キャッシュレス決済けっさいのポイント還元かんげん制度せいど 30日にちで終了しゅうりょう

消費しょうひ税率ぜいりつ引き上ひきあげ後ごの消費しょうひの下支したざさえや、キャッシュレス決済けっさいの普及ふきゅうを目的もくてきに実施じっしされました。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうによりますと、当初とうしょの想定そうていの2倍ばいを超こえる115万まん店てんが参加さんかし、利用りよう者しゃへの還元かんげん額がくは4月つき中旬ちゅうじゅんまでに3530億おく円えんに上のぼっています。

参加さんか店舗てんぽのおよそ3割わりは、キャッシュレスを今回こんかい初はじめて導入どうにゅうしたか、対応たいおうする種類しゅるいを増ふやしたということです。

また、去年きょねん、支出ししゅつに占しめるキャッシュレスの比率ひりつが伸のび、26.7％になるなど、経済けいざい産業さんぎょう省しょうは普及ふきゅうに一定いっていの効果こうかはあったとしています。

しかし、期間きかん中ちゅうは店舗てんぽ側がわが負担ふたんする決済けっさい手数料てすうりょうが3.25％に抑おさえられていますが、終了しゅうりょう後ごは5％から7％程度ていどに引き上ひきあげられる可能かのう性せいがあり、収益しゅうえきを圧迫あっぱくする要因よういんとなるため中小ちゅうしょうの店舗てんぽで定着ていちゃくするか懸念けねんも出でています。

政府せいふは、消費しょうひの下支したざさえなどを目的もくてきに、ことし9月つきから来年らいねん3月つきまでマイナンバーカードを持もっている人ひとを対象たいしょうとして、キャッシュレス決済けっさいで最大さいだい5000円えん分ぶんのポイントが還元かんげんされる制度せいどを実施じっしします。

スーパーの半数はんすう近ちかくが拡大かくだいの意向いこうも

30日にちに終了しゅうりょうするキャッシュレス決済けっさいのポイント還元かんげん制度せいどで、制度せいどに参加さんかした食品しょくひんスーパーの半数はんすう近ちかくが、終了しゅうりょう後ごもキャッシュレス決済けっさいを増ふやしたい意向いこうであることが業界ぎょうかい団体だんたいの調査ちょうさで分わかりました。

この調査ちょうさは、全国ぜんこくスーパーマーケット協会きょうかいが今月こんげつ中旬ちゅうじゅん、食品しょくひんスーパー966社しゃを対象たいしょうに行おこない、301社しゃから回答かいとうを得えました。

まず、ポイント還元かんげん制度せいどに参加さんかしたスーパーに、制度せいどが終おわったあとのキャッシュレス決済けっさいの扱あつかいを尋たずねたところ、

▽増ふやすと言いう回答かいとうが48.5％、

▽現状げんじょう維持いじが32.3％、

▽減へらすという回答かいとうが16.2％でした。

キャッシュレス決済けっさいのメリットを複数ふくすう回答かいとうで尋たずねたところ、

▽会計かいけい時間じかんの短縮たんしゅくが73.9％、

▽現金げんきん管理かんりの負担ふたん軽減けいげんが50.2％、

▽新あらたな客層きゃくそうの発掘はっくつが44.1％、などとなっています。

一方いっぽうで、キャッシュレス決済けっさいの割合わりあいを減へらしたいと回答かいとうしたスーパーからは、「手数料てすうりょうが重おもく利益りえきが残のこらない」とか、「すべてキャッシュレスだと効率こうりつはいいが、中途ちゅうと半端はんぱだと逆ぎゃくに業務ぎょうむが増ふえるだけだ」という声こえも寄よせられました。

全国ぜんこくスーパーマーケット協会きょうかいの増井ますい徳太郎とくたろう副ふく会長かいちょうは、「キャッシュレス決済けっさいは顧客こきゃくとの接触せっしょく機会きかいが減へり、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん対策たいさくにもつながる。制度せいどが終おわったあとも国くには制度せいどの普及ふきゅうを後押あとおししてほしい」と話はなしています。

菅かん官房かんぼう長官ちょうかん「全国ぜんこく利用りようできる環境かんきょうを整備せいび」

菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは、午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「参加さんか店舗てんぽは、最終さいしゅう的てきに115万まん店てんにまで拡大かくだいし、事業じぎょう者しゃからは、売上うりあげ確保かくほや顧客こきゃく獲得かくとく、それに業務ぎょうむ効率こうりつ化かにつながったという声こえをいただいている。ポイント還元かんげん事業じぎょうは一定いっていの成果せいかを上あげたものと思おもう」と述のべました。

