ボルトン氏し回顧かいこ録ろく「トランプ氏し 政権せいけん運営うんえいの知識ちしき 乏とぼしかった」

アメリカのトランプ大統領だいとうりょうの側近そっきんだったボルトン前ぜん補佐ほさ官かんの回顧かいこ録ろくは23日にち、日本にっぽんやアメリカで発売はつばいされました。

アメリカのメディアによりますと、回顧かいこ録ろくは予約よやく段階だんかいからここ数すう日間にちかん、アマゾン・ドット・コムのアメリカのベストセラーリストで1位いとなり、大おおきな反響はんきょうを呼よんでいます。またボルトン前ぜん補佐ほさ官かんには出版しゅっぱん社しゃから200万まんドル、日本にっぽん円えんにしておよそ2億おく円えんの前払まえばらい金きんが支払しはらわれていると伝つたえています。

回顧かいこ録ろくでボルトン氏しは、トランプ大統領だいとうりょうが「フィンランドがロシアの一部いちぶかどうか、側近そっきんに質問しつもんしていた」ほか、イギリスのメイ前ぜん首相しゅしょうらとの会話かいわで「イギリスは核かく保有ほゆう国こくなのかと尋たずねた」と記しるしたうえで、「冗談じょうだんとして発言はつげんしたわけではないのは明あきらかだった」として、基本きほん的てきな知識ちしきが欠如けつじょしていると指摘してきしました。

さらに「在任ざいにん中ちゅう、トランプ大統領だいとうりょうがみずからの再選さいせん以外いがいの理由りゆうで物事ものごとを判断はんだんしたところを見みたことがない」として、国益こくえきより選挙せんきょに向むけたみずからの利益りえきを優先ゆうせんしていたと主張しゅちょうしました。

そして「驚おどろくほど政権せいけんを運営うんえいするための知識ちしきに乏とぼしかった」として、大統領だいとうりょうの資質ししつを問題もんだい視ししています。

政治せいじ情報じょうほうサイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、各種かくしゅ世論せろん調査ちょうさのトランプ大統領だいとうりょうの支持しじ率りつの平均へいきん値ちは42.9％で、引き続ひきつづき40％台だいを維持いじしています。

しかし、トランプ大統領だいとうりょうに対にたいしては新型しんがたコロナウイルスや人種じんしゅ差別さべつの抗議こうぎデモへの対応たいおうで批判ひはんが根強ねづよく、今回こんかいの回顧かいこ録ろくの出版しゅっぱんも受うけて逆風ぎゃくふうが強つよまっています。

トランプ大統領だいとうりょう「無能むのうでうそつき」

トランプ大統領だいとうりょうは22日にち、ツイッターでボルトン前ぜん大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんについて「彼かれがひどく無能むのうでうそつきかが明あきらかになった。裁判官さいばんかんの意見いけんを見みてくれ。機密きみつ情報じょうほうだ！！！」と投稿とうこうし、先さきに裁判所さいばんしょが出版しゅっぱんの差し止さしとめを退しりぞける一方いっぽうで、「ボルトン氏しは秘密ひみつ保持ほじの契約けいやくに違反いはんした可能かのう性せいが高たかい」とした判断はんだんに言及げんきゅうし、批判ひはんしました。

また、共和党きょうわとうも党とうの全国ぜんこく委員いいん会かいの公式こうしきツイッターで「うそつきで、戦争せんそうを挑発ちょうはつする人物じんぶつだという超党派ちょうとうはの認識にんしきがある。自分じぶん自身じしんの名誉めいよを誇張こちょうする本ほんやテレビのインタビューが示しめしているとおり、ボルトンのしていることは自分じぶん自身じしんのためであり、アメリカの国家こっか安全あんぜん保障ほしょうのためではない」と投稿とうこうしました。

民主党みんしゅとう 双方そうほうを批判ひはん

ボルトン前ぜん大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんの回顧かいこ録ろくの出版しゅっぱんをめぐり、野党やとう・民主党みんしゅとうのペロシ下院かいん議長ぎちょうは「トランプ氏しは大統領だいとうりょうとして倫理りんり的てきに不ふ適格てきかくで、知的ちてきにも準備じゅんびができていないことは明あきらかだ」として、トランプ大統領だいとうりょうを強つよく批判ひはんしました。

一方いっぽうで、ボルトン氏しがいわゆるウクライナ疑惑ぎわくで弾劾だんがい調査ちょうさに協力きょうりょくしなかったことを指摘してきし、ボルトン氏しに対にたいしても「詐欺さぎ師しだ。議会ぎかいで証言しょうげんせず、代かわりに出版しゅっぱんした本ほんにお金おかねを払はらうつもりはない」と批判ひはんしたうえで、民主党みんしゅとうが主導しゅどうする議会ぎかい下院かいんで改あらためてボルトン氏しを証人しょうにんとして召喚しょうかんする可能かのう性せいを示唆しさしました。

