沖縄おきなわ戦せん75年ねん「慰霊いれいの日ひ」 朝あさ早はやくから遺族いぞくなどが平和へいわへの祈いのり

75年ねん前まえの沖縄おきなわ戦せんでは、住民じゅうみんを巻き込まきこんだ激はげしい地上ちじょう戦せんで20万まん人にんを超こえる人ひとが犠牲ぎせいになり、沖縄おきなわ県民けんみんの4人にんに1人にんが命いのちを落おとしました。

沖縄おきなわ県けんは旧きゅう日本にっぽん軍ぐんの組織そしき的てきな戦闘せんとうが終おわったとされる6月つき23日にちを「慰霊いれいの日ひ」としています。

最後さいごの激戦げきせん地ちとなった糸満いとまん市し摩文仁まぶにの平和へいわ祈念きねん公園こうえんには、朝あさ早はやくから遺族いぞくなどが訪おとずれ、戦没せんぼつ者しゃの名前なまえが刻きざまれた「平和へいわの礎いしずえ（いしじ）」の前まえで花はなを手向たむけたり、手てを合あわせたりしています。

祖父そふとおじを沖縄おきなわ戦せんで亡なくした豊見城とみぐすく市しの65歳さいの男性だんせいは、「2人にんはどこで亡なくなったのかも分わかりません。両親りょうしんも教おしえてくれませんでした。慰霊いれいの日ひは子こや孫まごに引き継ひきついで、過去かこのことを忘わすれないためにも大切たいせつなことだと思おもう」と話はなしていました。

平和へいわ祈念きねん公園こうえんでは、正午しょうご前まえから戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきが予定よていされていますが、ことしは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、これまで5000人にん規模きぼだった参列さんれつ者しゃを200人にん程度ていどに減へらして行おこなわれます。

県内けんない各地かくちではこれまでに慰霊いれい祭さいや平和へいわ学習がくしゅうが中止ちゅうしになるケースもあり、例年れいねんにも増まして戦争せんそうの記憶きおくの継承けいしょうが難むずかしい状況じょうきょうとなっています。

一方いっぽう、戦後せんご造つくられた在日ざいにちアメリカ軍ぐんの専用せんよう施設しせつのおよそ7割わりが今いまも沖縄おきなわに集中しゅうちゅうしているうえ、アメリカ軍ぐん普天間ふてんま基地きちの名護なご市し辺野古へのこへの移設いせつをめぐり政府せいふと移設いせつに反対はんたいする沖縄おきなわ県けんの対立たいりつは続つづいたまま、埋め立うめたてが進すすめられています。

沖縄おきなわ戦せんから75年ねんのことしの「慰霊いれいの日ひ」は平和へいわへの誓ちかいを新あらたにする一方いっぽう、沖縄おきなわの重おもい基地きち負担ふたんを問とい直なおす日ひでもあります。

戦争せんそう遺跡いせきの5分ぶんの1で現存げんそんが確認かくにんできず

75年ねん前まえの沖縄おきなわ戦せんで住民じゅうみんが避難ひなんしたガマと呼よばれる洞窟どうくつや旧きゅう日本にっぽん軍ぐんによって造つくられた壕ごうなどの戦争せんそう遺跡いせきのおよそ5分ぶんの1で、現存げんそんが確認かくにんできないことがわかりました。専門せんもん家かは「文化財ぶんかざい指定していを含ふくめて保存ほぞん・活用かつようの議論ぎろんを進すすめるべきだ」としています。

沖縄おきなわ県内けんないには各地かくちに沖縄おきなわ戦せんの激はげしい地上ちじょう戦せんの痕跡こんせきをとどめる戦争せんそう遺跡いせき、戦跡せんせきがあります。

ＮＨＫえぬえいちけいが今月こんげつ、沖縄おきなわ県内けんないの41全ぜん市町村しちょうそんに聞き取ききとり取材しゅざいをしたところ、県内けんないで少すくなくとも1563の戦跡せんせきがあり、このうちおよそ5分ぶんの1にあたる296の現存げんそんが確認かくにんできなくなっていることがわかりました。