そのうえで、「中小ちゅうしょう店舗てんぽからは、本ほん事業じぎょう終了しゅうりょう後ごの手数料てすうりょうや入金にゅうきんサイクルなどを不安ふあん視しする声こえがあることも事実じじつだ。このため、終了しゅうりょう後ごも、手数料てすうりょうの継続けいぞく的てきな見みえる化かを含ふくめ、キャッシュレス決済けっさいの中小ちゅうしょう店舗てんぽへのさらなる普及ふきゅう促進そくしんに取り組とりくむなど、全国ぜんこく津々浦々つつうらうらでキャッシュレス決済けっさいが利用りようできる環境かんきょうをしっかりと整備せいびしていきたい」と述のべました。

専門せんもん家か「決済けっさい手数料てすうりょうなど抜本ばっぽん的てき見直みなおしを」

専門せんもん家かは、キャッシュレス決済けっさいが定着ていちゃくするには、店みせ側がわの負担ふたんにつながっている決済けっさい手数料てすうりょうなどの障壁しょうへきを抜本ばっぽん的てきに見直みなおす必要ひつようがあると指摘してきしています。

野村のむら資本しほん市場しじょう研究所けんきゅうじょの淵田ふちた康之やすゆきシニアフェローは「ポイント還元かんげん制度せいどは、消費しょうひ者しゃと多おおくの店みせに対にたいしてキャッシュレス決済けっさいの重要じゅうよう性せいを意識いしきさせる大おおきなきっかけとなり、想定そうていを上回うわまわる政策せいさく効果こうかがあった」と評価ひょうかしました。

そのうえで、キャッシュレス決済けっさいが定着ていちゃくするための課題かだいとして、「店みせ側がわが決済けっさい事業じぎょう者しゃに支払しはらう手数料てすうりょう、決済けっさい端末たんまつの導入どうにゅうコスト、売上うりあげ金きんが店みせの口座こうざに支払しはらわれるまでにかかる時間じかんという3つの障壁しょうへきがある。こうした問題もんだいを解決かいけつしなければキャッシュレス決済けっさいが拡大かくだいする勢いきおいがそがれる可能かのう性せいがある」と指摘してきしました。

さらに、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいを契機けいきに世界せかい的てきにキャッシュレス決済けっさいをより重視じゅうしする流ながれが強つよまっているとして、「これまでは、キャッシュレスはやりたい人ひとがやればいいというものだったが、これからはだれもが安やすく使つかえる生活せいかつインフラにならなければならない」と述のべ、海外かいがいと比くらべ割高わりだかとされる決済けっさい手数料てすうりょうなどの在り方ありかたを抜本ばっぽん的てきに見直みなおすことが必要ひつようだと指摘してきしました。

手数料てすうりょう引き上ひきあげ 継続けいぞくを悩なやむ店みせも

制度せいどの終了しゅうりょう後ご、店みせ側がわが負担ふたんする手数料てすうりょうが引き上ひきあげられるため、いったん導入どうにゅうしたキャッシュレス決済けっさいを継続けいぞくするかどうか悩なやんでいる店舗てんぽもあります。

埼玉さいたま県けん上尾あげお市しにある平井ひらい善よし顕あらわさん（42）のバーでは去年きょねん10月つきのポイント還元かんげん制度せいどのスタートに合あわせて、キャッシュレス決済けっさいを導入どうにゅうし、今いまではキャッシュレスが売り上うりあげのおよそ4割わりを占しめるまでになりました。

ところが、導入どうにゅうした決済けっさい事業じぎょう者しゃ2社しゃのうち1社しゃが、来月らいげつから決済けっさい手数料てすうりょうを今いまより2％余あまり引き上ひきあげることになりました。

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、およそ1か月かげつ半はん休業きゅうぎょうしていたこともあり、手数料てすうりょう負担ふたんの増加ぞうかは重おもく、継続けいぞくする場合ばあいは商品しょうひんの値上ねあげも検討けんとうせざるをえないということで、継続けいぞくするかどうか悩なやんでいます。

「Dining ＆ Bar Crew」のオーナーの平井ひらいさんは「休業きゅうぎょうからようやく再開さいかいし、これからという時期じきに2％分ぶんの手数料てすうりょうがさらに上乗うわのせされるのは非常ひじょうに痛いたい。一方いっぽうで、商品しょうひんの値上ねあげにもお客様おきゃくさまに対にたいして、葛藤かっとうの気持きもちがある」と話はなしています。