また弾劾だんがい調査ちょうさを統括とうかつした民主党みんしゅとうのシフ情報じょうほう委員いいん長ちょうも、ツイッターに「金かねもうけのために今いまになって沈黙ちんもくを破やぶった」とボルトン氏しを批判ひはんするコメントを投稿とうこうしています。

官房かんぼう長官ちょうかん「内容ないよう一ひとつ一ひとつに答こたえるのは控ひかえる」

アメリカのボルトン前ぜん大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんの回顧かいこ録ろくの中なかで、トランプ大統領だいとうりょうが安倍あべ総理そうり大臣だいじんに対にたいし、イランとの仲介ちゅうかいを依頼いらいしたと記しるされていることについて、菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは、午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで、「回顧かいこ録ろくの内容ないよう一ひとつ一ひとつについて、政府せいふとして答こたえるのは控ひかえる。同盟どうめい国こくであるアメリカとは、イランを含ふくめ中東ちゅうとう地域ちいきの緊張きんちょう緩和かんわと情勢じょうせいの安定あんてい化かのために緊密きんみつに連携れんけいしてきている」と述のべました。

そのうえで記者きしゃ団だんが「トランプ大統領だいとうりょうは、イランとの仲裁ちゅうさいはうまくいかないと予見よけんしており、アメリカ政府せいふにミスリードされたのではないか」と質問しつもんしたのに対にたいし、「アメリカにミスリードされたということはあたらない」と述のべました。

韓国かんこく大統領だいとうりょう府ふ「事実じじつをわい曲わいきょくしている」

アメリカのボルトン前ぜん大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんの回顧かいこ録ろくについて、韓国かんこく大統領だいとうりょう府ふは22日にち、チョン・ウィヨン（鄭てい義よし溶）国家こっか安保あんぽ室長しつちょうのコメントを発表はっぴょうし、「事実じじつをわい曲わいきょくしている」などとして強つよく非難ひなんしました。

この中なかでは、回顧かいこ録ろくにあるアメリカと韓国かんこく、それに北朝鮮きたちょうせんの首脳しゅのう間かんの会談かいだん内容ないようについて、「正確せいかくな事実じじつを反映はんえいしていない。相当そうとうな部分ぶぶんの事実じじつを大おおきくわい曲わいきょくしている」として強つよく非難ひなんしています。

そのうえで「政府せいふ間かんの信頼しんらいに基もとづいて協議きょうぎした内容ないようを一方いっぽう的てきに公開こうかいすることは、外交がいこうの基本きほん原則げんそくに違反いはんしている」として、アメリカ政府せいふに適切てきせつな対応たいおうをとるよう求もとめたとしています。

韓国かんこく大統領だいとうりょう府ふの関係かんけい者しゃは、回顧かいこ録ろくの内容ないようのうち、具体ぐたい的てきにどの部分ぶぶんが事実じじつと違ちがうのかなど、詳細しょうさいについては明あきらかにしないとしていますが、保守ほしゅ系けいの主要しゅよう紙し「中央ちゅうおう日報にっぽう」は、今回こんかいの出版しゅっぱんをきっかけに韓国かんこく政府せいふの北朝鮮きたちょうせんへの対応たいおうを検証けんしょうするべきだとしています。

また、同おなじく保守ほしゅ系けいの主要しゅよう紙し、「朝鮮ちょうせん日にち報ほう」は、ムン・ジェイン（文ぶん在ざい寅とら）政権せいけんが評価ひょうかした史上しじょう初はつの米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんについて、ボルトン氏しが「宣伝せんでんのためだ」などと書かいているとして、ムン政権せいけんへの批判ひはんを強つよめています。

ロシア 米べいの情報じょうほう管理かんりに疑問ぎもん

アメリカのボルトン前ぜん大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんの回顧かいこ録ろくについて、ロシア大統領だいとうりょう府ふのペスコフ報道ほうどう官かんは22日にち、地元じもとメディアに対にたいして「ボルトン氏しは職業しょくぎょう上じょうの活動かつどうや交渉こうしょう、さまざまな首脳しゅのう会談かいだんに関にかんする情報じょうほうを公開こうかいしているが、その情報じょうほうの一部いちぶはほとんど公表こうひょうしてはならないものだ。アメリカはロシアとはどうも違ちがうようだ」と述のべ、アメリカの情報じょうほう管理かんりの在り方ありかたに疑問ぎもんを呈ていしました。

回顧かいこ録ろくには、ボルトン氏しがプーチン大統領だいとうりょうについて「冷静れいせいで自信じしんに満みちている印象いんしょうを受うけた。国家こっか安全あんぜん保障ほしょうの優先ゆうせん事項じこうに精通せいつうしており、私わたしは、彼かれをトランプ氏しと一緒いっしょの部屋へやに2人にんきりにするのをのぞんでいたわけではなかった」などと記しるしています。

ペスコフ報道ほうどう官かんは、こうした記述きじゅつについて「さまざまな意見いけんが表明ひょうめいされていて、受け入うけいれられるものとそうでないものがある。一概いちがいに評価ひょうかすることはできない」と述のべました。