米べい大統領だいとうりょう選せん 投票とうひょう日びまであすで100日にち コロナで異例いれいずくめの展開てんかい

アメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょに向むけて共和きょうわ・民主みんしゅ両りょう党とうは、8月つきに全国ぜんこく党とう大会たいかいを開催かいさいし、正ただし副ふく大統領だいとうりょう候補こうほがそれぞれ指名しめい受諾じゅだく演説えんぜつを行おこなうことにしていますが、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいがいまも続つづいている影響えいきょうで、規模きぼを大幅おおはばに縮小しゅくしょうし、多おおくのイベントをオンラインのみで実施じっしする見通みとおしです。

また、再選さいせんを目指めざす共和党きょうわとうのトランプ大統領だいとうりょうの陣営じんえい、政権せいけん奪還だっかんを目指めざす民主党みんしゅとうのバイデン前ぜん副ふく大統領だいとうりょうの陣営じんえいともに、支持しじ者しゃを集あつめた大だい規模きぼな集会しゅうかいを開あけない状況じょうきょうが続つづいているほか、有権者ゆうけんしゃと対面たいめんする、草の根くさのねの選挙せんきょ活動かつどうも自粛じしゅくを余儀よぎなくされています。

さらに、本ほん選挙せんきょの投開票とうかいひょうをめぐる混乱こんらんも予想よそうされています。

アメリカの保健ほけん衛生えいせい当局とうきょくは感染かんせん拡大かくだいを防ふせぐために投票とうひょう所しょを訪おとずれる従来じゅうらいの投票とうひょう方法ほうほうの見直みなおしを推奨すいしょうしていて、全米ぜんべいで郵便ゆうびん投票とうひょうが大幅おおはばに増ふえる見通みとおしです。

しかし、アメリカでは、投票とうひょうのしかたは州しゅうごとに定さだめられていて、投開票とうかいひょうの方式ほうしきが画一かくいつ化かされていないほか、郵便ゆうびん投票とうひょうのノウハウがある州しゅうとない州しゅうがあり、選挙せんきょ管理かんりの態勢たいせいや、郵便ゆうびん局きょくなどのインフラの整備せいび状況じょうきょうにも差さがあると指摘してきされています。

このため、大量たいりょうに送おくられてくる投票とうひょう用紙ようしの集計しゅうけい作業さぎょうが追おいつかなかったり、郵便ゆうびんが届とどくのに時間じかんがかかったりして、従来じゅうらいのように、投票とうひょう日びかその翌日よくじつまでに大勢たいせいが判明はんめいしない可能かのう性せいがあるとされています。

また、主要しゅようメディアや専門せんもん家かは、どちらかの陣営じんえいが選挙せんきょ結果けっかを受け入うけいれず、訴訟そしょうに持ち込もちこまれる可能かのう性せいもあると指摘してきしています。

とりわけトランプ大統領だいとうりょうは、郵便ゆうびん投票とうひょうによって投票とうひょう率りつが上あがることで野党やとう・民主党みんしゅとう側がわが有利ゆうりになるとして警戒けいかいを強つよめているとされ、郵便ゆうびん投票とうひょうは「選挙せんきょの不正ふせいにつながる」と強つよく反対はんたいしています。

このため一部いちぶのメディアは、仮かりにトランプ大統領だいとうりょうが劣勢れっせいに立たたされた場合ばあい、選挙せんきょ結果けっかを受け入うけいれるかどうかは不透明ふとうめいだという見方みかたも伝つたえています。

アメリカの大統領だいとうりょう選挙せんきょでは、落選らくせんが確実かくじつになった候補こうほ者しゃが敗北はいぼくを認みとめ、国民こくみんに融和ゆうわを訴うったえるのが慣例かんれいとなっていますが、選挙せんきょ結果けっかをめぐり訴訟そしょうとなった場合ばあい、投票とうひょうが終おわってから数すう週間しゅうかん、次つぎの大統領だいとうりょうが決きまらない事態じたいもあり得えるとされていて、異例いれいずくめの大統領だいとうりょう選挙せんきょになる様相ようそうを呈ていしています。

全米ぜんべいの世論せろん調査ちょうさ バイデン氏しリード

アメリカの政治せいじ情報じょうほうサイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、トランプ大統領だいとうりょうとバイデン前ぜん副ふく大統領だいとうりょうの2人にんのどちらを支持しじするかという全米ぜんべいの世論せろん調査ちょうさでは今月こんげつ24日にち時点じてんの平均へいきん値ちでバイデン氏しが49.6％、トランプ大統領だいとうりょうが40.9％で、バイデン氏しが8.7ポイントリードしています。

さらに、選挙せんきょの結果けっかを左右さゆうするのが「注目ちゅうもく州しゅう」と呼よばれる共和きょうわ・民主みんしゅ両りょう党とうの支持しじ率りつがきっ抗きっこうしてきた州しゅうです。

アメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょでは、ほとんどの州しゅうが、1票ひょうでも多おおく得票とくひょうした候補こうほ者しゃがすべての選挙せんきょ人じんを獲得かくとくする「勝者しょうしゃ総そう取とり方式ほうしき」を採用さいようしており、注目ちゅうもく州しゅうの行方ゆくえが勝敗しょうはいを大おおきく左右さゆうします。

ＡＢＣえいび-し-テレビが「注目ちゅうもく州しゅう」として挙あげる6つの州しゅうでも、バイデン氏しはトランプ大統領だいとうりょうをリードしていて、世論せろん調査ちょうさの平均へいきん値ちで、ミシガン州しゅうで8.2ポイント、ペンシルベニア州しゅうで7.3ポイント、ウィスコンシン州しゅうで6.4ポイント、フロリダ州しゅうで7ポイント、アリゾナ州しゅうで2.8ポイント、ノースカロライナ州しゅうで2ポイント、リードしています。

トランプ大統領だいとうりょうは民主党みんしゅとうのクリントン氏しと大統領だいとうりょうの座ざを争あらそった前回ぜんかい、2016年ねんの選挙せんきょでは、この6つの州しゅうすべてで接戦せっせんを制せいしていただけに、現時点げんじてんでは厳きびしい戦たたかいとなっています。

ＡＢＣえいび-し-テレビの選挙せんきょ情勢じょうせい バイデン氏しが優勢ゆうせい

アメリカＡＢＣえいび-し-テレビは、大統領だいとうりょう選挙せんきょの投票とうひょう日びまで100日にちになるのに合あわせて、共和党きょうわとうのトランプ大統領だいとうりょうと民主党みんしゅとうのバイデン前ぜん副ふく大統領だいとうりょうのどちらが優勢ゆうせいかを全米ぜんべいの各州かくしゅうごとに分析ぶんせきした、選挙せんきょ情勢じょうせいマップを発表はっぴょうし、現時点げんじてんではバイデン氏しが優勢ゆうせいとなっています。

それによりますと24日にちの時点じてんで、勝利しょうりすることが「確実かくじつ」、または、「やや優勢ゆうせい」と分析ぶんせきした州しゅうに割り当わりあてられた選挙せんきょ人じんを合計ごうけいすると、バイデン氏しが279人にん、トランプ氏しが187人にんとなり、バイデン氏しは、大統領だいとうりょう選挙せんきょで勝利しょうりするために必要ひつようとなる、全米ぜんべい538人にんの選挙せんきょ人じんの過か半数はんすうである270人にんを超こえています。

また、前回ぜんかいの2016年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょでトランプ氏しの勝利しょうりを後押あとおしした、ラストベルト＝さびついた工業こうぎょう地帯ちたいにあるミシガン州しゅう、ウィスコンシン州しゅう、ペンシルベニア州しゅうの3州しゅうは、現時点げんじてんではすべてバイデン氏しが「やや優勢ゆうせい」となっています。

この結果けっか、共和きょうわ・民主みんしゅの支持しじ率りつがきっ抗きっこうする接戦せっせん州しゅうはフロリダ州しゅう、ジョージア州しゅう、アリゾナ州しゅう、ノースカロライナ州しゅうの4州しゅうのみとなっています。

さらに、過去かこ40年間ねんかんの大統領だいとうりょう選挙せんきょで共和党きょうわとうの候補こうほ者しゃが勝利しょうりをおさめ、「共和党きょうわとうの牙城がじょう」とも言いわれてきたテキサス州しゅうでもトランプ氏しは「やや優勢ゆうせい」にとどまっています。

一方いっぽうで、ＡＢＣえいび-し-テレビは「選挙せんきょ人じんに関にかんして、バイデン氏しがトランプ大統領だいとうりょうより優位ゆういを保たもっているが、逆転ぎゃくてんが不可能ふかのうではない。今後こんご、3か月かげつ余あまりの間まに情勢じょうせいが大おおきく変化へんかする可能かのう性せいがある」としています。

投票とうひょう翌日よくじつに決きまらないケース過去かこにも

アメリカでは、大統領だいとうりょう選挙せんきょの勝者しょうしゃが投票とうひょう日びの翌日よくじつになっても決きまらなかったケースは、過去かこにあります。

2000年ねんには、共和党きょうわとうのブッシュ氏しと民主党みんしゅとうのゴア氏しが争あらそった大統領だいとうりょう選挙せんきょで1か月かげつ余あまりにわたる法廷ほうてい闘争とうそうが繰り広くりひろげられ、結果けっかが判明はんめいしない状況じょうきょうが続つづきました。

このときは、大だい接戦せっせんとなったフロリダ州しゅうで、ブッシュ氏しがゴア氏しをわずかな票ひょう差さで上回うわまわりましたが、およそ4万まん票ひょうの疑問ぎもん票ひょうの数かぞえ直なおしを行おこなうかどうかが焦点しょうてんとなりました。

投票とうひょう日びから1か月かげつ以上いじょうたったあと、連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょが数かぞえ直なおしを認みとめない判断はんだんを出だしたため、ゴア氏しが敗北はいぼくを受け入うけいれる宣言せんげんを行おこないました。

