イギリス政府は14日、国家安全保障会議を開き、ファーウェイの機器について2027年までにすべて排除し、新たな製品の購入も来年から禁止することを決めました。
今回の決定について、ダウデンデジタル相は議会で「アメリカの制裁によって、ファーウェイの製品のセキュリティーについて信頼できなくなった」と説明しました。
ファーウェイの機器の使用をめぐっては、中国との対立を深めるアメリカがイギリスに対し、対応を改めるよう求めていたほか、香港で反政府的な動きを取り締まる法律が施行されたことを受けて、与党・保守党内からも中国への批判が高まり、見直しを求める声が強まっていました。
今回の決定を受けて、中国側は強く反発するとみられ、一時は「黄金時代」ともいわれた両国の関係は悪化することも予想されます。
ファーウェイ英法人「政府が考え直すよう促す」
これについてファーウェイのイギリス法人は声明を出し「今回の失望させる決定はイギリスのユーザーにとって悪いニュースだ」として強い不満を示しました。
そして「イギリスのデジタル分野の発展が減速し、消費者の通信コストを増加させるおそれがある。イギリスの発展レベルを高めるどころか引き下げるかもしれず、われわれは政府が考え直すよう促す」としてイギリス政府に再検討するよう求めました。
そのうえで「アメリカの新たな規制措置は、われわれがイギリスで提供する製品の強じん性や安全性には影響を与えない。遺憾なことにわれわれのイギリスでの未来は政治化されてしまった。これはアメリカの貿易政策によるものであり、安全性の問題ではない」としてアメリカの対応を批判しました。
ファーウェイはヨーロッパ事業を重視していて、このうちイギリスでは20年間事業を展開し、従業員が1600人いて、2010年にはサイバーセキュリティーの評価センターを設けています。
先月には日本円で1300億円を投資して従業員400人の光電子工学の研究開発・製造センターを設けると発表したばかりで、今回の決定でファーウェイは戦略の見直しを迫られることになりそうです。
駐英中国大使「期待外れの間違った決断」
イギリスに駐在する中国の劉暁明大使はツイッターに投稿し「期待外れの間違った決断だ。イギリスがオープンで公正、なおかつ、差別のないビジネス環境を外国の企業に提供できるかどうか疑わしい」と反発しました。
米国務長官「イギリスの決定を歓迎」
アメリカのポンペイオ国務長官は14日、声明を発表し「イギリスの決定を歓迎する」と評価しました。
ポンペイオ国務長官はこれまで「ファーウェイは中国政府が情報収集するためのトロイの木馬だ」などとして、ファーウェイの危険性を主張し、同盟国のイギリスに対応を改めるよう繰り返し求めていただけに、声明で「安全な5Gを支持する機運が高まっている」と指摘しました。
そのうえでポンペイオ長官は、ファーウェイの機器を使わない「クリーンな通信会社」に日本のNTTなどを挙げ、「各国は、5Gの機器やソフトウェアが国家安全保障やプライバシー、知的財産、人権を脅かすことがないと確認する必要がある」として同盟国にファーウェイの排除を改めて呼びかけました。