現存げんそんが確認かくにんできなくなったものでは、宅地たくち造成ぞうせいや道路どうろ建設けんせつなどでやむなく壊こわされたり埋没まいぼつしたりしたほか、過去かこに戦争せんそう体験たいけん者しゃが存在そんざいについて証言しょうげんしたものの今いまは不明ふめいになっているケースがあるということです。

また、複数ふくすうの自治体じちたいは「最近さいきん、調査ちょうさをしていないためわからない」などと回答かいとうし、現存げんそんが確認かくにんできない戦跡せんせきはさらに多おおくなるものとみられます。

沖縄おきなわの戦跡せんせきに詳くわしい沖縄おきなわ国際こくさい大学だいがく元もと教授きょうじゅの吉浜よしはま忍しのぶさんは、「沖縄おきなわ戦せんの記憶きおくを継承けいしょうするために過去かこに調査ちょうさした戦跡せんせきが現在げんざい、どうなっているのか改あらためて調しらべ、大切たいせつな戦跡せんせきは保存ほぞん・活用かつように向むけ、行政ぎょうせいによる文化財ぶんかざい指定していを含ふくめて議論ぎろんしなければならない」と話はなしていました。

沖縄おきなわ戦せんの記憶きおく 体験たいけん者しゃから継承けいしょう難むずかしく

沖縄おきなわ県内けんないの高校生こうこうせいを対象たいしょうにした平和へいわ教育きょういくに関にかんするアンケート調査ちょうさで、「家族かぞくや親族しんぞくで沖縄おきなわ戦せんについて話はなしてくれる人ひとがいるか」との問といに、「いない」と回答かいとうしたのが52.2％となりました。10年ねん前まえと比くらべ17ポイント以上いじょうも増ふえていて、体験たいけん者しゃからの戦争せんそうの記憶きおくの継承けいしょうが年々ねんねん、難むずかしくなっている現状げんじょうが浮き彫うきぼりとなりました。

このアンケート調査ちょうさは、歴史れきしの教師きょうしなどでつくるグループが25年ねん前まえから5年ねんに1度ど行おこなっていて、今回こんかいは去年きょねん11月つきからことし3月つきにかけて沖縄おきなわ県内けんないの高校こうこう2年生ねんせい1653人にんから回答かいとうを得えました。

その結果けっか、沖縄おきなわ戦せんを学まなぶことについて、95.5％の生徒せいとが「とても大切たいせつ」あるいは「大切たいせつなことである」と回答かいとうし、調査ちょうさ開始かいし以降いこう、最もっとも多おおくなりました。

一方いっぽう、「家族かぞくや親族しんぞくで沖縄おきなわ戦せんについて話はなしてくれる人ひとがいるか」との問といに「いない」と回答かいとうしたのが52.2％、「いる」と回答かいとうしたのが30.3％となりました。

この質問しつもんが初はじめて行おこなわれた10年ねん前まえと比くらべ、「いない」は17ポイント以上いじょう増ふえて、「いる」が10ポイント以上いじょう減へる結果けっかとなり、高齢こうれい化かが進すすんで戦争せんそうの語かたり部ぶが少すくなくなっている現状げんじょうがわかります。

アンケート調査ちょうさを行おこなった沖縄おきなわ歴史れきし教育きょういく研究けんきゅう会かいは、「沖縄おきなわ戦せんの記憶きおくの継承けいしょうが家庭かていでできなくなっているのはやむをえない事実じじつだ。追つい体験たいけんができる地域ちいきの戦争せんそう遺跡いせきを活用かつようしながら、いま健在けんざいの体験たいけん者しゃとともに、悲惨ひさんな沖縄おきなわ戦せんの実相じっそうを伝つたえていく方法ほうほうを考かんがえていかなければいけない」としています。