また、南北なんぼく戦争せんそう後ごの1876年ねんに行おこなわれた大統領だいとうりょう選挙せんきょでは、4か月かげつにわたって勝者しょうしゃが決きまりませんでした。

このときは、4つの州しゅうで選挙せんきょ結果けっかがまとまらず、連邦れんぽう議会ぎかいの上下じょうげ両院りょういんの議員ぎいんと連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょの判事はんじによる議論ぎろんの末すえ、大統領だいとうりょう選挙せんきょから4か月かげつ後ごのよくとし3月つきに、選挙せんきょ人じん1人にんの差さでラザフォード・ヘイズ氏しの当選とうせんが決きまりました。

結果けっか判明はんめいまでに最低さいていでも1～2週間しゅうかん

11月つきのアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょで予想よそうされる課題かだいやリスクをまとめた、専門せんもん家かグループによる報告ほうこく書しょの共同きょうどう執筆しっぴつ者しゃのひとり、オハイオ州立しゅうりつ大学だいがくのエドワード・フォーリー教授きょうじゅはＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに対にたいし「新型しんがたコロナウイルスはただでさえ運営うんえいが難むずかしい大統領だいとうりょう選挙せんきょを一層いっそう困難こんなんなものにするだろう」と予測よそくしました。

そして「これまで郵便ゆうびん投票とうひょうを本格ほんかく的てきに導入どうにゅうしてこなかった州しゅうが最大さいだいの試練しれんを受うけることになる。例たとえばペンシルベニア州しゅうはこれまでの選挙せんきょでは、郵送ゆうそうによる投票とうひょうは5％程度ていどしかなかったが、ことしはそれが50％にも70％にもなりうる」と指摘してきしました。

そのうえでフォーリー氏しは「もっとも可能かのう性せいが高たかいのは、ことしは、郵送ゆうそうによる投票とうひょうの集計しゅうけい作業さぎょうのために、大統領だいとうりょう選挙せんきょの結果けっかが分わかるまで最低さいていでも1～2週間しゅうかんはかかるということだ」と述のべ、11月つきの投票とうひょう日びの当日とうじつか翌日よくじつに大勢たいせいが判明はんめいする可能かのう性せいは低ひくいという見方みかたを示しめしました。

一方いっぽう、若者わかものの政治せいじ参加さんかを呼よびかけるＮＰＯえぬぴ-お-の代表だいひょうを務つとめるデブラ・クリーバー氏しは「ことしは投票とうひょう日び当日とうじつに郵便ゆうびん投票とうひょうを含ふくめて集計しゅうけいを始はじめるので、3週間しゅうかん程度ていど結果けっかが判明はんめいせず、次つぎの大統領だいとうりょうが誰だれになるか分わからない期間きかんが発生はっせいするだろう」と予測よそくしました。

そして「トランプ大統領だいとうりょう自身じしんがこの期間きかんを利用りようして選挙せんきょ結果けっかに疑問ぎもんを投なげかけ続つづけ、仮かりにトランプ大統領だいとうりょうが劣勢れっせいに立たたされていたら、選挙せんきょの不正ふせいを訴うったえる大量たいりょうのプロパガンダがホワイトハウスから発信はっしんされるだろう」と述のべ、トランプ大統領だいとうりょうが選挙せんきょ結果けっかを認みとめない事態じたいも起おこりうると指摘してきしました。

専門せんもん家か 大統領だいとうりょう選せんで予想よそうされるリスクに基もとづき提言ていげん

アメリカでは、公共こうきょう政策せいさくや法律ほうりつの専門せんもん家か、合あわせて25人にんが11月つきの大統領だいとうりょう選挙せんきょで予想よそうされるリスクに基もとづき、14項目こうもくにわたる提言ていげんをまとめた報告ほうこく書しょを4月つきに発表はっぴょうしました。

この中なかでは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいする中なかで、地震じしんやハリケーンなど不測ふそくの事態じたいに見舞みまわれると選挙せんきょを適切てきせつに実施じっしできなくなるおそれがあると指摘してきしています。

また、郵便ゆうびん投票とうひょうを選択せんたくする有権者ゆうけんしゃが増ふえることで、選挙せんきょ管理かんりのために、全米ぜんべいで15億おくドルから20億おくドルの追加ついかの費用ひようが必要ひつようになる可能かのう性せいがあるものの、連邦れんぽう政府せいふが予算よさん面めんで自治体じちたいに十分じゅうぶんな支援しえんをしていないとも指摘してきしています。

そして報告ほうこく書しょは、今後こんご、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん状況じょうきょうが一層いっそう深刻しんこくになる可能かのう性せいも見越みこして、投票とうひょう所しょでの投票とうひょうに加くわえて、期日きじつ前ぜん投票とうひょうやドライブスルー方式ほうしきの投票とうひょう、それに病院びょういんでの投票とうひょうなど、投票とうひょう方法ほうほうの選択肢せんたくしを広ひろげておく必要ひつようがあると提言ていげんしています。