結果が、米国の研究チームによって発表された。
根据美国研究团队发表的研究结果,患有阿尔茨海默病早期症状的老年人通过增加每日步行步数,可能有助于延缓疾病的发展。
アルツハイマー病の発症・進行には、ベータアミロイドおよびタウタンパク質の脳内蓄積が深く関与していることが知られている。
已知β-淀粉样蛋白和Tau蛋白在大脑中的积累与阿尔茨海默病的发病和进展密切相关。
特に、アミロイドは30代頃から神経細胞間に沈着し始め、脳内の情報伝達機能に悪影響を及ぼすとされているが、その蓄積が進むにつれて異常なタウタンパク質の広範な沈着が引き起こされ、最終的には神経細胞の死滅へと至る。
特别是,淀粉样蛋白大约从30岁开始在神经细胞之间沉积,被认为会对大脑的信息传递功能产生不良影响。随着这种积累的进展,会出现异常的Tau蛋白广泛沉积,最终导致神经细胞死亡。
今回の研究論文は、2024年6月3日付で医学誌『ネイチャー・メディシン』に掲載された。
这篇研究论文于2024年6月3日发表在医学杂志《自然医学》上。
筆頭著者である米マサチューセッツ総合病院の神経科医ワイイン・ウェンディ・ヤウ氏は、「身体活動はタウタンパク質(記憶障害と最も密接に関連する)の蓄積を遅らせることで、アルツハイマー病初期患者の認知機能低下を抑制する可能性がある」と述べている。
美国马萨诸塞总医院的首席作者、神经科医生魏·茵·温迪·姚表示:“身体活动可能延缓与记忆障碍最密切相关的Tau蛋白的积累,从而可以防止早期阿尔茨海默病患者认知功能的下降。”
ヤウ氏らの調査によれば、1日に3000~5000歩の歩行を行った高齢者では、認知機能の低下が平均して約3年遅延し、さらに5000~7500歩歩いた場合には約7年の遅延が認められたという。
根据姚先生及其合作者的调查显示,老年人每天步行3,000到5,000步,平均认知功能下降可延缓约3年。如果每天步行5,000到7,500步,这种延缓可达到约7年。
この研究に関して、フロリダ州神経変性疾患研究所のリチャード・アイザクソン氏は、歩数の増加が参考になる一方で、「単に歩数だけに依存したアルツハイマー病予防策は安易すぎる」と指摘し、「5000歩や7000歩といった明確な数値に過度に依拠することには注意が必要である」と警鐘を鳴らす。
与本研究相关,佛罗里达州神经退行性疾病研究所的理查德·艾萨克森表示:“增加步数是有益的参考,但‘仅以步数作为阿尔茨海默病预防的指标过于简单’”,并警告说,“过度依赖5000步或7000步等具体数字需要引起注意。”
同氏は遺伝的リスクを有する人々の認知機能改善についても研究を重ねている。
「体脂肪が過剰な人や、糖尿病予備群、高血圧の患者にとっては、一定の歩数を歩くだけでは十分とは言えず、個々の状況に応じた対策が求められる」とアイザクソン氏は述べている。
艾萨克森先生还表示:“对于体脂肪过多、糖尿病前期或高血压患者来说,仅仅走一定的步数是不够的,需要根据每个人的具体情况采取相应的对策。”
なお、今回の研究は50歳から90歳までの296名を対象に14年間にわたって実施された。
本研究针对296名50岁至90岁的对象,持续进行了14年的跟踪调查。
被験者数が限定的であったものの、研究チームは客観的な評価基準を用いることで信頼性の向上を図ったという。
虽然研究对象的数量有限,但研究小组努力通过采用客观的评价标准来提高研究的可靠性。
オックスフォード大学のマスード・フセイン教授は、「本研究の特筆すべき点は、PETスキャンによるアミロイドおよびタウタンパク質の脳内蓄積量の定量測定と、認知機能評価および歩数データを組み合わせて解析した点にある」と評価している(同教授は本研究には関与していない)。
牛津大学的马苏德·侯赛因教授这样评价道:“这项研究的突出之处在于,通过PET扫描对大脑内淀粉样蛋白和Tau蛋白的积累量进行了定量分析,并结合了认知功能评估与步数数据。”(教授本人未参与本研究)
歩数は歩数計により記録され、被験者は平均して9年間にわたり毎年認知機能検査を受けた。
步数通过计步器记录,研究对象在平均9年的时间里每年接受认知功能测试。
また、研究開始時にPET検査によるアミロイドおよびタウタンパク質の蓄積量を測定し、一部の被験者については研究終了時にも追加でPET検査を実施した。
此外,淀粉样蛋白和Tau蛋白的累积量在研究开始时通过PET扫描进行了测量,部分受试者在研究结束时还进行了额外的PET扫描检查。
その結果、1日に最大7500歩を歩行した被験者では、タウタンパク質の蓄積が3~7年遅延したのに対し、座位時間が長い被験者ではタウタンパク質の蓄積速度が顕著に速く、認知機能および日常生活機能の低下も急速に進行したことが明らかとなった。
根据结果显示,每天最多步行7,500步的人,Tau蛋白的积累会延迟3到7年;而长时间久坐的人,Tau蛋白的积累速度显著加快,认知功能和日常生活能力也会迅速下降。
一方で、身体活動とタウタンパク質の前段階であるベータアミロイドの減少との間には明確な関連は認められなかった。
另一方面,身体活动与β-淀粉样蛋白的减少,即与Tau蛋白前阶段之间,并没有明确的相关性。
ヤウ氏は「アミロイド負荷が一定の閾値に達した場合、歩数の増加がタウタンパク質の蓄積抑制と関連していた。
杨先生表示:“当淀粉样蛋白的积累量达到某个阈值时,增加步数与抑制Tau蛋白的积累有关。”
認知機能低下の遅延は、主にこの関係によって説明できる」と述べている。
这种主要认知功能下降的延缓,可以通过这种关系来解释。
なお、本研究は観察研究であり、直接的な因果関係を証明するものではない。
しかしながら、ウォーキングやストレス管理、質の高い睡眠、植物性食品中心の食生活といった心臓に良いとされる生活習慣が、脳の健康維持にも有効であることが、改めて示唆されたと専門家らは指摘している。
然而,专家们再次指出,有益于心脏的生活习惯,如步行、压力管理、高质量的睡眠、以植物性为主的饮食等,对于维持大脑健康同样有效。